映画『ステップ』の公開記念トークショーが、3月5日に都内にて行われ、主演の山田孝之をはじめ、共演の國村隼、広末涼子、伊藤沙莉と、飯塚健監督が登壇した。
重松清の小説を原作に、飯塚健監督の手で実写映画化された本作は、妻に先立たれ、娘とともに再出発を決意した男が、仕事と育児に悩みながらもゆっくりと成長していく姿を描くビューマンストーリー。主人公・健一役を山田、健一と娘の美紀を温かく見守る人々を國村、広末、伊藤らが演じる。
エキセントリックな役がらのイメージが強い山田だが、今回は等身大の男性を演じる。山田は「今回は演じていません。100%、素だと思ってください」と言い切る。「皆さんが本当の山田がこういう人だと思ってもらえれば」とほくそ笑む。「20年近くエキセントリックな役ばかりやっていてネタ切れ。そろそろ柔軟剤のCMの仕事が来るようにしなくちゃと思って」と言って会場を沸かす。
飯塚監督とのタッグについて、「4年前から構想があがっていたんですが、原作が大好きだという飯塚監督がやったらどんな映画になるんだろう、どんな現場になるんだろうと思って臨みました」と、信頼を寄せる。
健一の義理の父役の國村は「山田くんが素だというなら、僕は自分と違う役を演じました(笑)。でも、素の山田くんに引っ張られて、ちゃんとした大人を演じようと思ったのにチャーミングな部分が出てしまったよ(笑)」と明かす。これまで多くの共演を果たしている二人だが、「國村さんとご一緒するときはいつもワクワクしています」と山田が言うと、國村も「ありがとう」と笑顔を見せた。
本作で初めて顔を合わせた山田と広末。山田は「こういっちゃーなんですけど、『あ、広末涼子がいる!』って思いましたもん。だから、(やっぱり)素です」とニッコリ。一方の広末は「山田さんはすごく殻に閉じこもっていて、近づいちゃいけないな、どうしようと思いました」と、役に陶酔する山田に言及し、苦笑い。伊藤も「山田さん、今まで見たことない顔をしていました。柔らかかったです。初めて見る山田さんは新鮮でした」と微笑む。
また、映画の内容にちなみ、「この10年間でステップアップしたと思うことは?」と問われると、返事に困った山田はMCに「僕、何かありますかね?」と尋ねる始末。MCが「プロデューサーや、監督もなさって・・・」と言うと、「それです。僕はプロデューサーもやって、監督もやってステップアップしました」と答え、会場を沸かす。
國村は「映画のフィールドが好きなんですが、日本のみならず、海外の映画人と映画を作ることができた」と充実感を滲ませる。広末は「山田さんが素だというならば、私はこの10年で子育てをステップアップしました。私こそ、柔軟剤のCMを!よろしくお願いします」と話し、山田が「じゃ、一緒にやりましょうか?」と乗っかり、笑いを誘う場面も。
伊藤は「自分の声が好きじゃなかったんですが、肯定できるようになり、声(声優)のお仕事にもチャレンジできるようになりました」と目を輝かせた。
本作について、飯塚監督は「何かを解決するのではなく、ずっと付き合っていくしかない。特別な出来事はないが、日々の出来事を丁寧に丁寧に描いていきました」と吐露。山田も「何年後かにまた観たくなるような大切にしたい作品です」と胸を張っていた。
『ステップ』
【STORY】
健一はカレンダーに“再出発”と書き込んだ。始まったのは、2歳半になる娘・美紀の子育てと仕事の両立の生活だ。
結婚3年目、30歳という若さで突然妻を亡くした健一はトップセールスマンのプライドも捨て、時短勤務が許される部署へ異動。何もかも予定外の、うまくいかないことだらけの毎日が始まった。そんな姿を見て、義理の父母が娘を引き取ろうかと提案してくれたが、男手一つで育てることを決める。妻と夢見た幸せな家庭を、きっと天国から見ていてくれる妻と一緒に作っていきたいと心に誓い、前に進み始めるのだ。美紀の保育園から小学校卒業までの10年間。様々な壁にぶつかりながらも、前を向いてゆっくりと<家族>への階段を上る。泣いて笑って、少しずつ前へ。
■原作:重松 清「ステップ」(中公文庫)
■監督・脚本・編集:飯塚 健(『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』、『笑う招き猫』、『虹色デイズ』)
■出演:山田孝之、田中里念、白鳥玉季、中野翠咲、伊藤沙莉、川栄李奈、広末涼子、余 貴美子、國村 隼 ほか
■主題歌:秦 基博「在る」(AUGUSTA RECORDS/UNIVERSAL MUSIC LLC)
■製作プロダクション:ダブ
■配給:エイベックス・ピクチャーズ
■コピーライト:(C)2020映画『ステップ』製作委員会
■公式サイト:http://www.step-movie.jp
近日公開!