阿部サダヲ「晴れときどき殺人みたいに普通に演じた」！？ 長髪に初挑戦の岩田剛典は「母親に似てるな」 映画『死刑にいたる病』公開記念舞台挨拶

映画『死刑にいたる病』の公開記念舞台挨拶が、5月7日、東京・新宿バルト9にて行われ、W主演の阿部サダヲと岡田健史をはじめ、共演の岩田剛典と白石和彌監督が登壇した。

『凶悪』『彼女がその名を知らない鳥たち』『孤狼の血』などで高い支持を得ている、今日本映画界で最も注目される白石和彌監督の手で、作家・櫛木理宇の最高傑作を映画化。本作は、１件の冤罪証明を依頼した連続殺人鬼・榛村と真相解明に奔走する大学生・雅也の姿を描く驚愕のサイコサスペンス。榛村大和を阿部サダヲ、筧井雅也を岡田健史が演じ、謎の男・金山一輝を岩田剛典（EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE）、雅也の母・筧井衿子を中山美穂のほか、宮﨑優、鈴木卓爾、佐藤玲、赤ペン瀧川、大下ヒロト、音尾琢真ら新鋭若手から白石組常連のベテラン個性派俳優が集結した。

完成作品を観たときの感想を、阿部は「単純に面白かったですね。面会室のシーンはどういうふうに出来上がっているんだろうと思っていたので、凄かった。アイディアがいっぱい詰まっていて楽しかったです」と満足気。昨日公開し、「ポップコーンが途中から食べれなくなってしまった･･･という方もいらっしゃいましたね」とニヤリ。

岡田は「僕自身、初めて自分の芝居を面白いと思ったので、ぜひ観て欲しいと強く思える作品でした。特に僕の世代の方々に観て欲しいです」と作品の出来栄えに自信をのぞかせ、「今までにないくらい褒められています」と笑顔を見せた。

岩田は「僕は午前中に初号を観ましたが、（その後）少し食欲がなくなりましたね」と苦笑いしつつ、「本当に面白くて見ごたえのある映画。凄いものを見てしまったという感覚で、このサイコキラーは邦画史に残るんじゃないかというくらいインパクトがありました」と感想を述べる。

何度も観たという岡田に阿部は「狂ってるね(笑)」と笑ったそうだが、白石監督も「観るたびに面白くなってくるんです。中毒性のある映画。雅也の視線、大和の視線、そのほかの人の視線から観るとまた見方が変わってくると感じました」と作品を分析した。

役作りについて、阿部は「榛村はいたって普通の男性。普通に普通に演じました。普通に見えれば見えるほど、そのギャップが生まれてくる」と説明し、「“晴れ時々殺人”みたいな感じですよ」と言って会場を沸かせた。

本作の見どころでもある面会室のシーンを岡田は「最後の3日間で撮影したんですが、（面会ごとに）まったく違う3つの段階があるので、その違いを明確に自分の中で理解して整理して落とし込めば、そこに雅也が現れるんじゃないかなと思いました。目の前には怖い大和がいるので」と真摯に役と向き合ったことを吐露。

一方、長髪で顔が半分隠れている謎の男という、本人とはギャップが大きい役を演じた岩田は「見た目からしてこれまでなかった役で新しいチャレンジでした。でも、白石監督は僕のことをどういうふうに思われていたんだろうなと･･･(笑)」とし、「長髪にして鏡を見たら、ちょっと母親に似ているなと思って。僕は母親似なんですが、趣があってちょっと目覚めてしまいそうでした(笑)」と初挑戦の役がらを楽しんだ様子。

そんな岩田を白石監督は「（岩田の役は）微妙なラインの上を歩かなければいけないので、俳優としての力も必要で難しい役。（岩田なら）どんな役でもできるだろうと思ってお願いしてみました」と信頼感を覗かせ、「でも、役の上では存在感を消してくれるんですが、どんな姿になっても、色気とか立ち姿のカッコ良さが出てきて本当にステキな方だなと思いました」と称える。そんな誉め言葉を受け、岩田は「恐縮です！ありがとうございます」と大照れだった。

また、作品名にちなんで「〇〇にいたる病」というお題で、自分がいま病的にハマっていることをフリップに書いて発表することに。阿部は「爪が顔」と書き、「僕は爪が好きなんでしょうね」と含み笑いをしつつ、「ずっと爪を見ていると顔に見えてくるんです。左手の薬指の爪をずっと見ていると最近、天海祐希さんに見えてくるですよ」と言って、岡田に「見えない？」と爪を見せて会場の笑いを誘う場面も。

岡田は「料理」と答え、「昨日、阿部さんがこの映画を観ていると連絡くださったときにちょうど“かぼちゃサラダ”を作っていました」と明かす。岩田は「べランディング」と回答。「天気のいい日にコーヒーを飲んだり、食事をベランダに運んで食べたりするのにハマっています」と言い、「ベランダでたまに爪を眺めながらビールを飲んで･･･」と阿部の話に乗っかり、「でもまだ爪が誰かに見えるってことはないですね」と笑った。

最後に、白石監督は「何度か観ると、いろんな人たちの言動が色々ひっくり返っている作品。映画を観たあとの街の景色もきっと変わるんじゃないかなと思います」と語り、岩田は「コロナ禍の中でも撮影で公開されるか不安もありました。本当に自信作になっているので、ぜひ皆さんに背中を押していただければ」とアピール。岡田は「僕自身も凄く思入れがある映画になっています。重い作品ではありますが、皆さんの人生の中に刻まれたら幸いです」とし、阿部が「（映画を観終わって）皆さん、『あそこはどうなっているんだろう』『どういうことなんだろう』と凄くしゃべりたいと思います。映画を観終わってからいっぱい話せる作品は面白い映画だと思うので、ぜひ色んな人にお伝えしていただきたいです。幅広い年齢層の方に観て楽しんでいただければ嬉しいです」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。

【STORY】
理想とは程遠いランクの大学に通い、鬱屈した日々を送る雅也（岡田健史）の元にある日届いた1通の手紙。それは世間を震撼させた稀代の連続殺人事件の犯人・榛村（阿部サダヲ）からのものだった。24件の殺人容疑で逮捕され、そのうちの9件の事件で立件・起訴、死刑判決を受けた榛村は、犯行を行っていた当時、雅也の地元でパン屋を営んでおり、中学生だった雅也もよくそこに通っていた。「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人は他にいることを証明してほしい」。榛村の願いを聞き入れ、雅也は事件を独自に調べ始める。そこには想像を超える残酷な事件の真相があった――

出演：阿部サダヲ、岡田健史
岩田剛典　／　宮﨑優　鈴木卓爾　佐藤玲　赤ペン瀧川　大下ヒロト　吉澤健　音尾琢真　／　中山美穂
監督：白石和彌
脚本：高田亮
原作：櫛木理宇「死刑にいたる病」（ハヤカワ文庫刊）
配給：クロックワークス
©2022映画「死刑にいたる病」製作委員会
HP：https://siy-movie.com/
twitter：@SIYmovie

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