豊原功補、小泉今日子らによる「新世界合同会社」初プロデュース作品
【主演】村上虹郎×芋生悠【脚本・監督】外山文治
和歌山を舞台に若い男女の切ない逃避行を描く
村上虹郎、芋生悠、外山文治監督ら登壇
公開を迎えた喜びを噛みしめる!
「この映画が公開されることが希望」
紅一点の芋生は夏らしい艶やかな浴衣姿も披露
豊原功補、小泉今日子、外山文治監督らで立ち上げた映画製作会社 「新世界合同会社」の第 1 回目のプロデュース作品『ソワレ』が8 月 28 日(金)に公開を迎え、翌 29 日 (土)に東京・新宿のテアトル新宿にて公開記念舞台挨拶を実施。W 主演の村上虹郎と芋生悠、外山文治 監督が登壇した。
前回の完成報会では無観客で報道陣のみを入れての開催だったため、本作で観客が入った状態で劇場で舞台挨拶を行なうのは、村上さん、芋生さんにとってはこの日が初めて。壇上に感染防止のアクリル板を設置し、客席とも距離をあけての実施となったが、この日を迎えられたことに一同、ホッとした様子。
村上さんは「ようやっとです…」としみじみ。「朝早くから、こんなどっしりとした映画を見に来てくださり、ありがとうございます。こんなご時世ですが映画館に足をお運びいただき嬉しいです」と感謝の思いを口にする。
劇中で演じたタカラを想像させるような浴衣姿で登場した芋生さんも「ようやく公開されて、みなさんの前に立てることを本当に嬉しく思っています。(目の前に観客がいる)この景色がいいなぁ…と思います」と笑顔を見せる。
外山監督は「この半年間、公開できるんだろうかと心配して、一度、アソシエイトプロデューサーの小泉(今日子)さんにお電話して『大丈夫ですか?』と聞いたんですが、『大丈夫!大丈夫!』と励ましていただいたこともありました。この日を迎えることができて、本当に良かったなと思います。こういった情勢ではありますけど、いまこそ伝えるべきメッセージを込めて映画を作ったつもりです」と言葉に力を込めた。
本作は昨年、和歌山県で撮影されたが、村上さんと芋生さんは、撮影中は、役の関係を意識して、カメラが回っていない時でもほとんど会話を交わすことはなかったそう。特に芋生さんは、心に傷を負っているタカラを演じ、かなり精神的にも引きずられる部分があったようで「撮休が一日だけあったんですけど、その前の日がかなりハードなシーンの撮影で気が滅入っちゃって、ホテルから出られず、カーテンを閉め切って暗い部屋の中にいました」と述懐。村上さんが、劇団員役の仲間たちとコミュニケーションの一環として人狼ゲームなどをしていたことを明かすと「うらやましかったです。私も人狼ゲームしたかった」とポツリ。
外山監督は改めて和歌山のロケーションの素晴らしさについて言及。「日本は狭いですから、いろんな映画がいろんな場所で撮られていて、何回か見たことのある景色が多いですが、和歌山にはまだ撮られていない景色が多くて、どこを撮っても絵になる、宝の山を見つけたような気持でした」と嬉しそうに明かしていた。
苦しさの中にもひと筋の希望を見出していく若い2人の物語にちなんで、最近、希望を感じた出来事は? という問いに、村上さんは、同世代の俳優仲間の寛一郎さんと一緒に、免許の更新に出かけたというエピソードを披露。自粛生活の影響で、昼夜逆転の生活になっており、朝、眠たい目をこすりながら会場に向かったそうで「(更新は)初回だったんですけど、僕、違反もあって(苦笑)。しかも調べたら印鑑とか住民票とかも必要って書いてあったんですけど、何も持ってなくて…。それでも無鉄砲に行ってみたら、意外にも印鑑はいらなくて、その瞬間、希望が見えました(笑)」と告白し笑いを誘う。さらに「余談ですが、証明写真を撮るとき、次が自分の番という時にマスクを取ったら、前の男性がこちらを振り向いたんですけど、高橋克実さんでした」と奇跡の出会い(?)を明かし、会場は驚きと笑いに包まれていた。
そんな村上さんの後に、同じく希望のエピソードを求められた芋生さんは「村上さんの後にしゃべるのイヤですね…」と苦笑しつつ「何よりこの映画が公開されることが私にとっては希望を感じた瞬間です」と語り、さらに普段はTシャツにサンダルの外山監督が、この日はジャケットを着て登壇していることに触れつつ「監督にようやくスタイリストさんがついたことが嬉しい。今日は希望しか感じないです(笑)」と語り、会場は再び笑いに包まれた。
舞台挨拶の最後に芋生さんは「村上さんと外山さんと3人でここに立って、みなさんの顔を見て、本当に公開されたんだなと感じています」と改めて公開の喜びを噛みしめる。そして「自分にとって、本当に大切な作品であり、ずっと愛される映画であってほしいと思っています」と本作への思いを語った。
村上さんは、俳優として初めて舞台挨拶に立ったのがこのテアトル新宿だったと明かし「最近、ミニシアターがいくつかなくなるって話を耳にして、僕も東京に出てきて、名画座に通っている時期に、ミニシアターがなくなっていくさまを少しは見ていたけど、やはりこの時期、(ミニシアターが閉鎖に追い込まれることが)哀しいな、寂しいなと感じる日々です。僕らもやはり映画以外の仕事をしないと食べていけなかったりするけど、この場所に戻ってきて、胸を張ってしゃべれるような未来が続けばいいなと思っています」とコロナ禍の中で苦しい状況に陥っている映画界全体への思いを語り「この映画について、もう僕らには何もできることはないので、お越しくださったみなさんにこの作品を託します」と呼びかけ、温かい拍手の中、舞台挨拶は幕を閉じた。
【作品概要】
本作は、老老介護の厳しい現実を見つめた短編『此の岸のこと』(10)や長編デビュー作「燦燦―さんさん―」(13)で海外からの絶賛を受け、センシティブな感性で唯一無二の世界観を作り出す新鋭・外山文治が和歌山を舞台にオリジナル脚本で挑む長編映画。主人公・翔太を演じるのは類稀なる吸引力で日本映画の台風の目になりつつある実力派俳優・村上虹郎と、100人以上のオーディションから大抜擢された最注目の新星・芋生悠(いもうはるか)の2人をW主演に迎え、若い男女の切ない逃避行を映し出し、各界から注目を浴びている。
<あらすじ>
ふたりで逃げた。幸せだった。
俳優を目指して上京するも結果が出ず、今ではオレオレ詐欺に加担して食い扶持を稼いでいる翔太。ある夏の日、故郷・和歌山の海辺にある高齢者施設で演劇を教えることになった翔太は、そこで働くタカラと出会う。数日後、祭りに誘うためにタカラの家を訪れた翔太は、刑務所帰りの父親から激しい暴行を受けるタカラを目撃する。咄嗟に止めに入る翔太。それを庇うタカラの手が血に染まる。逃げ場のない現実に絶望し佇むタカラを見つめる翔太は、やがてその手を取って夏のざわめきの中に駆け出していく。こうして、二人の「かけおち」とも呼べる逃避行の旅が始まった──。
村上虹郎 芋生 悠
岡部たかし 康 すおん 塚原大助 花王おさむ 田川可奈美
江口のりこ 石橋けい 山本浩司
監督・脚本 外山文治
プロデューサー:豊原功補 共同プロデューサー:前田和紀
アソシエイトプロデューサー:小泉今日子
制作プロダクション:新世界合同会社
製作:新世界、ベンチャーバンク、東京テアトル、ハピネット、ステラワークス、カラーバード
後援:和歌山県 協力:御坊日高映画プロジェクト
配給・宣伝:東京テアトル
2020年/日本/111分/5.1ch/シネスコ/カラー/デジタル/PG12+
(C) 2020ソワレフィルムパートナーズ
公式サイト:https://soiree-movie.jp/
全国公開中