俳優の磯村勇斗が企画・プロデュースを務める「しずおか映画祭」が11月4日、静岡県・沼津市民文化センターにて開催された。
本映画祭は、静岡県出身の磯村が、「映画を身近に感じてほしい」という想いから企画がスタートし、新たなクリエイターたちの出会いの場となる映画祭を目指すべく開催。本映画祭では、静岡にゆかりのある作品を上映。
会場が暗転し、磯村が監督を務めたオープニング映像が流れ、いよいよ映画祭がスタート! 大きな拍手で迎えれた磯村は、“映画を身近に感じて欲しい”という想いから映画祭を立ち上げたことを伝え、「1年前に、沼津市市制100周年の際にこの舞台に立って、『映画祭をやりたいです』と言ったのですが、こんなに早く自分の夢が叶うとは思っていなかったです。多くの企業、スポンサー、団体の皆さまのご協力、皆さまの応援のおかげで開催することができました。改めて、ありがとうございます」と満席の会場を見渡し、感謝の気持を表した。
さらに、沼津市長・頼重秀一氏も駆け付け、「磯村さんから、『自分が生まれ育った沼津で映画祭を開催したい』という話をいただき、たった1年で実現された企画力と人的ネットワークの素晴らしさ、そして実行委員会の皆さま型の行動力に感服しています」と述べ、「しずおか映画祭」第一弾を沼津市で開催されたことを喜び、開催を祝った。
映画祭は三部構成で進行され、オープニング作品には原田眞人監督作品『わが母の記』を上映。本作が沼津市で撮影されたというゆかりに加え、原田監督と磯村が共に沼津市の出身という縁から、映画祭の幕開けを飾るにふさわしい作品となった。
同じ沼津出身の大先輩となる原田監督について、磯村は「どこかでお会いできるかなと思っていたのですが、今までなかなかお会いできずでして・・・。今回『しずおか映画祭』をやるなら、原田監督が居ないと無理です!と言ってお願いし実現しました」と、本作を上映作品として選んだ理由を明かし、緊張の面持ちで原田監督を紹介。
原田監督にとっても、映画祭の開催地となった沼津市文化センターについて「昔、私の通っていた沼津東高校がこの場所にあったんです。星空を眺めて大人になったら何しようか、宇宙の果てにはなにがあるんだろうかと語り合ったりもした場所です」と自身にもゆかりのある地を懐かしんでいた。同郷の後輩である磯村が映画祭を立ち上げたことに、「素晴らしいです! 僕も沼津でも映画祭をやらなきゃと思っていたけれど何もできなかった・・・やはり勇斗様!」と称賛し、先日放送されたテレビ東京の「アド街ック天国」で磯村が学生時代に“勇斗様”と呼ばれたことにも触れ、会場を沸かす。“勇斗様”呼びされた磯村は「やめてくださいよ!(笑)」と大照れだった。
沼津出身の映画業界の先輩としてだけではなく、原田監督には運命を感じていたという磯村。「自分が初めて出会った映画が『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』。その日本語吹替え版の演出を担当されたのが原田監督でした」と話す。
一方で、原田監督は磯村の印象を「映画『PLAN 75』を観て、良い役者がいるなとビックリした。沼津出身にこんな役者が居たのかと思いました」と述べ、「いろんな作品で声を掛けようとしても、忙しくて全然スケジュールが取れない。でも、近い将来一緒にやりましょう」と語り、会場から大きな拍手が送られる。
MCから「実現するとしたら、どんな役で?」と尋ねられると、原田監督は「時代劇もいいし、現代劇も」と言いつつ、「来年やるとしたら、自衛隊の役かな」と構想。すかさず磯村は「マネージャーさん!来年のスケジュールを空けておいてください!」と反応し、「自衛隊の役をやってみたかったです。ぜひやらせてください!!」と懇願。MCから会場の観客が聞いていたことを念押しされた原田監督は「沼津だからね・・・(笑)」と笑った。
また、映画『わが母の記』では、沼津で撮影したシーンもあり、樹木希林さんが棺桶に入っていたシーンなどの撮影を振り返る。現場の生の空気を大事にしている原田監督。他にも多くの作品を沼津や静岡県内で撮影しており、「困った時は沼津というぐらい、ホームゲームになる貴重な場所」と言い、「映画『ヘルドックス』のオープニング映像も静岡で撮影したのですが、あれは愛鷹山(あしたかやま)の麓で、沼津市出身の故・山本泰平氏(元ハリプロ映像協会 会長)が教えてくれた場所でした」と裏話を披露。磯村も亡くなる直前まで「しずおか映画祭」の立ち上げにも尽力されていた山本氏に感謝していた。
さらに、『わが母の記』をはじめ、原田監督作品に多数出演している役所広司から応援メッセージ届き上映。役所は「『しずおか映画祭』を磯村くんが立ち上げると聞いてほんとに驚きました。とても素晴らしい。これからも何年も続いてくことを願っています」と、映画祭のさらなる発展を期待。そして、「ぜひ『八犬伝』もご覧ください。磯村くんの役に対する姿勢にとても刺激を受け、助けてもらいました。またご一緒するのを楽しみにしています」と現在公開中で磯村と父子役を演じた映画『八犬伝』のアピールも忘れなかった。
続いて、沼津出身の新悦・遠藤愛海監督が登場。遠藤監督は、京都造形芸術大学で映画製作を学んでおり、第46回ぴあフィルムフェスティバル2024で、監督作『さよならピーチ』が作品の優れたエンタテインメント性に対して贈られたエンタテインメント賞(ホリプロ賞)を受賞している。
遠藤監督とは運命的な出会いがあったと話す磯村。「『しずおか映画祭』の打合せ終わりに偶然訪れたお店の方に、『娘が映画監督を目指していているんです』と紹介されたのが遠藤監督だったんです」と明かす。大御所・原田監督を隣に緊張しながらも、「原田監督作品の編集の何がカッコいいのかをノートに書き出して勉強しているくらいです」と話すと、原田監督は笑顔で「ぜひ、編集室に遊びにきてください」と誘い、遠藤監督を喜ばせた。
また、原田監督は映画監督を続けていく上で「メンタルを鍛えること。あと、助監督は人柄が大事」とアドバイスを送っていた。
※映画祭のロゴは、静岡の県鳥の「サンコウチョウ」をモチーフにし磯村自らがデザインした。
しずおか映画祭
開催日時:2024年11月4日(月・振休)
場所:沼津市民文化センター 大ホール
企画:磯村勇斗
主催:「しずおか映画祭」実行委員会(https://shizuokaeigasai.jp)