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「香港映画祭 Making Waves」香港アクション映画の栄光と今を描く「スタントマン」トーク・イベント

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11月1日(金)に開幕した「香港映画祭 Making Waves – Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」。東京では11作品が上映される。その中から11月2日には「スタントマン」(原題:武替道STUNTMAN)」が上演された。
上映前には、本作の双子のアルバート・レオン監督(梁冠堯)、ハーバート・レオン監督(梁冠舜)と、出演したテレンス・ラウ(劉俊謙)、フィリップ・ン(伍允龍)、そしてプロデューサーのアンガス・チャン(陳羅超)が登壇。5人は舞台挨拶を行い、上映後にも5人が参加してトーク・イベントが行われた。

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ハーバート・レオン アルバート・レオン テレンス・ラウ フィリップ・ン アンガス・チャン(

「スタントマン」は香港電影発展局による首部劇情電影計劃(英語:First Feature Film Initiative)のプロ部門で入賞し、資金援助を得て製作された作品。香港で2024年9月26日から公開され、10月末時点で興行収入900万元を突破。第61届金馬奨最優秀アクション賞にノミネート中で、香港での観客評価も10点満点中9.5点という最新大ヒット作。日本での一般公開に期待膨らむ1本だ。

監督のアルバート・レオン&ハーバート・レオンは、アクション俳優としてTwins主演でサモハンや呉京(ウー・ジン)出演の「ツインズ・ミッション」(原題:雙子神偸)にも出演。一時期は生活のため映画界をはなれるも、映画製作への想いは止み難く、自ら映像制作会社を設立。他作品の映画制作に加わりながら、本作を温め「首部劇情電影計劃」で入賞したことで資金問題も解決。本作で監督デビューを飾ることができた。

本作は、香港アクション映画のスタントマンたちの血と汗と涙を描く物語。トン・ワイとテレンス・ラウが師匠と弟子、新旧2世代のスタントマン役を演じる。
トン・ワイはブルース・リー主演『燃えよドラゴン』で「Don’t think. FEEL!」と頭をはたかれていた少年。後にアクション俳優となり、「男たちの挽歌」「いますぐ抱きしめたい」「欲望の翼」などでアクション監督を務め、監督・俳優としても活躍してきた。今年66才。俳優としては7年ぶりの出演、主演映画は32年ぶり。
一方のテレンス・ラウは「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」(原題:九龍城寨之圍城)でブレイク。香港演藝學院で演劇を専攻し、舞台俳優として培った実力と、かつては体育教師を目指したこともあるという運動神経が、今の人気につながっているようだ。

【舞台挨拶&トーク・イベント】

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映画の上映前に5人が登壇。テレンスは「私は劉俊謙。よろしくお願いします」は自分の名前だけ広東語だが、日本語で挨拶。フィリップは元気に日本語で「おはよう!」と呼びかけて盛り上げた。アルバート・レオンは英語で自らの名前を告げ、ハーバート・レオンは広東語で「この香港映画、アクション映画を観に来てくれてありがとう!」と感謝を述べた。
上演後に、再び大きな拍手を受けて登場した。

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アルバート:映画をご覧頂いて、共感するところがあったかと思います。実は17年間、私はアクション俳優をやっており、自分や同僚、先輩が経験したことをこの映画の中でこの映画の中にいれました。この映画を気に入っていただけたらと思っています。

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ハーバート:この映画の中にはアルバートの言ったように、我々もいろんな経験をいれています。この映画から何か感じ撮っていただけたらと思っています。

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アンガス:この映画の中に、アクション映画の黄金時代というものを見つけもらえたら、大変嬉しいです。非常にありがたいことに、この2人の若手監督がこの映画を撮ることができた。またこの作品はいつか日本でも公開されたらと期待しています。

―監督は双子ですが、役割分担はありまか?
ハーバート:前々からプロデューサーからも見た目はそっくりで、声も似ているので、現場がややこしくなる。現場でどう分担するのかと言われていました。この映画は撮影日程が短いので、役割分担はしていませんでした。でも現場では、彼が1、3、6シーンを撮るなら、僕は7、9、10という具合に自然に役割分担ができて、大きな問題はありませんでした。

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「付け加えることはないの?」と問われて「だいたい言ってくれたから」と答えたアルバート。「ここでも役割分担ができているようで」と笑いが起きた。そして付け加えたコメントがこちら。

アルバート:双子ですが、映画に対する見方はそれぞれ違いがあります。お互い自分の考えがあるので、満点にならないのは当然なのですが、私も一緒に仕事をして彼からもたくさん学びましたし、他の人の意見を受け入れることを学びました。これは大事なことだと思います。

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―撮影で怪我はしませんでしたか?
フィリップ:テレンスの方がアクションが多いので、先に答えてもらいましょう。

テレンス:この作品が私の2作目のアクション映画です。1作目の「トワイライト・ウォリアーズ」では僕は他人を殴るシーンが非常に多かったのですが、この映画は真逆で殴られっぱなしです。殴られるシーンが多いと、早めにスタントマンと話し合い練習をしました。ご覧になったと思いますが、私がやられて壁を越えて飛ばされるシーンがありますが、これが難しいんですよ。現場では安全のための準備はしているので危なくはないのですが、ただ何十回もやられると、やっぱりどうしてもあざだらけになります。幸い大きな怪我ありませんでしたけれど。

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フィリップ:この映画の撮影は非常に楽しかったですね。今回のアクション監督は素晴らしいく、細かいところまで最初から考えて準備してくれていました。スタントマンの皆さんとも以前から一緒に仕事をしていて、互いにはよく知る仲だったので、手際よく進みました。この映画は撮影期間が非常に短かったのですが、早くいいアクションが撮れたと思っています。忘れ難いシーンは、私がテレンスを何度も蹴るシーン。何度も何度も蹴って、そのたび彼が転んでいくので、可愛そうで、私の心も痛くなりました。もし彼と僕の役が逆だったら、僕にはむりだったのではと思っています。テレンス、ごめんね。でも、撮影期間はとっても楽しかったです。

―本作の出演を決めた理由は?
フィリップ:私は長年、香港で俳優とアクション監督をやってきました。以前、私がアクション監督をした作品で、この双子の兄弟が出演して一緒に仕事をしたことがあり、それがきっかけで友達になりました。その彼らが、8年ほど前に映画の準備をしていると聞きました。その後、資金問題も解決され、しかも私の良き友人のアンガスさんがプロデュースすると聞いて、台本も見ずに出演することを決めました。この映画のポイントがスタントマン、武術、人間の命の尊さを描くことと聞いて、オファーがなくても演するよと言いました。一緒に仕事をして大変楽しかったですし、とても光栄でした。

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テレンス:役者として仕事をしていると、自分とはかけ離れた人たちの考え方に興味を惹かれるときがあります。例えば、撮影現場ではたくさんのスタントマンがいますが、一期一会とで、仕事だけでして、話もろくにしないとことがあります。 この映画はスタントマンの方たちの暮らしを描く映画だと聞きました。しかも、1世代だけでなく2世代や3世代 のスタントマンを描くと聞いて、彼らの今置かれている状況を考えると、香港そのものを描いているのかなと思うようになりました。香港にも大変輝かしい時代があったけれど、でも今はなんとなくその輝きが失われているような気もします。スタントマン方たちの詳しい話を描くことは、香港そのものをも描くことになるのかなと。話を聞いて、躊躇なく出演を決めました。

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(ネタバレです)ラストシーンの屋上から飛び降りるシーンについて、スタントマンが準備されていたにも関わらず、トン・ワイが自ら飛び降りることを希望し、しかも2度飛んだという秘話も明かされた。両監督のトン・ワイへの深い尊敬の念が感じられる場面だった。

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そして最後にはフィリップが手のひらで相手を突き飛ばすアクションを実演。客席からの希望者を見事一撃で吹っ飛ばし、大歓声拍手喝采。興奮冷めやらぬ中、ゲストが観客と記念撮影をしてイベントを終えた。

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「香港映画祭 Making Waves – Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」
東京 2024年11月1日(金)~11月4日(月) YEBISU GARDEN CINEMA
大阪 2024年11月9日(土)~11月11日(月) テアトル梅田
福岡 2024年11月15日(金)~11月17日(日) ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13
公式サイト https://makingwaves.oaff.jp/
公式X @MakingWaves_HKC 公式Instagram @makingwaveshkc
主催:香港国際映画祭協会  協力:大阪アジアン映画祭
後援:香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部  助成:香港特別行政区政府 文創産業發展處