映画『そして僕は途方に暮れる』の完成披露試写会が、12月5日、東京・イイノホールにて行われ、主演の藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2)をはじめ、共演の前田敦子、中尾明慶、豊川悦司、原田美枝子、香里奈と、三浦大輔監督が舞台挨拶に登壇した。
本作は、2018年にシアターコクーンで上演されたオリジナルの舞台を脚本・監督の三浦大輔と主演・藤ヶ谷太輔で再タッグを組み映画化。平凡なフリーター・菅原裕一がほんの些細なことから、恋人、親友、先輩や後輩、家族…と、あらゆる人間関係を断ち切っていく、人生を賭けた逃避劇。ばつが悪くなるとすぐに逃げ出してしまうクズ男・菅原裕一を、6年ぶりの映画主演となる藤ヶ谷太輔。前田敦子、中尾明慶が、舞台と同じ役柄で続投。映画からの新たなキャストとして、豊川悦司、原田美枝子、香里奈、毎熊克哉、野村周平ら個性的な実力派俳優が集結。さらに本作のエンディングでは、1984年に大ヒットを記録した大澤誉志幸の伝説の楽曲「そして僕は途方に暮れる」を起用し、大澤本人が本作のための新アレンジで歌唱している。
完成作品を観て、藤ヶ谷は「自分では俯瞰で観ることができなかったんですが、(作品を観た)関係者の皆様が笑っていたので、やっぱり一生懸命で滑稽なクズっぷりというのは笑えるんだなと感じました。映像に映る自分の表情を見た時に、自分ってこんな表情していたんだな、こういうお芝居をしていたんだなと。自分の新しい一面を監督に引き出していただけたと思いました」と、感想を述べ、監督にも感謝する。
前田と中尾は、舞台から続いて映画版にも参加したが、「まあ終わらない・・・」と現場を振り返る。前田は「本当に謝り上手な監督。藤ヶ谷くんは本当に凄いです」と監督のこだわりの詰まった作品であることを吐露。中尾も「(ロケで)北海道にも行けましたが、撮影が終わらない」と愚痴る始末。
裕一の父親役を務めた豊川は「大変だったけど、楽しかった。監督の異常なこだわりに“何をしてあげたらいいんだろう”と思った。僕、ちょっと気持ちよくなって、Mなんですかね?(笑)」とコメントすると、原田は「三浦さんの完成で包まれている作品。その感性が理解できないんです」と、監督の意向を大変する難しさ、撮影時の苦労も述べた。
また、藤ヶ谷にとって豊川や原田という大先輩のと共演には刺激も大きかったようで、「この三浦組を一緒に戦い抜いたということは凄く誇りに思います。同じ時間を共有できて、しかもお芝居をできて凄く嬉しかったです」と感慨。父親役の豊川とはずっとこたつに入っていたそうで、「なかなかOKが出ないもので・・・(笑)。人生でいうと15年分くらい入っていたかもしれない」と藤ヶ谷。豊川も「だんだん面倒くさくなって、待っている間もずっとこたつに入っていましたね」と笑った。
撮影中にお腹が痛くなったことがあったという藤ヶ谷だが、「原田さんから『咀嚼できていないものがやっぱり食べ物と一緒でどんどんお腹にたまって痛くなってしまう』ということを聞いて、三浦さんの気持ちが咀嚼できていなくて腹痛に襲われたんだなと思いました(笑)」とエピソードを明かす一幕も。
香里奈は藤ヶ谷とは10年近く経っての久しぶりの共演。「10年くらいの間にたいちゃんが色んなことを体験して人としても役者としても経験を積んできたんだなということがお芝居にも表れていて頼りになる座長であったし頼もしかったです」と、藤ヶ谷を称えた。
撮影中も全員が揃うというシーンはなかった本作。キャストが顔を揃えて、監督は「本当に凄いメンバーだなと思って。素晴らしいキャストの皆さまに支えられて達成できたんだなとあらためて実感しています」と、しみじみ。
撮影中には楽しい思い出が1つもなかったという藤ヶ谷。「LINEグループを作ろうとか、そういうテンションも全然ないですし、振り返ると楽しい思い出は1つもなかったです」と苦笑い。それでも、「お芝居をやるということでは楽しかったです」と胸を張った。
撮影の思い出を聞かれた豊川は「“アルフォート”を100個くらい食ったくらいですかね。カップそばも5杯くらい食べたよね」とこぼすと、藤ヶ谷が「大先輩が食べてます。出てきます!」と話し、会場を沸かせていた。
主人公が些細なことからあらゆる人間関係から「逃げて、逃げて、逃げまくる―」という本作のストーリーにちなみ、キャストそれぞれに「今年一番 “逃げたくなった話”」や実際に「“逃げてしまったこと”」などを聞くと、前田は「ベランダに出たゴキブリから逃げた」、中尾は「夜ほろ酔い気分で帰ったら妻に『酔ってるの!?』と言われ、逃げたくなった」と。豊川は「子供とディズニーランドに行って、コーヒーカップを何回も乗り気持ち悪くなって、3回目は逃げ出したかった」と微笑ましい話もとび出すなか、藤ヶ谷は「今日の舞台挨拶です」と。スタッフさんから「『2年弱くらいに(キャストが)集まります。主演なので盛り上げてください』と。今日はサッカーもあるし・・・。どうにもならないじゃないですか(笑)。ぜひ、うちの記事をよろしくお願いします」と語り、記者たちに懇願していた。
最後に監督が「もしこの映画がヒットしたら”2”もあるかも」と期待を持たせると、藤ヶ谷も「確かにこのポスターの『・・・途方に暮れる』のあとがちょっと空いてる気がします」と乗っかりつつ、「本当に楽しい思い出は1つもなかったんですが、お芝居をやらせていただけるこの環境、そして素晴らしいキャストの皆様、スタッフの皆様、支えてくださる全ての皆様がいて、お芝居ができたことは本当に幸せでした。きっと、人生を生きていくなかで逃げたいこと、逃げたこと、逃げられなかった言もたくさんあると思いますが、裕一が逃げて、その先どうなっていくかをぜひ見届けていただきたいですし、この作品が長く愛される映画になったらすごく嬉しいです」と目を輝かせてメッセージを伝え、舞台挨拶を締めくくった。
映画『そして僕は途方に暮れる』
【ストーリー】
自堕落な日々を過ごすフリーターの菅原裕一(藤ヶ谷太輔)は、長年同棲している恋人・里美と、些細なことで言い合いになり、話し合うことから逃げ、家を飛び出してしまう。その夜から、親友、大学時代の先輩や後輩、姉のもとを渡り歩くが、ばつが悪くなるとその場から逃げ出し、ついには、母が1人で暮らす苫小牧の実家へ戻る。だが、母ともなぜか気まずくなり、雪降る街へ。行き場を無くし、途方に暮れる裕一は最果ての地で、思いがけず、かつて家族から逃げていった父と10年ぶりに再会する。「俺の家に来るか?」、父の誘いを受けた裕一は、ついにスマホの電源を切ってすべての人間関係を断つのだが――。
藤ヶ谷太輔
前田敦子 中尾明慶 毎熊克哉 野村周平 / 香里奈
原田美枝子 / 豊川悦司
脚本・監督:三浦大輔
原作:シアターコクーン「そして僕は途方に暮れる」(作・演出 三浦大輔)
製作:映画「そして僕は途方に暮れる」製作委員会
制作プロダクション:アミューズ映像企画製作部 デジタル・フロンティア
企画製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会
公式サイト:https://happinet-phantom.com/soshiboku/
Twitter:@soshiboku_movie #そし僕 #そして僕は途方に暮れる
2023年1月13日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー