斎藤工「役に共感しかなかった」竹中直人監督の猛烈プッシュで映画化実現！ 原作者・浅野いにおも「竹中さんありきの映画」と絶賛！ 映画『零落』完成披露プレミア上映会

映画『零落』の完成披露プレミア上映会が、2月8日、東京・テアトル新宿にて行われ、主演の斎藤工をはじめ、共演の趣里、玉城ティナと、監督を務めた竹中直人、原作者の浅野いにおが舞台挨拶に登壇した。

本作は、カリスマ漫画家・浅野いにおの新境地に して衝撃の問題作『零落』を完全映画化。漫画家の残酷なまでの“極限の業”を描き出す。監督はデビュー作『無能の人』から 10 作品目となる竹中直人。主人公の元人気漫画家・深澤薫を斎藤工、“猫のような目をした”風俗嬢・ちふゆを趣里、敏腕漫画編集者で深澤の妻・町田のぞみをMEGUMI が演じ、さらに玉城ティナ、安達祐実、山下リオなどが顔を揃えた。また、MEGUMI は本作のプロデューサーも兼任する。

深澤という人物について、斎藤は「何かの役をいただいて、それを演じるという通常の方程式とは違う、説明を具現化できないキャラクターもあるんだなと。言葉を探しても見当たらない。これは作品を観ていただくしかない」と言い放つ。

そして、その役を演じる上で「もう心当たりしかなかった」と表現し、「原作に出会ったのは5～6年前になりますが、“ミドルエイジシンドローム”という必殺技みたいな言葉があるらしいんですけど、まさにそれだったのかもしれないと。近年ではスピルバーグ監督も自分に起きた出来事を映画にするように、表現者が外から内側に向いてくるわけです。浅野いにおの内臓を描いた部分が、自分の内臓じゃないかと思うような感じ。そんな心当たりを頼りに現場にいました。（彼の気持ちが）痛いほどわかる、これは自分のことじゃんじゃないかというくらい共感しかなかった」と説明した。

イベントが始まる前から、アフロのウイッグを被って会場を盛り上げ、観客を喜ばせていた竹中直人だが、原作の「零落」を手にしたときから猛烈な映画制作に搔き立てられたという。竹中は「ちょうど、工と、山田孝之と3人で『ゾッキ』という映画を撮って宣伝していたときに、ご飯を食べに行って。孝之が来れなくて工と二人で。その時に『次は浅野いにおさんの”零落”を撮りたいと思っているんだよ』って言ったら、『大好きです！』って。『じゃ、深澤（役を）やる？』ってね」とトントン拍子に話が進んでいった経緯を吐露。「その時の工の顔が忘れられない･･･」と懐かしそうに、嬉しそうに話す竹中。斎藤は「あの時、僕じゃなくて山田孝之がいたら、深澤役は山田孝之になっていたのかな･･･(笑)」と苦笑いするも、竹中は「工しかいないでしょ」と言い切った。

自身の私小説的な作品で恥ずかしさもあると言いつつも、竹中監督の熱量に圧倒されたという浅野。竹中は「純文学を読んでいるよう。漫画界の芥川龍之介です」と浅野を大絶賛。その熱は相当なものだったそうで、「竹中さんからとんでもない量のLINEがくるんです。竹中さんが先走りすぎて、『こういう話は間に出版社が入るんですよ』と僕から逆に教えたくらいなんです」と笑い、完成した映画を観て「竹中さんがいなければこの映画は出来なかった。竹中さんありきの映画でした」と感想を述べて感慨していた。

個性的な女性を演じた趣里は、「いにお先生の原作の女の子を演じられるということはとても光栄だと思うと同時に、たくさん原作ファンの方がいらっしゃるので、プレッシャーでもありました」としながらも、「心を持っていかれた衝撃を大事にして、現場では竹中監督が心強く導いてくださったし、あとは工さんに委ねてその空気感に身を置いていたので、とてもステキで楽しい現場でした」と回顧した。

一方で玉城は、深澤の魅力を「才能があるからこそ、残酷さみたいなを感じるのかも。深澤から見ても私やちふゆに対しての気持ちが同じ分量にはならない。そんな身勝手な自分を許しちゃっているところが可愛らしいのかなと思いました」と分析する。

また、劇中で深澤が「もうやってらんねーよ、こんなの！」と言うセリフにちなんで、「最近、やってられないと思ったことは？」と問われると、斎藤は「タクシーが空車だとおもったら、『迎車』だったとき。色味を変えてくれないかな」と注文。趣里は「掃除をしても、しても、髪の毛が落ちているとき」と答え、作品とは違う、ほのぼのとした空気が会場を包んでいた。

＜STORY＞
8 年間連載してきた漫画が完結を迎え、“元”売れっ子漫画家となった深澤。 次回作のアイデアも浮かばず、担当編集者からはぞんざいに扱われ、募る敗北感。 すれ違いが生じていた妻との関係は冷え切り、漫画家として切望されることのない現実が始まった。時間を浪費するだけの鬱屈した日々は深澤を蝕んでいく。
虚無感を抱えたまま立ち寄った風俗店で、 深澤は猫のような眼をした「ちふゆ」と名乗る風俗嬢と出会う。 自分のことを詮索せず、ただ「あなたはあなた」と言って静かに笑う 「ちふゆ」に、急速に惹かれていく深澤。 ある日、深澤は「ちふゆ」とともに彼女の故郷へと向かうことになり――。

出演：斎藤工
趣里 MEGUMI
山下リオ 土佐和成 永積崇 信江勇玉城ティナ ／ 安達祐実
原作：浅野いにお「零落」（小学館 ビッグスペリオールコミックス刊）
監督：竹中直人
脚本：倉持裕
製作幹事・配給：日活／ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション：ジャンゴフィルム
宣伝：ミラクルヴォイス
製作：「零落」製作委員会（日活／ハピネットファントム・スタジオ／小学館）
©2023 浅野いにお・小学館／「零落」製作委員会
公式 HP： https://happinet-phantom.com/reiraku/
公式ツイッター：@reirakumovie

2023年3⽉17⽇（⾦）テアトル新宿ほか全国ロードショー！