『鹿の王 ユナと約束の旅』の完成披露イベントが、1月17日、東京・イイノホールにて行われ、堤真一、竹内涼真、杏の豪華声優陣と、安藤雅司監督が舞台挨拶に登壇した。
上橋菜穂子のベストセラー巨編「鹿の王」を原作に、『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『君の名は。』の異才アニメーター・安藤雅司が監督デビュー作で挑んだ本作は、壮大な世界観の中に、謎の病を巡る緻密な医療サスペンスと感動の物語を圧倒的なスケールで届ける冒険大作。二度の公開延期を乗り越えて、いよいよ2月4日(金)に公開を迎える。
物語の主人公・孤独な戦士ヴァン役を堤真一、もう一人の主人公・謎の病の治療法を探す天才医師ホッサル役を竹内涼真、抗体を持つ者を追う暗殺者サエ役を杏が演じる。
声優初挑戦となる堤は「原作のファンでもありましたし嬉しかったんですが、アテレコの経験がなかったものですから、監督に『何回NG出してもいいような環境でやらせてください』とお願いしました」と不安も大きかったようで、知り合いでもある声優の落合福嗣氏に相談もしたという。実際に演じてみて、「二度とやりたくないくらい難しかったです」と苦笑い。
アニメの声優は初めてという竹内は「アニメの声優は自分は無縁だと思っていました。(映像の)美しいビジュアルから聞きたい声はどうなんだろう・・・、ホッサルの人となりを考えて臨みました」と役と真摯に向き合った様子。さらに「相手役の声優さんが一発で完璧にやられるので、悔しくて何テイクもやりました。結果、ボッサルと共鳴できて良かったと思います」と充実感を滲ませ、「いま公開するのも運命」と、延期を超えての公開を喜んだ。
また、原作の大大大ファンという杏は、以前から原作者の上橋先生と交流があったそうだが、「まさか、自分がこの世界の中に入って演じることになるとは・・・と思いました。上橋先生に『私がサエで大丈夫ですか?』と聞きましたら『ぜひやってください』と言ってくっださって」と背中を押された様子。本作について「政治や医学など重いテーマをファンタジーの中で描くことによって私たちが普段生きている世界が浮き彫りになるような気がしました。決して作られた世界ではない何か、真実がたくさん詰まっている。色々な病が蔓延するというところも凄くメッセージ性があるので、どのように立ち向かっていったらいいのかを共有していただければ」と熱く語り、作品をアピールした。
3人について、監督は「ブースの内側にいて、お三方ともとても誠実に真摯に取り組んでいただいていることが本当に伝わってきました」と称えると、その言葉に「救われます」と安堵の顔を見せた堤だった。
もちろん、今作の魅力はアニメーション映像にもあるが、一番の魅力を聞かれたキャストたちはフリップに書いて発表。なんと三人の答えは「鹿」(堤)、「ピュイカ」(竹内)、「鹿の可愛さ」(杏)と同じとなり、杏が「鹿し(しかしか)かない!」とダジャレともとれる発言をして会場の笑いを誘う場面も。三人とも「動物の動き、表情が素晴らしい!」と絶賛した。
また、“鹿の王”とは「仲間のために命を懸けて戦う者たちのこと」と表されていることから、「自身の“鹿の王”は?」と問われたキャストたち。堤は役者を始めたころの演出家の名前を挙げ「『(お客様は)お前を観に来ているんじゃない。この役とこの役の関係性を観に来ているんだ。セリフは自分の役を説明する道具じゃない!』と、けちょん、けちょんに言われて。凄く怖かったけれど、それが合って今の自分に近づけていると思う」と、感慨深げに感謝の気持ちを口にした。
竹内は大学時代のサッカー部の監督やコーチらと答え、「就職をどうするか考えているときに、『俳優をやりたい』と打ち明けたら、笑わずに真剣に聞いてくれて応援してくれたんです。それで一歩踏み出すことができました」と振り返る。
杏は10代からの友人を。「お互いを良く知っていて、お互いの人生を共有しているような友達。何かあったら何よりも先に駆け付ける。いつもSNSでワイワイ話しています」と友人たちとの信頼関係を吐露。
最後に堤が「ようやく公開できることになりました。ファンタジーやサスペンスなど色んな要素がある映画ですが、この時期に観るべき作品。この状況だからこそ、明るさや力をももらえると思います。それぞれの立場でそれぞれ共感できるところがあると思うので、ぜひ多くの方に観ていただきたいです」とメッセージを伝え、イベントを締めくくった。
<ストーリー>
かつてツオル帝国は圧倒的な力でアカファ王国に侵攻したが、突如発生した謎の病・黒狼熱(ミッツァル)によって帝国軍は撤退を余儀なくされた。以降、二国は緩やかな併合関係を保っていたが、アカファ王国はウィルスを身体に宿す山犬を使ってミッツァルを再び大量発生させることで反乱を企てていた。ミッツァルが国中で猛威を振るう中、山犬の襲撃を生き延びたヴァンは身寄りのない少女ユナと旅に出るが、その身に病への抗体を持つ者として、治療薬開発を阻止したいアカファ王国が放った暗殺者サエから命を狙われることになる。一方、治療薬を作るためヴァンの血を求める医師のホッサルも懸命にヴァンを探していた――。様々な思惑と陰謀が交錯した時、運命が動き始める。
『鹿の王 ユナと約束の旅 』
■声の出演:堤真一 竹内涼真 杏
木村日翠 安原義人 桜井トオル 藤真秀 中 博史 玄田哲章 西村知道
■原作:上橋菜穂子『鹿の王』(角川文庫・角川つばさ文庫/KADOKAWA刊)
■監督:安藤雅司 宮地昌幸
■脚本:岸本卓
■キャラクターデザイン・作画監督:安藤雅司
■コンセプトビジュアル:品川宏樹
■美術監督:大野広司
■色彩設計:橋本賢
■撮影監督:田中宏侍
■音響監督:菊田浩巳
■音楽:富貴晴美
■アニメーション制作:Production I.G
■コピーライト:Ⓒ2021「鹿の王」製作委員会
■公式Twitter
https://twitter.com/shikanoou_movie
■公式サイト
https://shikanoou-movie.jp/
2022年2月4日(金)全国ロードショー!