永作博美主演の映画『さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~』の完成披露試写会が、1月29日、東京・新宿バルト9にて行われ、舞台挨拶に、永作博美をはじめ、共演の佐々木希、子役の桜田ひよりと保田盛凱清、姜秀瓊(チアン・ショウチョン)監督が登壇した。
本作は、日本のさいはて奥能登を舞台に、焙煎珈琲店を営む女主人の岬(永作)と、心に傷を抱えながらも二人の子供を育てるシングルマザー絵里子(佐々木)との交流を描いた心温まる物語。エドワード・ヤン監督の『クーリンチェ少年殺人事件』で女優デビューした後、助監督を経て2008年監督デビュー、様々な映画祭で賞を総なめにし、今世界から注目を集める台湾映画監督、姜秀瓊(チアン・ショウチョン)がメガホンと取った。
完成度の高い作品に仕上がった要因について永作は、「最後まで信じてぶれない監督のおかげではないでしょうか」と語り、「あまりカットを割らず、長回しで撮ってくれたので、映画の流れを掴むことができてありがたかった。日本の静かな空気が映し出され、落ち着きを感じる作品になっています」とコメント。
この長回しに苦労したという佐々木は、「こんな撮影は初めてでした」と苦笑い。永作からも「目に見えて戸惑っていましたね(笑)。すごく頑張ったと思いますよ」と労いの言葉をかけられる。「目が泳いでしまい、どうしようかと思った時に永作さんが来て魔法の言葉をかけてくださったんです。力をいただき本当にありがたいなと思いました」と述べた。また、シングルマザー役にも初挑戦。「弱さを隠すために強がる刺のある母親。とても繊細な表現が必要だったのですが、監督と永作さんからアドバイスをもらい頑張ることができました」と、感謝の気持ちを伝えた。
二人の子役たちも、家族のようで楽しかったと語る。絵理子の娘役の桜田は、「永作さんと佐々木さんの演技を近くで見て、とても勉強になりました。休憩時間も遊んでもらった」とニッコリ。保田も「撮影の時も休憩の時も一緒にいてくれた。監督も優しかったです」と可愛い笑顔を振りまき、会場の雰囲気も和やかに。
日本のスタッフ、俳優との顔合わせを楽しみしていたというチアン・ショウチョン監督は、「プロ集団だと聞いていましたが、期待以上の仕事をしてくれて本当に幸せでした」と語り、「永作さんはベテランの女優さんですが、外国人の監督にも真摯な心でオープンに接してくれました。佐々木さんとはグッドタイミングで出会うことができました。これから実力派を目指す女優さん。準備段階から『宿題をください』『参考になる作品を教えてください』と言って、すごく努力をされていました。そういうところが絵里子にも重なるのでは?」と称えた。
劇中で珈琲を焙煎するシーンを見せる永作は、実際に焙煎をマスターし、撮影現場でもみんなにコーヒーを振舞ったという。佐々木や桜田から「すごく美味しかった」と言われ嬉しそうに微笑んだ。「焙煎は簡単にマスターできるものではないんだなと思いました。珈琲は五感で入れるもの。焙煎しているのをゆっくり待つのも美味しい珈琲をいただくことに必要な時間だと感じました」と優しく語った。
最後に、佐々木が「すばらしい作品に出会うことができました。能登半島の景色も素晴らしいです。心がほっこり温かくなる作品になったと思います」と作品の出来栄えに自信をみせると、永作は、「静かに淡々と進んでいく映画は他にはなかなかないと思います。大人の静かなエネルギーと、その中で子供たちの無邪気な笑顔があって、ちょっぴり切なくなる作品です。そういうところを感じて気に入っていただけたら嬉しいです」と挨拶。
映画のキーワードになる「ただいま」「お帰り」の言葉を会場の観客と掛け合い、舞台挨拶を終了した。
映画『さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~』
<STORY>
最果ての海辺で吉田岬(永作博美)は朽ちかけた舟小屋を改装し、焙煎珈琲店「ヨダカ珈琲」の営業を開始する。「ヨダカ珈琲」の向かいに住むのはシングルマザーの山崎絵里子(佐々木希)と二人の子供たち。絵里子は生活の為に家を空けることが多く、幼い姉弟はたったふたり、肩を寄せ合って母のいない日を過ごしている。
珈琲店を訪れる様々な人々との交流が生まれる中、ある夜、舟小屋で“事件”が起きる。絵里子が岬の危機を救ったことで事件は未遂に終わったものの、深く傷つく岬。そんな岬の為に珈琲を淹れる絵里子。温かい珈琲が、傷つき、頑なだった心を溶かしていく…。いつしか4人は家族のように支え合って暮らし始める。そんな中、絵里子は岬が最果ての地にやって来た本当の理由を知ることに。それは、漁師だった岬の父にまつわるもの。そして父について衝撃の事実が岬にもたらされ…。
出演:永作博美 佐々木希
桜田ひより 保田盛凱清 臼田あさ美
イッセー尾形 村上 淳 永瀬正敏(友情出演) 浅田美代子
監督: 姜秀瓊(チアン・ショウチョン)
脚本:柿木奈子
音楽:かみむら周平
(c)2015「さいはてにて」製作委員会
配給:東映
公式サイト:http://www.saihatenite.com/
2月28日(土)より全国公開!