歴史と今が共存する街パリを舞台に、家族再生の物語を描くヒューマンドラマ『パリ3区の遺産相続人』。不動産の相続を巡るてんやわんやの騒動の末に、家族の再生と人生を見つめ直していく大人のための極上の逸品だ。
主人公は今日寝るところさえなく、文無しのニューヨーカー・マティアス(ケヴィン・クライン)。父が亡くなり、遺産として相続したパリのおしゃれ地区に建つ庭付きアパルトマンに人生の再起を賭けようとする。早速売買の段取りをつけようとするが、アパルトマンには90歳の老婦人マティルド(マギー・スミス)が住んでいて、死ぬまで居住権があり、かつ年金までマティアスから貰えるのだという。さらには老婦人の一人娘クロエ(クリスティン・スコット・トーマス)をも巻き込んで、悲喜こもごも人間ドラマが展開していく。そんなともすると重たくなりがちなテーマの本作を支えるのが、偉大なる脚本家にして75歳の新人監督イスラエル・ホロヴィッツ、そして3人の豪華アカデミー俳優だ。回想を挟まず、名演と脚本の見事さで過去の人物やエピソードがセリフのみでよみがえってくるのが凄い!
今回、本作を鑑賞した各界の著名人からコメントが到着。第一線で活躍してきた一流人をもくぎ付けにする名優たちの演技、物語に秘められた“愛”に共感し、自分自身の人生と重ね合わせながら本作の魅力を語っている。
■ジャズシンガー 綾戸智恵
そうか、良くも悪くもこれぞフランス気質。こだわりと深さ、とおもたら可愛く流され易い、イイね。子も親も主張してくうちに自分の人生をふたを開けるように前進する。私も母の隠された若かりし頃を知りたくなった。
■女優 吉行和子
90歳を超えた老女を演じるマギー・スミスから目が離せませんでした。芸達者揃いの演技者が、謎を盛り上げていき、舞台を観ているようでした。
■経済評論家 森永卓郎
米仏の相続制度の壁を愛が貫く。斬新な設定と名優たちの演技、そしてパリの旧市街が、感動の消えないラブストーリーを紡ぎだした。
■歌手 加藤登紀子
お見事!というほかはない。セリフの全てがシャンソンだ。男と女の運命という迷路、その結末がこんな愛に行き着くなんて。久しぶりに映画の楽しみ方を思い出させてもらった!
フランス式の皮肉たっぷりのユーモアとエスプリが効いた家族再出発の物語。映画『パリ3区の遺産相続人』は11月14日(土)よりBunkamuraル・シネマほかにて全国順次公開。
【STORY】
疎遠だった父親が亡くなり、所有していたパリの高級アパルトメントを相続するため、ニューヨークからやってきたマティアス。そこで彼は老婦人マティルド・ジラールと出会い、フランスの不動産売買制度「ヴィアジェ」により自分が相続したのは”遺産“ではなく、”負債“だったことを知る。仕方なくマティルドに部屋を借り、一緒に暮らすことにしたマティアス。やがて、3人は亡き人が本当に遺したかったものが何だったのかを見出していく。
監督・脚本:イスラエル・ホロヴィッツ
撮影監督:ミシェル・アマテュー
音楽:マーク・オートン
出演:ケヴィン・クライン、マギー・スミス、クリスティン・スコット・トーマス、ドミニク・ピノン
2014年/アメリカ・イギリス・フランス合作/107分/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル
原題:MY OLD LADY
©2014 Deux Chevaux Inc. and British Broadcasting
提供:熱帯美術館、ミッドシップ、ConFrog
配給:熱帯美術館
協力:サム・インター
公式サイト:http://souzokunin-movie.com/
11月14日(土)Bunkamuraル・シネマほかにて公開