映画『楽園』の書店イベントが、10月8日、東京・紀伊国屋書新宿本店にて行われ、主演の綾野剛と共演の佐藤浩市、原作者の吉田修一、瀬々敬久監督が登壇した。
吉田修一のベストセラー小説を、映画『64-ロクヨン』の瀬々監督の手で実写映画化した本作は、ある地方都市のY字路で起きた少女失踪事件と、集落で暮らす男が、孤立を深め正気を失い誰もが想像しえない事件を起こすという2つの事件、その事件に翻弄される3つの運命と、その陰に隠される真実に迫る衝撃のサスペンス大作。今年、ベネチア国際映画祭や釜山国際映画祭で上映されるなど、国内外から高い注目を集めており期待は高まるばかり。Y字路で起きた事件の容疑者として追い詰められていく孤独な青年・中村豪士役を綾野、失踪した少女の親友だった湯川紡役を杉咲、少女失踪事件の近くの集落で愛犬と暮らす田中善次郎役を佐藤が演じる。
この日は、本作の公開を記念し、映画『楽園』が、紀伊国屋書店新宿本店をジャック!イベント会場には、原作ファン、そして本作の公開を待ちわびるファンが集結。綾野剛、佐藤浩市らがサプライズで登場すると、会場には悲鳴にも似た歓声が響き渡り、新宿の街が一気にどよめいた。
“誰もが楽園を求めている”という思いから瀬々監督がつけた本作タイトル。
書籍やポスターなど、まさに「楽園」一色になっている本書店を見て、綾野は「嬉しいです。映画と書店さんが連動して作品を盛り上げていくことはとても良いことではないかと思います」と笑顔を見せた。MCから「東京の楽園と言えば、“新宿”ではないでしょうか?」と言われると、「新宿が楽園ですか? へぇ~、そうですか」と少し納得がいかない様子。「新宿といえば、(以前出演した)『新宿スワン』の撮影中、通行人の危なさそうな人に髪の毛をつかまれた覚えしかないので・・・」と苦笑い。「なかなか激しい街かと。表裏一体ですから、ね?浩市さん!」と佐藤に話をふると、「俺に(話を)振らなくていい!(笑)」と佐藤。
先日、釜山国際映画祭のレッドカーペットに立った綾野は、「パワーに圧倒されました。2万人くらい集まった、凄い広い野外でレッドカーペットも長くて。興奮しました」と振り返り、「やはり、映画は国境を超えるんだなと。僕たちが何者か分かっていない人たちも全力で拍手を送ってくれる、その姿に感激しました」と、映画の力に改めて感動したようだった。
すでに本作を鑑賞した吉田は「圧倒されました。映画を観終わって、感情が全て奪い取られるような、あまり経験はしたことないような映画でした。そんな映画を作ってくれて感謝しています」と満足げ。
その言葉に綾野は「めちゃくちゃ嬉しいです。吉田先生の作品に出るのは3本目なんですが、まだまだ吉田ワールドに行きたいな。もっともっと頑張ろうと思います」と言い、監督をみやると、二人で「今後ともよろしくお願いいたします」と頭を下げて吉田を称えた。
本作の魅力について、佐藤は「何をもって楽園とするか、人によって受け止め方も違うし、人の目指す楽園とはどこにあるのか、いろんなことを考えてもらえる作品になっていると思う。お客様も観終わって一歩映画館を出たときに、なにかいい意味での後味の悪さを感じてもらえると思います」とコメント。
綾野は「この作品に出ている中には誰一人として心が乏しい人はいないと思っていて、状況や環境が生み出してしまう魔力があると思う。実は、皆さんの近くにはたくさんいて、そういう人達にもっと気づいてあげなくてはいけないし、もっと抱きしめてあげなければいけない。そういうことをこの作品を通して伝えていければ。そしてこの映画を皆さんに託したい」と伝えた。
原作となる「犯罪小説集」の新宿店限定のスペシャルカバーブックも発売されている。
現在、「犯罪小説集」の続編となる「逃亡小説集」も発売中。すると、綾野は「『逃亡小説集』やりましょうよ! 何かから逃げたいです。ぜひ!」と早くも次回作に期待を寄せていた。
<ストーリー>
あるY字路で起こった少女失踪事件。未解決のまま、家族や周辺住民に深い影を落とし、直前まで一緒にいた少女の親友・紡(杉咲 花)は罪悪感を抱えたまま成長する。12年後、またそこで少女が姿を消し、町営住宅で暮らす青年・中村豪士(綾野 剛)が容疑者として疑われた。互いの不遇に共感しあっていた豪士を犯人とは信じ難い紡だったが、住民の疑念が一気に暴発し、追い詰められた豪士は街へと逃れ、思いもよらぬ自体に発展する。その惨事を目撃していた田中善次郎(佐藤浩市)は、Y字路に続く集落で、亡き妻を想いながら、愛犬・レオと暮らしていた。しかし、養蜂での村おこしの計画がこじれ、村人から拒絶され孤立を深めていく。次第に正気は失われ、想像もつかなかった事件が巻き起こる。Y字路から起こった2つの事件、そして3人の運命の結末は―。
綾野 剛 / 杉咲 花
村上虹郎 片岡礼子 黒沢あすか 石橋静河 根岸季衣 柄本明
佐藤浩市
原作:吉田修一「犯罪小説集」(角川文庫刊)
監督・脚本:瀬々敬久
© 2019「楽園」製作委員会
配給:KADOKAWA
公式HP:http://rakuen-movie.jp
公式Twitter:rakuen_movie
⦅第76回ヴェネチア国際映画祭公式イベント“Focus on Japan”正式出品作品⦆
⦅第24回釜山国際映画祭“A Window on Asian Cinema”正式出品作品⦆
10月18日(金)全国公開