映画『NOT BEER』の公開決定イベントが、4月18日、城西国際大学 東京紀尾井町キャンパスにて行われ、主演の玉城裕規と共演の相馬理、中川寛崇監督が登壇した。
本作は2013年に劇団オレガユナイテッドによって上演された「Not beer but low-molt beer」を映画化。主演で人のいい詐欺師・鮫島優を玉城裕規、鮫島をアニキとして慕い発言の軽いチャラ詐欺師・押切淳平を相馬理が演じ、ハルエの孫と名乗る二階堂早妃を永瀬未留、遺言書を持ってくる弁護士・辻和成を伊藤慶徳、そしてキーとなる瀧ハルエ金子早苗が扮する。
この日、中川監督の母校・城西国際大学で開催されたイベント。初めて脚本を読んだ時を振り返った玉城は、「率直に“セリフの量ヤバッ!”と思いましたね。最初の台本より(最終的には)少し短くなりましたが、セリフを覚えながら台本を読んでいきました。でも、楽しかったです」と笑顔。台本を渡されてから本番までの時間も短かったことも苦労したとのこと。
オーディションで役を獲得した相馬は「(オーディション自体を)楽しんでやっていたので、受かったという感覚がなかったです。受かったと聞いたときはビックリしました」と回顧。セリフについては玉城と同様で、「台本を見たときに、セリフ量が莫大でどうしようと思いました」と苦笑い。
現場では、玉城、相馬のほか永瀬、伊藤との4 人でのワンシチュエーションが多く長回しの撮影が多かったそうで、玉城は「よし、しっかり覚えよう」とセリフ覚えには気合いを入れたとのこと。中川監督は「決して長回しが好きというわけではないんですが、撮影期間が短かったので・・・」と本音を明かすも、相馬は「長回しという矢を刺されたことで、しっかりやるぞと」と気持ちを引き締めたと言い、「長回しでセリフを噛んだときのダメージは大きいし」と話し、結果的にいい緊張感で臨むことができた様子。
鮫島を演じるにあたり、玉城は「メインの5人の役の中では、自分はそこまで背負うものがないので、抑えずにふっきって演じました」話し、鮫島と自身が似ているところについては「完ぺきではないところ。めちゃめちゃ本気で考えてもどこか抜けています(笑)」と分析。
一方で、押切を演じた相馬は「(役と同じく、玉城に)ひたすらついていこうと思いました。アニキ大好きみたいな気持ちでやっていました」と笑顔を見せ、「天然なところは(押切と)似ている部分があるのかな」とコメントした。
今作が長編映画初となる中川監督は、2013年に劇団オレガユナイテッドによって上演された「Not beer but low-molt beer」を映画化したことに、「過去に原案になった芝居を観たことがあって、本作の依頼が来た時点でワクワクと期待で胸が高ぶっていました」と喜びつつ、「プロデューサーから連絡が来た時は二つ返事で依頼を受け、“おもしろい作品にするぞ!”という気合が入りました」と述懐する。
撮影時は「監督やスタッフさんの作品への熱量が充満していたので、その空気を吸って
いるだけで心地よかったです。これが物作りの楽しさだよなと改めて感じました」と述べる玉城。相馬も「当初は緊張していましたが、皆さん親しみやすい雰囲気で温かく迎え入れていただいたので、自分も挑戦してみようという気持ちになれました」と充実感を滲ませ、「空間自体が空気清浄機みたいな感じです」と笑いを誘う。
終盤で押切がビールを持ってくるというシーンでは、中川監督の無茶ぶりで相馬のアドリブも披露されており、監督も「ぜひ、見てほしいです」とおススメ。ビールの本数も残り少なくなっていたときの撮影で失敗ができない状況。玉城からも「緊張と緩和が観れます」と注目ポイントを披露していた。
また本作で初共演となる玉城と相馬だが、撮影当時のお互いの印象を聞かれると、玉城が「相馬ちゃんは、笑顔でわかるいい子!弟分が素敵な子でよかったなと安心しました」と答えるも、相馬は玉城が「(役作りのため)髪が長くて、眉毛も無かったので危ない人が来たなと(笑)。でも、実際は気さくに話をしてくださったので、(撮影が始まったら)180 度印象が変わりました」とぶっちゃけ、大笑い。
中川監督も「玉城さんはクールでダークなイメージが強く、鮫島の役がらとはキャラクターがかけ離れていましたが、会話をしていくととても優しい方なんだなという印象を受けました。現場で一番優しくしてくれました」と、すっかり玉城をお気に入り。相馬については「常に笑顔。本番に強くて、ワンカット重ねるごとにどんどん進化していくが目に見えました。1から10を言ったら全部自分のものにして出す姿に驚きました」と絶賛。その言葉に相馬は「美味しいご飯が食べられます(笑)」と大照れだった。
イベントでは、劇中で2人が遺産品を求めハルエの元に何度も通うシーンにちなみ、「このためなら何度でも足繁く通えることは?」と問われると、相馬は「カニが大好きなので安いカニ屋さんがあったら通い詰めたいです」とニッコリ。玉城は「ハリウッド映画の 2 番手の出演があったら。そのためなら、通います」と役者魂を見せると、相馬は「カニじゃ弱いので、僕もハリウッドの3番手で(笑)」と慌てて言い直していた。
最後に、中川監督が「日常の中での嘘はネガティブな印象ですが、本作の嘘は少し角度を変えた見方をして描かれています」と話し、相馬は「僕にとって初めての映画で思い出が強く懐かしさもあります。約 70 分の作品なので気軽に観ていただければ」と。玉城が「ドタバタと喜怒哀楽が詰まっていて、スタッフさんキャストの観ていただきたいという思いが伝わってくると思います。映画を観た後に、人それぞれの感情で美味しいビールを飲んでいただけたら。ようやく皆さんの目に触れることを幸せに思います」と熱いメッセージを送り、イベントを終了した。
映画『NOT BEER』
<ストーリー >
人の良い詐欺師の鮫島とその舎弟・押切は、亡き夫の資産で暮らす老婦・ハルエと純金の入れ歯の買い取りを苦戦しなが
らも取り付ける。が、約束の日に、買取に訪れるとハルエの通夜が行われていた!
ハルエの孫の早妃や弁護士の辻と居合わせることになり、帰るに帰れない状況に…。
そんな中、辻がハルエからの遺言書を預かっていた。
開封すると、「私、瀧ハルエの財産は、通夜の日に最後まで残った方に、相続いたします」というメッセージが残され、偶然
相続権を得た4人は一夜の騙し合いを始める…。財産は誰の手に渡るのか?そして遺言に込められたハルエの想いとは
…。
♦製作・配給 Go×En
♦コピーライト © Go×En
♦上映尺 72分
♦映倫 G
♦公式X(旧Twitter): @Notbeerbut_M
◆キャスト◆ 玉城裕規、相馬理、永瀬未留、伊藤慶徳、金子早苗
園田あいか 今出舞 田村響華 石塚みづき 宗綱弟 神田川侑希
◆スタッフ◆
監督:中川寛崇 脚本:佐渡ツムジ 企画・プロデューサー:川又崇功
プロデューサー:谷口航季 撮影:米澤郁弥
照明:溝江利文 録音:渡部未佳 ヘアメイク:出町莉里・梶山ひな 衣裳:平山空
編集:田村宗大 スチール:JUMPEI TAINAKA
5月30日(金)~6月12日(木)、シネマート新宿にて2週間限定上映