映画『終わった人』の完成披露会見が、5月10日、東京・国際フォーラム ホールCにて行われ、主演の舘ひろしをはじめ、共演の黒木瞳、広末涼子、田口トモロヲ、ベンガルと、中田秀夫監督、原作者の内館牧子氏が出席した。
本作は、内館牧子のベストセラー小説を映画化。大手銀行の出世コースから外れ、子会社に出向させられたまま定年を迎え、夢なし、趣味なし、我が家に居場所なしとなった男・田代壮介が、第二の人生に新たな生きがいを見出すため奮闘する姿を、コミカルに描き出す。壮介役を舘、情けない夫に呆れ卒婚がよぎる妻・千種を黒木が演じる。
舘は「『終わった人』というタイトルは、私自身が終わりに近いので、あまりやりたくないなって思ったんですけど・・・(笑)」と言って笑いを誘いながらも、出演オファーを受けた理由を「内館先生の原作がとても面白くて、脚本もすごくコミカルに描かれていた。これは面白いとやらせていただきました」と述べ、「『終わった人』というネガティブなタイトルの作品ですが、内容は夢のある作品に仕上がっていると思います」と作品の出来栄えに満足げ。
一方の黒木も「舘さんとは20代の頃からご一緒させていただいているので、長年連れ添った夫婦は、私にしかできないという自負を持っておりました。是非やらせていただきたいとお受けしました」とオファーを快諾。壮介役を演じた舘について「とにかくおかしくて。無防備さが素晴らしい(笑)。こんな舘さん見たことないです。中田監督の優しくて愛のあふれる撮り方に感動しました」と告白し、微笑んだ。
壮介が思いを寄せるカルチャースクールの受付嬢・久里役の広末は、「小学生のとき『あぶない刑事』を見ていて憧れていた舘さんとご一緒させていただき、ひさしぶりに緊張しました」と興奮ぎみに語る。舘と黒木が演じた夫婦について「やっぱり“終わっていない人”がやらないとダメなんだなと(笑)。本当に“終わった人”のキャスティングだと、きっと悲しくて重たい話になってしまうんだろうなと思いました。正直お二人が美しすぎて、こんな夫婦現実にはいない!と思ったくらい。でも映画を観ると、生活感やリアリティが伝わってきて、美しさの中に切なさがある。これは舘さんと黒木さんだからこそなんだと感じました」と絶賛した。
千草のいとこでフリーランスのイラストレーター・青山俊彦役を演じる田口は、「パンチ力のあるタイトルで、最初ゾンビ映画化と思った(笑)。でも蓋を開けたら全然違っていて、大変いい映画になりました」と。壮介の同級生・工藤元一役のベンガルも「俳優って“終わった人”と言われるとドキッとする。グサッとくるタイトルで」と強烈なタイトル名に苦笑。それでも「最近では少ない大人のお話です。私もこの映画を観て久しぶりに泣きました」と自信を持ってコメントした。
中田監督は、舘の演技を「ヒッチコックの映画に出てくるケイリー・グラントのようであり、あるシーンではゲイリー・クーパーのようだった。そして“浮気もどき”がバレてあたふたするところは植木等のようでした(笑)」と例え、その振り幅の広さを吐露。それを受け舘は「中田監督は乗せるのが上手いんですよ~」と大照れだった。
本作が原作映画初となる内館氏は、今回女優デビューも果たした。「カメオ出演と聞いていて、アンニュイな女性の役だと、勝手に思い込んでいたら、衣装合わせのときにジャージを渡されて・・・、スポーツジムで血圧を測るおばさんの役だったんです」と笑い、残念がる場面も。
また、「自身の第二の人生を考えるとしたら?」と聞かれると「人生は一度きりだと思うので、考えていないですね」と舘。黒木も「同じです」と答え、「人生100年時代と言われる現代ですが、100歳になった頃、何をしていますか?」という質問には、舘は「死んでますよ。そこまでもたない気がします。多分ダメだと思うな」と即答。黒木も「同じくです」と息ピッタリに同調した。
さらに「今回の舞台は生前葬をイメージした設えになっているが、もしご自身が生前葬をするとしたら?」という質問が及ぶと、舘は「考えたことないなぁ・・・」としながらも、思い返したように「してもいいかな、いっぱい香典もらえるなら!(笑)」と茶目っ気たっぷりに返し、会場を沸かせていた。
映画『終わった人』
■原作:内館牧子「終わった人」(講談社 文庫 )
■監督:中田秀夫
■配給:東映
■キャスト:舘ひろし 黒木瞳 広末涼子 臼田あさ美 今井翼 田口トモロヲ 笹野高史 ベンガル
■(C) 2018「終わった人」製作委員会
公式サイト:http://www.owattahito.jp/
6月9日 全国ロードショー!