映画『PLAN 75』の公開記念舞台挨拶が、6月18日、東京・新宿ピカデリーにて行われ、主演の倍賞千恵子をはじめ、共演の磯村勇斗、ステファニー・アリアンと、早川千絵監督が登壇した。
第75回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門に出品され、カメラドール 特別表彰を授与された映画『PLAN 75』。本作は、映画監督・是枝裕和が初めて総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一篇『PLAN75』を新たに構築し、キャストを一新した、早川千絵監督のオリジナル脚本による、自身初の長編映画。超高齢化社会に対応すべく75歳以上が自ら生死を選択できる制度<プラン75>が施行され、その制度に大きく翻弄される人々の姿を描き出す。
9年ぶりの単独主演作となる倍賞千恵子が、社会での居場所を失いかけるミチを、死を推奨する市役所職員・ヒロム役に磯村勇斗、コールセンタースタッフの瑶子を河合優実が演じ、他にもたかお鷹、ステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美らが顔を揃え脇を固めた。
日本のみならず海外での上映も次々と決まり、倍賞は「監督、よかったねー!」「よかったねー!」と監督、磯村、アリアンに声をかけ笑顔を見せる。磯村も「日本の作品がテーマ性を持っていながらも、海外にしっかり届けることができることはとてもありがたいことですし、こういう作品がどんどん増えていくといいなと思いました」と感無量の面持ち。
アリアンも「皆さんにお礼を言いたいです。こうやって、フィリピンと日本の共作を世界中で観てもらえて、日本の文化を知ってもらえることが凄く嬉しいです」と、微笑んだ。
カンヌ国際映画祭の上映の反響がとても大きかったと語る監督は「色んな国の方から感想をいただいたり、取材をしていただき、映画の力を凄く感じていたので、もっと多くの国に広がっていけばいいなと思います」「たくさんの取材を受けましたが、質問の前に皆さんが熱く感想を語られて・・・。それだけ人と話したくなるような作品だと思います」と目を輝かせ、作品に対して自信を覗かせる。
倍賞は、脚本を読んだ当初は<プラン75>は、なんて酷い制度だと思ったそう。「それでも、(脚本を)読んでいくうちにどんどん惹かれていきました。私自身もその頃、生きることとか死ぬことを考えたりしていたので。監督とお会いしてお話をしていくうちに、だんだん(作品の意味が)分かってきて、生きることを大切にしているミチさんにとっても惹かれていきました。やっぱりいただいた命を大切にしなきゃいけないなと」と出演の決め手を明かした。
一方、プランを推奨する市役所職員を演じた磯村は、「現場で生まれる感情を大切にしようと思いました。たかお鷹さんとのシーンが印象的ですが、たかおさんから『ちょっと話すのは止めようか。距離を持っていた方がいいと思う』と言ってもらって。そこから見えてくるものもありました」と演じる上でのこだわりを吐露。さらに「監督ともシーンごとにお話しをさせていただき、役と寄り添っていただきながらヒロムという人物を、作品を一緒に作りあげていくことができました」と感謝の気持ちを口にする。
アリアンは「マリアは私にとって大切な役。監督が上手く演じられるように導いてくれました。私の文化についても色々と聞いてくれて、尊重してくれました。世界中で働いているフィリピンの方々を代表して、こういう役を演じられたということは本当に貴重な経験だと思っています」と、充実感を滲ませ、「マリアは心の強い女性なので、演じられて本当にありがたかった。磯村さんと共演できて、倍賞千恵子さんともお会いできて本当に感謝しています」とコメントした。
また、6月29日に誕生日を迎える倍賞を祝って、監督から花束が贈られると「81歳になります。これからも精進して参ります!」と満面の笑みを浮かべた倍賞。会場には温かい空気が漂っていた。
最後に早川監督が「この作品はたくさん余白のある映画だち思うので、自由に受け取っていただき、いろいろお話していただけたら嬉しいです」とメッセージを送り、舞台挨拶を終了した。
【STORY】
少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度<プラン75>が国会で可決・施行された。様々な物議を醸していたが、超高齢化問題の解決策として、世間はすっかり受け入れムードとなる。
夫と死別してひとりで慎ましく暮らす、角谷ミチ(倍賞千恵子)は78歳。ある日、高齢を理由にホテルの客室清掃の仕事を突然解雇される。住む場所をも失いそうになった彼女は<プラン75>の申請を検討し始める。一方、市役所の<プラン75>の申請窓口で働くヒロム(磯村勇斗)、死を選んだお年寄りに“その日”が来る直前までサポートするコールセンタースタッフの瑶子(河合優実)は、このシステムの存在に強い疑問を抱いていく。また、フィリピンから単身来日した介護職のマリア(ステファニー・アリアン)は幼い娘の手術費用を稼ぐため、より高給の<プラン75>関連施設に転職。利用者の遺品処理など、複雑な思いを抱えて作業に臨む日々を送る。
果たして、<プラン75>に翻弄される人々が行く着く先で見出した答えとは―――。
倍賞千恵子
磯村勇斗 たかお鷹 河合優実 ステファニー・アリアン 大方斐紗子 串田和美
脚本・監督:早川千絵
脚本協力:Jason Gray
企画・制作:ローデッドフィルムズ
製作:ハピネットファントム・スタジオ ローデッドフィルムズ 鈍牛俱楽部 Urban Factory Fusee
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
©2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee
公式サイト:https://happinet-phantom.com/plan75/
公式Twitter:@PLAN75movie #PLAN75
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