Open Close

石原さとみ「沙織里は自分の実体験が生きている役 」『ミッシング』公開直前「母の日」特別試写会

愛する娘の失踪から3ヶ月後の家族を描く、哀しくも優しい物語。
主演 石原さとみ×監督・脚本 吉田恵輔

『ミッシング』

石原「沙織里のそばにいてあげたい」
三田「夫から『沙織里みたいだった』と言われた」

★「母の日」特別試写会メインAAA_2293

2022年の出産後、1年9ヶ月ぶりの芝居に臨んだ石原さとみが主演を務め、 『空白』(21)、『愛しのアイリーン』(18)、 『ヒメアノ〜ル』(16)の田恵輔がオリジナル脚本でメガホンをとった映画『ミッシング』(配給:ワーナー・ブラザース映画)が5月17日(金)に全国公開する。

ある日突然いなくなった幼い娘。その帰りを懸命に待ち望みながらも、自分たちの力ではどうにもできない現実との間でもがき苦しみ、事件をめぐるマスコミと世間の声に翻弄される母親とその家族。事件により世間の注目を浴びた事により、謂れのない誹謗中傷や好奇の目に晒されながらも、いつか必ず会える、その日を信じて、出口のない迷路を彷徨い続ける母親・沙織里を演じるのは、今までの自分を壊して欲しいと、7年前、自ら田恵輔監督に直談判をした石原さとみ。出産を経て母となった彼女が魅せる、これまでのイメージを一新させた新境地に、既に話題が沸騰。さらに、中村倫也、青木崇高を筆頭に、森 優作、小野花梨、細川 岳、有田麗未(ありたつぐみ)、小松和重、カトウシンスケ、山本直寛、柳 憂怜、美保 純ら豪華実力派キャスト陣が集結。“人間描写の鬼”田監督が「自分のキャリアの中で最も覚悟のいる作品」と語る本作は、雑音溢れる世の 中をリアルにそして繊細に描き、そこに生きるわたしたちの心を激しく揺らす。

5月9日(木)、『ミッシング』公開直前「母の日」特別試写会を開催。当日は、女性限定の観客が参加し、石原さとみが“母となって演じた本作”について、そして観客からの質問に直接回答!また、トークゲストとし、フリーアナウンサーの三田友梨佳も登壇し、この映画の重要な要素である報道の現場を知り、また母でありながら仕事をする立場として、トークに参加。会場の観客は二人のトークや真剣な回答を聞き、大きく頷くなど、“共感”あふれるイベントとなった。

<イベントレポート>
映画『ミッシング』が、幼い娘を探し続ける母親の姿、想いを描いた物語であり、「母の日」も近いということから、<女性限定>の特別試写会を実施し、主演の石原さとみ、フリーアナウンサーの三田友梨佳が登場。トークの進行も担う三田は、「報道に携わってきた人間として、そして母として、映画を深掘り出来ればと思っております」と意気込んだ。

「母の日」特別試写会AAA_2074

◆幼い娘を懸命に探す“母”の想いについて
本作を鑑賞した三田は「映画というよりもドキュメンタリーを見ているような没入感、リアルな世界観で、胸が締め付けられるような思いでいっぱいになりました。すごく切なく苦しくて、でもその先にある柔らかな優しい光に救われた、そんな気持ちにもなりました」と石原に直接感想を伝えると、「ありがとうございます!」と喜びの表情を浮かべた。続けて、石原が演じた沙織里が、懸命に娘の行方を捜す姿がリアルに描かれていたことから、自分自身も母親になった今だからこそ、沙織里に共感したポイントについての質問へ。

石原は、撮影中のエピソードで、台本の中での台詞になっていない部分のシーンを撮影した際、「自分に子供がいなかったら想像出来なかったなっていう感情がたくさんあって。なんか本当に自分の実体験が生きている役だなぁとすごく感じました」と振り返った。続いて弱さについては「沙織里自身、誹謗中傷に苦しんでいるのに、弟の圭吾にとてつもないメッセージを送ってしまうところ」と答え、「怒りというのは本当に人を狂わせてしまう。完璧な人間じゃないという部分をより描いているシーンだなとも思いましたね」、強さについては「プライドなんて無く、周りからどう見られようということは一切考えず全力で突き進むパワー」とそれぞれの部分を分析。それを受けて、三田は「自分の命よりも大切な存在ができることで心も体も逞しくなりますよね」と共感を示すと、「子供を背負ってスーパーの重たい荷物も持って、これまでだったら持てない重さのものを軽々持ててしまう自分に驚いています!」と母親ならではのエピソードも披露し、石原も強く共感していた。

また、最近行われたとある調査で、今年の母の日に欲しいプレゼント第一位が「感謝の言葉や手紙」「お花」を抑えて、「自分だけの時間」だったことに触れ、石原は、自分の時間ができたらしたいことは「友達と過ごしたい!」と回答、約半年前に新しい友達ができたといい、「30代後半で親友と言える存在ができることは幸せなこと!彼女は、根っからのポジティブな人間なんです。子育て話をしたりといっぱい学びがあって、リフレッシュにもなりますし、元気がチャージされますね」と、明かしてくれた。

◆沙織里たち夫婦に対する誹謗中傷など、彼らを取り巻く社会が痛切に描かれていることについて
本作では、幼い娘を探す夫婦を追う傍ら、その家族を取材するという、メディアの姿も克明に描かれている。三田はアナウンサーとして、これまでもリアルな報道の現場に身を置いてきた経験から、「事実を伝えるのが報道。しかし伝えることで誰かを傷つけてしまうのではという葛藤はずっと抱えながら生きてきました」と語り、「悲しくなるけど現実、という報道の世界も描かれていて、それが胸に響きました」と、まさにメディアの視点からの感想も明かした。それを受けて石原は、「劇中の台詞で『お気持ちは分かりますが』というセリフに対して沙織里が『どれくらい分かって言っているんですか』と答えるシーンあるのですが、メディアも事実をどれくらい正しく理解した上で報道されているのかなっていうのを疑問に思う事が多々あって。もうちょっと寄り添ってくれたら優しい世の中になるのかなとも思うときもありますし、その先にも視聴者がいて、ちゃんとそこまで見ていかないとなと思います」と、沙織里と同じような思いをしている人がもしかしたらいるかもしれないことへの思いを話し、「いろんな立場の人に観てほしい」と力強くコメントした。三田は過去に、ある子供の失踪事件を扱った経験があったと言い「どういう風に伝えようかというのを悩み続けていた時期があった。なるべく当事者の言葉を大切にしながらフラットに、でも本人には自分の思いが伝わるようにと言葉を選んで発信していました」と当時を振り返ると「後日、そのお子さんのお父様から、『三田さんの伝え方で少しホッとしました。ありがとうと伝えて欲しい』と人を介して聞きました。報道の伝え方に正解はないと思うが、意識したことに間違いはなかったのかなと救われたことがありました」というエピソードを披露、石原は「三田さんみたいな人がいっぱいいてくれたら…」と感動しつつ聞き入っていた。

「母の日」特別試写会AAA_2017

◆客席からの直接質問に、真剣回答!!
続いて、観客からの質問に直接回答する、ティーチインのコーナーへ。
「映画を⾒て、私と夫との間でも共感ポイントが違う気がしたので、次は是非夫を誘って映画館で観てみたいと思いました。お⼆⼈はこの映画、誰と⾒るのがオススメなどありますか?」という質問には、石原は「圧倒的にパートナーだと思います」と回答。「もちろん家族やお友達と観ても良いと思う」と前置きしつつ「大切な存在を失った事って同じだと思う。なのにそこからの行動ここまではっきりと違うというのが描かれているのが見どころ。意見の交換が活発になると思う」とパートナーでの鑑賞を勧めた。続いて三田は「実は私、主人と見たんです」と切り出し、「産後一カ月ぐらいまでは『沙織里みたいだったよ』と夫に言われました。当時、ただ母としてまだ右も左もわからない中、自分も必死だったんだな」と沙織里の必死さ母として誰もが共感できる姿であると語り、「ママ友と見てみたいですね。それぞれのままでとらえ方も違うと思いますし、話し合いたいなと感じます」と語った。

「夫・豊のふとした⾔葉に“イラっと”する部分は夫婦ならではの共感があったが、実際に現場でも豊を演じた⻘⽊さんに“イラっと”した場⾯などありましたか?」という質問には、石原は「たくさんありました!」と即答。「劇中で、ニュース番組で使うために、失踪してしまった娘の誕生日を祝うシーンを撮影していた時なんですが、音声は使わないので好きには話してください、という演出だったんですが」と振り返り、その時に「来年こそは一緒にお祝いしようね」という想いを募らせていたそう。そんな中で青木さんは「じゃあ食べようか」とケーキを切ろうとしたというエピソードが!「なんか食べようとしてる!」「食べるところじゃないから!」とカットがかかった後にピシャリ。「あそこはどこを撮られても夫婦に見えていたと思う!関係性が出来上がっていました」と笑いを交えて語った。

「SNS の誹謗中傷など、今の世の中の問題点がリアルに描かれていて怖くなりました。表舞台に立つお二方はSNS に接する上で、気をつけていることなどありますか?」という質問には、石原は「基本的に見るタイプではない」「見たとしても『相当バイアスがかかっている』と思っています。アクションを起こそうとしている人はネガティブなコメントの傾向が強いかなと思うので、コメントが入ってきたとしても中央値としては見ていないです」と自身のスタンスをコメント。三田は「言葉の伝え手としては、この言葉を選ぶことで第三者はどう受け取るのだろうということは常に考えてきた。その先にいる人のことを感じながら言葉を選ぶようにしています。文字にするときは丁寧な表現を心がけています」「言う人ではなく、言われた人はずっと心に残るものですからね。覚えておかなければと思います」と答え、石原は「知り合いだったらすぐに謝れたり、行動しないようなことでも、目に見えない人や分からない人には積極的になれてしまうのが怖いなと思います。ですので、何かアクションを起こすときに、あなたの大切な人だったら? と一瞬でも踏みとどまってほしいなと思います」と熱弁。相手へのリスペクトをとにかく忘れないということを、二人そろって力説する場面も。

最後に、石原から「大切な方がいらっしゃれば、その人のことをよりもっと大切にしたい・愛したいという、当たり前なことに対して感謝ができる作品だと思います。また人間の弱い部分や汚い部分がとても露出されている作品だと思います。普段だったら向き合えない部分に向き合える、映画館で見るからこそ没入できる中で、最後の温かさを感じられると思います」と本作に込めた思いを改めて語り、客席からの温かい拍手に包まれて、イベントは終了した。

ポスタービジュアル_ミッシング

映画『ミッシング』
【STORY】
とある街で起きた幼女の失踪事件。あらゆる手を尽くすも、見つからないまま3ヶ月が過ぎていた。
娘・美羽の帰りを待ち続けるも少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里は、夫・豊との温度差から、夫婦喧嘩が絶えない。唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々だった。
そんな中、娘の失踪時、沙織里が推しのアイドルのライブに足を運んでいたことが知られると、ネット上で“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となってしまう。世の中に溢れる欺瞞や好奇の目に晒され続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じてしまうほど、心を失くしていく。
一方、砂田には局上層部の意向で視聴率獲得の為に、沙織里や、沙織里の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材の指示が下ってしまう。
それでも沙織里は「ただただ、娘に会いたい」という一心で、世の中にすがり続ける。
その先にある、光に———

石原さとみ
青木崇高 森優作 有田麗未
小野花梨 小松和重 細川岳 カトウシンスケ 山本直寛
柳憂怜 美保純 / 中村倫也

監督・脚本:吉田恵輔
音楽:世武裕子
製作:井原多美 菅井敦 小林敏之 高橋雅美 古賀奏一郎
企画:河村光庸
プロデューサー:大瀧亮 長井龍 古賀奏一郎
アソシエイトプロデューサー:行実良 小楠雄士
製作幹事:WOWOW
企画:スターサンズ
制作プロダクション:SS工房
配給:ワーナー・ブラザース映画
コピーライト:©︎2024「missing」Film Partners
公式HP:missing-movie.jp
公式X:@kokoromissing

※吉田恵輔監督の「吉」は<つちよし>が正式表記。

5月17日(金)全国公開