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映画『凪待ち』恒松祐里インタビュー! 「周りの人間関係が役に反映できました」 香取慎吾さんは素敵なお兄さん!でも私の一押しキャラクターはおじいちゃんです!(笑)

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誰が彼女を殺したのかー?なぜ殺したのかー?
バイオレンスと絶望、怒りと裏切り、不条理と悲劇、映画史上最も切ない暴力を描いた衝撃のヒューマンサスペンス『凪待ち』が6月28日よりいよいよ公開される。

今や日本映画界を担うと称される『孤狼の血』『凶悪』の白石和彌監督が描く最新作に、恋人を殺された挙句、同僚たちからも疑われてしまい、次々と、絶望的な状況に襲われていく男の郁男を香取慎吾が熱演。郁男の恋人・昆野亜弓(西田尚美)の娘・昆野美波役を演じたのは、弱冠20歳ながら、若手演技派女優として人気の高い恒松祐里。

2005年から子役としてデビューして以来、様々な作品に出演し女優としての経験を積み重ねてきた今、母親を亡くし失望感を抱きながらも母の恋人を支えようと努力していく難しい役どころを懸命に演じた彼女に話を聞くことができた。

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― 今作ではとても重要な役どころを演じられていますが、白石監督から直接オファーがあって出演が決まったそうですね。

はい、お話をいただいてとても嬉しかったです。白石監督とは以前雑誌の企画でお会いしたことがあったんです。そのときは写真だけだったのですが、久しぶりにお会いし、今回は映像作品でご一緒させていただくことができて本当に光栄でした。

― 白石監督とお仕事されていかがでしたか?

白石監督は“怖い映画を撮っている”というイメージを持っていたんですが、ご本人はとても優しい方で、映画を楽しみながら撮ってくださる監督だなと思いました。今作も内容的には重い作品ではありますが、現場の雰囲気はとても良くて、自分が演じる役では苦しいこともありましたが、監督が楽しい現場を用意してくださったので、心地いい雰囲気で演じることができました。

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― 美波という役は複雑な環境の中で育った、難しい役どころだったのでは?

私は美波として香取さん演じる郁男と関わっていましたが、(役としての)立ち位置にあまりプレッシャーを感じることはなく、映画の中で美波として全うして生きていくということだけを念頭に置いてお芝居をしていました。

― 美波の年齢も実際の恒松さんとあまり変わらなかったんですよね?

いえ、美波は高校生なんです。もうすぐ20歳になる19歳の時に撮影したので、自分の中では、少し違和感があって(笑)。15歳の思春期だからこその葛藤や複雑な思いがあるんですが、私はその時期は過ぎているので、そういう感情を思い出しながら演じました。

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― そうなんですか、違和感なかったです。でも、ご自身の15歳の頃を思い返したとしても、美波の境遇とはかなり違うかと。

そうですね。私は思春期のころに反抗期がなくて、とても平和だったんです。でも、少し前に演じた役どころが反抗期のある役だったので、その時の気持ちを思い出したり、これまで演じてきた経験や、実際にちょっと親に反抗したくなっちゃう気持ちなどを引き出してみました。演じている時は感じなかったのですが、家に帰って台本を読み返すと、「やっぱり美波って幼いなぁ」って思って(笑)。でも、撮影現場ではちゃんと美波になりきっていましたけど(笑)。

― お母さん役の西田さんとの対面するシーンも見どころです。共演されていかがでしたか?

西田さんとはとても仲良くさせていただきました。石巻市のロケではずっと泊りがけだったのですが、西田さんが毎晩のように食事に連れて行ってくださって、本当のお母さんのようでした。短い期間でしたが、親子のように接してくださり仲良くなった分、お母さん(亜弓)がなくなったときは悲しかったです。

― カメラの前だけではないところで、いい役作りができたのでしょうか。

そうですね。とてもいい関係が築けたと思います。

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― 主演の香取さんとは初共演とのことですが、香取さんの印象はいかがでしたか?

私が昔から抱いていた香取さんの印象は、“明るくて優しいお兄さん”というものでした。実際にお会いしてもその通りの方でした。私に対しても、スタッフの皆さんにも分け隔てなく接してくださいました。香取さんは誰に対しても、いつでも自然体でいられる方。そこが凄く素敵だと思いました。現場では美波と郁男の距離感でいたので、2人でいつもくだらない世間話ばかりしていたんですよ(笑)。

― 劇中でも2人でゲームをしているシーンがありますが、とても微笑ましいです。

本番以外でも2人でずっと(ゲーム)の練習をしていました。私も実際にゲームを買って練習したんです。香取さんはプロ並みにお上手なんですが、美波に誘われてゲームをしている設定なので、美波が上手じゃなくちゃ!と思って(笑)。あのシーンはとても楽しかったです。

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― 白石組常連の役者さんといえば、ちょっと強面の方も多いかと。そんな中に可憐な恒松さんがいて・・・。現場で怖いなと思うことはなかったですか?(笑)

私って基本的にどこに行っても大丈夫な性格なんです(笑)。でも西田さんがいてくださったのは心強かったかもしれません。西田さん演じるお母さんのお葬式のシーンでは、美波が普段の生活では関わらない郁男の職場の人たちがいて。お葬式ということもあって、誰とも話さないシーンではあったのですが、やっぱり孤独でした。そのシーンでの郁男は身内ではないので、私と離れた席に座っていて凄く心細かったです。そういう心情も画面に出ていたと思います。話せる人がいなくてとても寂しかったです。

― 演じるだけでなく、役者さんとの人間関係ができているから自然にその感情が生まれてきたのかもしれませんね。

そうかもしれません。おじいちゃん役の吉澤さんとも凄く仲良くさせていただきました。吉澤さんが私のことをいつも笑顔で見てくださっていて。ヘアメイクさんも「本当のおじいちゃんみたいね」っておっしゃっていたんです。映像の中でも吉澤さんが美波を見る視線に温かいものがあって、それを私自身も感じていました。撮影現場以外のところで人間関係を作ることができたからだと思います。

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― ロケ地となった石巻市は初めて行かれたのでしょうか?

初めて行きました。震災の時は小学6年生でした。当時もニュースで見ていましたが、正直あまり実感がなかったです。今回初めて大きな被害があった石巻市にお邪魔したのですが、幼なじみの男の子と高台に登って景色を見下ろすシーンがあるんです。一番被害があって今も復興があまり進んでいない場所で、本当に「ここが街だったのかな・・・」と思うくらい草が生い茂っていて、神社かな、小学校かなとギリギリわかるくらいで、本当に全てが消え去っていました。こういう状況だったんだと分かり、ショックでした。そして、復興が進んでいるところもあれば、全然進んでいないところもあって、まだまだやらなくてはいけないことがたくさんあるんだなと感じました。美波という役を形成するうえでも、私自身の人生においても実際に石巻市に行ってよかったと思います。

― まだまだ復興が進んでいない被災地域もありますが、映画の中に映し出される海はとても綺麗で素敵です。

凄く綺麗な海で、船に乗っている時は本当に楽しかったです。終盤のシーンなんですが、撮影の日もタイトルの『凪待ち』にピッタリな穏やかな海でした。セリフがなく表情だけだったので、この映画を物語っているなと考えながらお芝居をしていました。

― 主人公が絶望の果てまで落ちて、そこからの再生をしていく・・・という物語の中で、その場所に立ち会う美波は何を感じていたと思いますか? 彼女に影響するものは何だと考えますか?

美波の成長に繋がることだったと思います。映画が終わって、この物語がどうなっていくかはわかりませんが、郁男の成長やおじいちゃんとの関係性によって美波が大きく成長していくんじゃないのかなと。ここは美波が一番苦しいときではありますが、彼女の人生においてはまだまだ序盤。15歳ですし。それから強い女性になっていくのではないでしょうか。

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― ところで、恒松さんご自身のお母様とはどんな関係ですか?

母とはとても仲良しです。同じ趣味も持っていて、母は編み物で私は羊毛フェルトという手芸が好きなんです。私が幼い時は一緒にオーディションについてきてくれて、いつも影で支えてくれていたので、本当に感謝しています。父も私の好きなことを自由にやらせてくれました。私の好きそうな映画や作品を探して観せてくれました。一人っ子で伸び伸びと育ったと思います。私の家庭は凄く素敵です。

― 素敵なご家族ですね。今回、ご自身の家庭環境とは違う少女を演じたわけですが、美波に共感する部分はあったのでしょうか?

根本的な明るさが似ていたと思います。お母さんとは普段だったら仲がいいのに、たまたまケンカをしてしまって事件に繋がってしまった。ちょっとしたケンカなので、家に帰ったら「ごめん」で済むはずだったし、美波とお母さんの中ではよくあることだったんです。郁男も友達のような関係の(まだお父さんになっていない)おじさん。私自身と父の関係も友達や兄妹のような感じなので、そのあたりもとても似ていたと思います。美波の家庭にはとても愛があったのではないかな。私も愛情を持って育ててくれた両親がいるので、その愛を知っていますし、物語では序盤でお母さんがいなくなることで家庭は壊れてしまいましたが、作品の中でお母さんの愛も感じることができたし、その後おじいちゃんの愛情も感じることができました。
あと、美波の周りには意外といい人が多いんです。幼なじみの男の子(しょうた)だったり、郁男もお母さんも、おじいちゃんも。美波は川崎に引っ越していじめられていたんですが、周りに支えてくれる家族がいるということはとても幸せなことだったと思います。私もありがたいことに周りの人たちに恵まれていて、友達も素敵な人ばかりなんです。人運があるところは美波と似ているかもしれません。

― それは、以前香取さんが「深く重い話の中で恒松さんの笑顔に救われた」と仰っていたように、恒松さんご自身が明るく、周りを照らすような存在だからそういう人たちが集まってくるのだと思いますよ。

そうだと嬉しいです。ありがとうございます。

― では最後に、この映画の中で、印象に残っているシーン、恒松さんから見た見どころを教えてください。

う~ん、たくさんあるんですが・・・。最終的に3人になってしまった郁男とおじいちゃんと美波が並んで歩いているシーンには光が見えて、絶望の果てまで落ちた男にも支えてくれる人がいるということがとても素敵だと思いました。個人的にはおじいちゃんのシーンが好きです。「こいつは俺のせがれだ」と言うシーンがとってもカッコいいんですよ! おじいちゃんが凄く味があって、この作品の中で私の一番推しのキャラクターなんです!(笑) 。あと、脆い思春期の美波も見守って観ていただけたら嬉しいです。

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【恒松祐里(つねまつゆり)プロフィール】
1998年生まれ、東京都出身。子役としてデビュー。主なテレビドラマの出演作は、NHK連続テレビ小説「まれ」(15/NHK)、NHK大河ドラマ「真田丸」(16/NHK)などがある。主な映画出演作は、『くちびるに歌を』(15/三木孝浩監督)、『ハルチカ』(17/市井昌秀監督)、『サクラダリセット前篇・後篇』(17/深川栄洋監督)、『散歩する侵略者』(17/黒沢清監督)、『3D彼女 リアルガール』(18/英勉監督)、『虹色デイズ』(18/飯塚健監督)などがある。公開待機作に、『アイネクライネナハトムジーク』(19/今泉力哉監督)、『殺さない彼と死なない彼女』(19/小林啓一監督)などがある。

『凪待ち』ポスタービジュアル

映画『凪待ち』
【ストーリー】
毎日をふらふらと無為に過ごしていた郁男は、恋人の亜弓とその娘・美波と共に彼女の故郷、石巻で再出発しようとする。少しずつ平穏を取り戻しつつあるかのように見えた暮らしだったが、小さな綻びが積み重なり、やがて取り返しのつかないことが起きてしまう―。ある夜、亜弓から激しく罵られた郁男は、亜弓を車から下ろしてしまう。そのあと、亜弓は何者かに殺害された。恋人を殺された挙句、同僚からも疑われる郁男。次々と襲い掛かる絶望的な状況を変えるために、郁男はギャンブルに手をだしてしまう。

出演:香取慎吾、恒松祐里、西田尚美、吉澤健、音尾琢真、リリー・フランキー
監督:白石和彌
脚本:加藤正人
配給:キノフィルムズ
©2018「凪待ち」FILM PARTNERS
公式サイト:http://nagimachi.com/

6月28日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

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