2015年春に公開される映画『ソロモンの偽証』の製作報告会見が、11月12日、東京・明治記念館で行われ、佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、黒木華、尾野真千子の俳優陣と、成島出監督、原作者の宮部みゆき、そして、主演の藤野涼子をはじめ7人の中学生キャストが登壇した。本作は、ベストセラー作家・宮部みゆきが、構想15年、執筆9年を費やした長編ミステリー小説を原作に、2部作で映画化。日本アカデミー賞や主要映画賞を30冠受賞した成島出監督ら『八月の蟬』チームが再結集し、日本映画史上最強のヒューマン・ミステリー大作が遂に誕生した。
この映画のために選ばれた33人の中学生キャストは、1万人の応募者からオーディションを勝ち抜いた新悦たち。役名そのままの名前で女優デビューを果たした藤野は、「藤野涼子を演じます、藤野涼子です」とやや緊張の面持ちで挨拶。主役に決まった時の感想を「喜びという感情よりは、緊張という感情に見舞われました。こんな大役を自分が務められるのかという不安と、どうして演技経験の少ない私が選ばれたのか疑問でしたが、“中学生キャストたちが、今何を考えて行動しているのか”を常に考えて演じました」と、一つ一つの言葉をていねいに選びながらしっかりとコメント。
また、「藤野涼子を演じ、その感情を忘れたくないという気持ちからこの役名を(自身の芸名に)いただきました」と明かすと、宮部は、「作家にとって作品は子供のようなもの。役名をそのまま使いたいとお申し出をいただいたときは、二つ返事で了承しました。作家冥利に尽きます」と満面の笑みを浮かべた。
涼子の父親役の佐々木は、「撮影に入る時、『(藤野は)新人だから支えてあげて』と言われていましたが、リハーサルから全身全霊でシナリオと真剣に向き合って、もがきながら役と格闘している姿にいつも衝撃を受けていました。大変な現場でしたが、彼ら、彼女らに僕の方が毎回教わり支えてもらっていました。1万人から選ばれるだけのことがありますね」と手放しで絶賛。
涼子の母親を演じた夏川は、藤野の印象を「初めて会ったときは、とてもあどけなくて素朴な普通の中学生でしたが、撮影が進むにつれて役どころに苦悩している姿に、『頑張れ!』と後ろから応援していました。しばらくしてから会うと、急に凛として大人びていて驚きました」と、我が子を見るかのようにその成長ぶりに目を細めた。
撮影中、夏川からある言葉をかけてもらったという藤野は、「とても緊張していた私にかけていだだいた言葉を、今でも心の中で念じています。みなさんにもお話したいのですが、私の“心の呪文”なので、心に秘めておきます」と、思いを噛みしめるように語った。
事件から23年後の涼子を演じた尾野真千子は、この日が中学生キャストと初対面。「とても生き生きとしっかりしていて、私が大人役でいいのだろうかと感じました」とジョーク混じりに話すと、藤野から「初めてお会いしたときに、とても鋭くて綺麗な瞳だなと思いました。私も20年後、尾野さんのような綺麗なカッコいい女性になりたいと思いました」と憧れの眼差しを送られ、大照れに。
石井演じる樹里の母親役の永作も、子どもたちの成長ぶりに驚きを隠せない様子。「いつも後ろの方に引っ込んでいた彼女が、後半の校庭のシーンでは誰よりも前で待っていて・・・。『演じることが楽しくなってきた?』と尋ねたら、『はい!早くこのシーンをやりたいです』という答えが返ってきて、頼もしいなと思いました」と微笑んだ。
そんな中学生キャストを選出した成島監督は、「彼らには、朝は『おはようございます』、昼は『こんにちは』と挨拶し、夕方来て『おはようございます』と挨拶するような人間にはならないでほしいと言いました。真っ白で痛々しいくらい純粋な彼らと全てをかけようと思った作品です」と語り、作品の出来栄えに自信をのぞかせた。
【ストーリー】
クリスマスの朝、雪の校庭に急降下した十四歳。その死は校舎に眠っていた悪意を揺り醒ました。目撃者を名乗る匿名の告発状、新たな殺人計画、マスコミの過剰報道、そして犠牲者がひとり、また一人。何が嘘で、何が本当なのか?保身しか考えない教師たちに見切りをつけ、ひとりの女子生徒が立ち上がった。もう大人たちに任せておけない…。隠された真実を暴くため、学校内裁判が開廷される――。