映画『猫は抱くもの』の完成露試写会が、6月5日、東京・丸の内ピカデリーにて行われ、主演の沢尻エリカをはじめ、共演の吉沢亮、コムアイ(水曜日のカンパネラ)と、犬童一心監督が登壇した。
本作は、思った通りの自分になれず、投げやりな毎日に慣れてしまった“元アイドル”の沙織と、“自分を沙織の人間の恋人だと思い込んでいる猫”が自分らしい生き方を見つけていく物語。沙織役を沢尻、猫・良男の擬人化した姿を吉沢、水曜日のカンパネラのコムアイが猫・キイロの擬人化した姿を演じ、『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』『グーグーだって猫である』などで知られる犬童一心が監督を務める。
沢尻を主演にキャスティングしたことについて、犬童監督は「『ヘルタースケルター』を通して、女優として心から尊敬していた。いつか自分の作品に出て欲しいと思っていて、日本アカデミー賞のときに樋口真嗣さんと一緒に挨拶に行きました。沙織は地味なキャラクターなので、それを沢尻さんに演じてもらうことで、すごく新鮮になると思った。映画のグルーヴを作り出す時に“野蛮”なパワーが欲しかったんです。下地を作っておいてよかったです(笑)」と明かした。
沢尻は、元アイドルという役がらのため、劇中で歌や踊りを披露するシーンがあるが「普段はやらないので大変でした。すごく練習して頑張りました。でも新鮮で面白かったです」と照れ笑い。「アイドルグループ・サニーズのキャッチコピーは、待ち時間にみんなで盛り上がって決めたんですが、ノリで監督に見せたらそのまま使われました(笑)」とエピソードを披露。
猫役を演じた吉沢は、役作りについて「猫の動画を見たりしましたが、犬童監督が猫の博士のような方なので、細かい部分や動きを教えていただきました。猫は撫でられて気持ちよくなりすぎるの嫌なんだと聞いてビックリしました」と語り、猫のキイロ役のコムアイは「楽屋もみんな猫っぽい感じでしたね。ボス猫役の岩松さんが仰向けで床にゴロンと寝ていてると、若い役者がその上をまたぐ・・・みたいな(笑)。リアル“ねこすて橋”でした」と言って笑った。
作品の内容にちなみ、「もし猫になったら何をしたいですか?」という質問に、「抱っこされたい」と犬童監督。「その相手は?」と聞かれ「沢尻さん」と答えつつ、「他には奥さんもね」と付け加えていた。コムアイは「ウンコしたあとに猫が砂をかけるしぐさがすごくゆっくりで、好き」とその動きを再現してみる場面も。
吉沢は「女性とこう密着するようなこととか・・・、猫なら誰とそうなったとしてもいいってことですから」と無邪気な笑顔を見せ、「あと、置物とか、色々壊したいですね。良い音のする花瓶を“パリーン”って落としてみたい」と続けると、犬童監督が「それは猫でも許されないよ!」とツッコミを入れた。
沢尻は「ロシアンブルーになって、大自然の中をガーっと駆け回ってみたいです」と答えた。
最後に吉沢とともに良男を演じたロシアンブルーの猫・グリグリが登場。撮影終了後にこの猫を引き取ったという沢尻は、「去年の11月ごろに撮影していたんですが、この猫ちゃんに出会って譲り受けました。今では一緒に楽しく過ごしています」と愛猫を見て目尻を下げる。監督からマイクを向けられると「ニャ~!」とコメントするグリグリ。あちらこちらから「可愛い~」と声があがり、会場の視線を独り占めしていた。
映画『猫は抱くもの』
【STORY】
こじらせた1人と1匹の妄想が、自分らしい幸せに気付かせてくれる―
思った通りの自分になれなくて、いつしか投げやりな生き方に慣れてしまった沙織(沢尻エリカ)。元アイドルのアラサーで、今はスーパーで働く彼女が心を開くのは、こっそり飼っている、ロシアンブルーの猫・良男(吉沢亮)だけ。今日いちにちの出来事を、妄想を交えつつ良男に話して聞かせる沙織。沙織の心に寄り添ううち、良男は自分が沙織の人間の恋人で、彼女を守れるのは自分だけだと思い込んでしまう。そんなある日、沙織の前に“ゴッホ”と呼ばれる売れない画家・後藤保(峯田和伸)が現れ、良男は沙織の変化を目の当たりにする。ある晩、良男は月に誘われるように外の世界に飛び出し、迷子になってしまい…。ゴッホや、ゴッホを慕う猫・キイロ(コムアイ)、個性豊かな猫たちとの出逢いを通じて、1人と1匹は、自分らしく生きるすべを見つけていく。
うまくいかないことの輝き。置いてけぼりをくらっている時間の豊かさ・・・。灰色の日常がカラフルに輝きはじめる、心温まる物語。
■監督:犬童一心
原作:大山淳子『猫は抱くもの』(キノブックス刊)
脚本:高田亮
音楽:水曜日のカンパネラ
沢尻エリカ / 吉沢亮 峯田和伸 コムアイ(水曜日のカンパネラ) / 岩松了
藤村忠寿 内田健司 久場雄太 今井久美子 小林涼子 林田岬優 木下愛華 蒔田彩珠 / 伊藤ゆみ 佐藤乃莉 末永百合恵 / 柿澤勇人
企画製作・配給:キノフィルムズ
制作プロダクション:ADKアーツ
2018年/日本/カラー/ビスタ/DCP5.1ch/109分
©2018「猫は抱くもの」製作委員会
公式サイト:http://nekodaku.jp
6月23日(土) 新宿ピカデリー他、全国ロードショー!