楳図かずおが明かす自らの秘密と原点。映画『MOTHER』の初日舞台挨拶が9月27日、東京・新宿ピカデリーにて行われ、楳図監督を始め、主演の片岡愛之助、舞羽美海、真行寺君枝が登壇した。
「おろち」「漂流教室」「まことちゃん」など、独特な世界観の作品で多くのファンを持つ恐怖漫画の巨匠・楳図かずおが、77歳にして初の長編映画監督デビューを果たした。本作は、自らを主人公に母親との愛憎劇をテーマに描いたホラー映画。楳図かずお役を片岡愛之助、楳図とともに謎の怪奇現象を探る新人編集者に舞羽美海、楳図の母を真行寺君枝が演じている。
監督とキャスト陣が大歓声と拍手で迎えられると、楳図監督がお約束の“グアシ”ポーズを決め会場を沸かせる。「劇中どこで怖がらせようかと苦労しましたが、出演者のみなさんがしっかりお芝居で表現してくださいました。本当によい映画が完成して満足しています」と自信たっぷりに語った。
今回、初のホラー映画挑戦となった片岡は、「監督もいつもこんな感じて・・・(笑)。)ホラー映画を撮っている気がしなくて、『ちゃんとホラー映画になるんだろうか』と心配でしたが、完成した映像を観たら見事なホラー映画になっていました」と振り返った。
楳図かずおにとって、「14歳」以来、19年ぶりとなる作品になるが、「漫画や映画を超えた、『14歳』と地続きになっている新作です。“何も進歩してないじゃないか”と思われるところで、今回の映画でひとつ大きく息をつくことができました」と笑顔を見せた。
一方、まことちゃん世代だったと語る片岡。「楳図かずおと言う漫画家の役を務めさせていただき本当に嬉しいです。最初自伝と伺ったのでお断りしたんですよ。だって全然似てないじゃないですか(笑)。そうしたら、“楳図かずお”という漫画家の役だというので喜んでお受けしました」とニッコリ。また最近は、仮面ライダーやドラマ「半沢直樹」のオネエの官僚役など、独特な役がらが多いことから、「三谷幸喜さんに『普通の映画は撮らないの?』と言われたんですが、今回「普通の映画おめでとう」とメールが届きました」と話し、会場の笑いを誘っていた。
さらに、「楳図監督の作品はホラーですが、歌舞伎と共通している部分がたくさんあると思います。まず物語に出てくる女性がすべて“美しい人”ばかりです。この“美”を意識し点が歌舞伎と共通しているし、“グアシ”の決めポーズは、歌舞伎の見栄に通じていると思いました」と持論を吐露。
宝塚歌劇団・娘役トップスターからホラー映画の出演となった舞羽は、「まさか、ホラー映画に出演するとは思ってなかったです笑)。ホラー映画の撮影ってどんな感じなんだろうと思っていたら、アクションシーンがすごく多くて」と明かし、「でも、監督が細かく絵コンテを書いて下さったので、とても表現しやすかったです」と、漫画家ならではの監督の気づかいにも感謝していた。
15年ぶりに映画出演となる真行寺が、「私のこれまでの“崩さない美しさ”の概念をまったく崩す役がらでしたので、難しかったです」と恥ずかしそうにすると、「こんなお母さん、美しすぎませんか?」と片岡。楳図監督も、「美しい時、怖い時のメイクをすごく工夫しました。怖いメイクをした上にきれいなメイクを重ねて。それがとても似合っていたんです。お得な体質ですね」と、その美しさに大満足の様子だった。
『MOTHER マザー』
<STORY>
漫画家・楳図かずお(片岡愛之助)のもとに、ある出版社から彼の生い立ちを本にしたいという話が舞い込む。担当編集者・若草さくら(舞羽美海)は取材をするうちに、楳図独特の創作の原点には、亡くなった母・イチエ(真行寺君枝)の影響が大きいことを知る。
やがて、楳図の生い立ちを調査するさくらの周りで次々に起こる怪奇現象。別荘の窓についた謎の手の跡、タクシーの隣席に見えるいないはずの人影、楳図のまわりに漂う紫煙、イチエの葬式の参列者の写真に写る彼女自身の姿…
死んだはずの母の怨念が、楳図とさくらのまわりで底知れぬ恐怖を巻き起こしはじめる!!
監督:楳図かずお
脚本:楳図かずお、継田淳
主演:片岡愛之助 <楳図かずお役/ 漫画家>
共演:舞羽美海 <若草さくら役/かずおの担当編集者>
真行寺君枝 <楳図イチエ役/かずおの母>
主題歌:中川翔子「chocolat chaud」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
※4th Album「9Lives」収録
(ソニー・ミュージックレーベルズより発売中)
配給:松竹メディア事業部
(C)「マザー」製作委員会
公式サイト: http://mother-movie.jp/
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