- 有川浩の同名小説を実写化した本作は、家族として愛し、仲良く暮らしていた愛猫・ナナと青年・悟(サトル)の切なくも温かいハートフルムービー。悟が、とある事情から飼えなくなってしまったナナと一緒に、新しい飼い主を探す旅に出る。主人公・悟を福士蒼汰、愛猫・ナナの声を高畑充希が務め、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』などで知られる三木監督がメガホンを握った。
そして、この度、悟の旧友・幸介を演じた山本涼介さんにお話を聞くことができた。本作への思い、動物への思い、そして俳優としての姿勢を真摯に語ってくれた。
― 本作に出演が決まったときのお気持ちをお聞かせください。
まず、原作が生まれて初めて号泣しながら読んだ小説でした。そして、初めて自分の出ている台本で泣きました。それだけ心に刺さりました。僕も動物を飼っていたことがあるので、その別れの悲しさや愛がダイレクトに伝わってきて。出演するには、作品の一つの歯車になるために誠心誠意頑張ろうという気持ちになりました。
― 動物を飼われていたんですか?
幼い頃は犬を飼っていて、この作品を撮影しているときは猫を飼っていました。だから、本当に猫との別れはキツかったですね。
― 本作は猫を飼ったことがある人が観ると、「猫あるある」がたくさん出てくるかと。
そうなんです。また、高畑充希さんが当てているセリフを聞いていると、(猫は)絶対こんなことを言っているんだろうな・・・って思えてしまう。ナナもそういう表情をするんですよ。猫好きには絶対に刺さる作品です。
― 幸介役を演じるにあたり、特に気をつけたことはありますか?
今回は僕が今まで演じてきた中で、一番実年齢と離れていた役でした。僕は撮影当時22歳で、幸介は27歳。結婚している役も初めてで、ましてや奥さんに逃げられているという・・・(笑)。これまで演じてきた学生や新入社員の役とは違う存在感が必要だったし、幸介のヘタレな部分を大事に演じていこうと考えました。
― 悟と幸介には子供時代を演じる子役が出てきます。自分の役を演じる子役さんを観ていかがでしたか?
自分が演じる人の子供時代を演じる人がいるということも初めてだったので、凄く不思議な気分でした。こんな子供時代があったから幸介はこういう大人になったんだな・・・と、自分の役ながら観ていて楽しかったです。
― 悟との関係性にはどのように向き合ったのでしょうか?
福士蒼汰くんと一緒のシーンが僕のクランクインだったんです。台本は読んでいますが、その時まで蒼汰くんが悟をどのように演じているかは分かりませんでした。幸介の言いたいことも言えないような気弱な性格を大事にしながら、悟が投げてきた球をちゃんと受けてその場でキャッチボールできるようにしようと考えていました。蒼汰くんとは事務所も一緒で、僕が16歳くらいの頃から一緒にレッスンを受けていた間がらなので、安心感を持って臨むことができました。その場の雰囲気を楽しみつつ、蒼汰くんに乗っかっていこうという気持ちでした。
― 福士さんとの共演は演じやすかった?
「はじめまして」のフィルターがないのは楽でしたし、共演するのも3回目。信頼関係もあったので、それが自然に旧友という間がらに反映していたのかもしれません。余計なことは何も考えずに演じることができました。
― 先ほど、犬と猫を飼っていたと仰っていましたが、両方お好きなんですか?
猫も犬も両方好きなんです。犬はずっと自分の近くにいてくれるので、その楽しさもあるし、猫のマイペースなところも落ち着きます。どちらがいい?と聞かれても選べないですね。
― ご自身を例えるとしたら犬派?それとも猫派?
完全に猫ですね。自由奔放、マイペースなんで(笑)。友達や先輩と一緒にいたいときはいるし、その気にならないときは誘われてもすぐに断っちゃいます。
― では、もしお付き合いする女性がいたら犬・猫どちらのタイプのどちらがいいですか?
う~ん、難しいな(しばし考えて)・・・・・・。猫かな? 犬だったらいつもかまってあげないといけないし。自分の時間も大事にしたいので、短い時間でもコミュニケーションを取って満足したらお互い勝手に好きなことをしている感じがいいです。(猫のように)来て欲しいときにいないと余計に気になって惹かれるかもしれないです。
― 悟はナナを引き取ってくれる人を探す旅に出ます。山本さんは旅行はよくされますか?
行きたいなとは思うのですが、なかなかできていないです。実家が奈良なので、実家に帰るとき以外はだいたい都内にいます。家で録画しておいたドラマを観たり、ゲームしたり、ネットで洋服を探したり…。友達と遊ぶときもありますが、今は自分だけの時間、自分の生活リズムも大切にしたいと思っています。
― なるほど。結婚はまだまだ先のようですね(笑)。
よく言われます(笑)。
― 悟との出会いは、その後の幸介の人生にも影響を与えていきます。これまで山本さんの人生に影響を与えたような出会いはありましたか?
人ではないのですが、以前、『サムライフ』(2015年)という映画に出演したのですが、ちょうど自分を模索している時期だったんです。「この仕事をちゃんとやっていけるのか」と悩みながら仕事をしていた時で、その時のキャラクターも自分探しをしている役でした。その役が凄く自分とリンクしていて演じている感覚がなかった。でも、演じているうちに一緒に自分自身も成長していき、迷いが吹っ切れていったんです。「よし、この仕事でやっていこう」と覚悟を決めることができました。俳優として自分と向き合えるようになり、人生の起点となる作品になりました。その時の森谷雄監督にも感謝しています。はじめて“山本涼介”という人間を必要としてくれて嬉しかったです。
― これから、もっと色々な作品で必要とされていくと思います。ところで、演じるうえでいつも心掛けていることはありますか?
もちろん与えられた台本を読み込んで、役の気持ちを考えることはしますが、撮影現場に着いたら一度それを全部忘れるようにしています。“無”になってお芝居をしようと心掛けています。演じる前に、「ここはこうしないといけない、あの場面ではこう演じよう」と考えてしまうと独りよがりになってしまう。相手がいるからこそ成立するものなので、何も考えずに、その場の相手との会話を楽しむようにしています。
― それでは、山本さんがこの作品を観た感想と、一番印象に残ったシーンがあったら教えてください。
この映画は、ナナと悟との関係性がとても魅力的な作品です。本当にナナのように動物の言葉を聞くことができたらいいなと思ってしまいました。お互いに対する愛に心が洗われる感じがして、また、友達との関わり方も素敵でした。こんなに泣いた作品は久しぶりです。自分が出ている作品で泣くことは今までなかったこと。以前にも増して動物が好きになって、また猫を飼いたいなと思いました。特に菜の花畑でのシーンは印象に残っています。
― 最後にこれからこの作品をご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。
動物好きな方も、そうではない方も観ていてとても癒される作品になっています。ぜひ大きなハンカチを持って劇場に観に来てください。
【山本涼介(やまもとりょうすけ)プロフィール】
1995年生まれ。奈良県出身。
11年に俳優デビュー以降、ドラマ「陸王」、映画『好きっていいなよ。』などに出演。
MEN’S NON-NO専属モデルとしても活躍している。
映画『ニート・ニート・ニート』の公開が11月23日(祝・金)に控えている。
『旅猫リポート』
<ストーリー>
元野良猫のナナは、交通事故にあったところを心優しい猫好きの青年・悟に助けられ、5年間、飼い猫として幸せに暮らしてきた。
とある事情でナナを手放さなくてはならなくなった悟は、新しい飼い主を探す旅に出る。
「さあ行こう。これは僕らの最後の旅だ」
悟とナナは、悟の小学校時代の親友、高校時代の初恋の人など悟がこれまでの人生で出会った大切な人たちを、順に訪ねていく。それは図らずも悟の人生をふりかえる旅となる。強い絆で結ばれた一人と一匹のおかしく、切なく、あたたかい物語。
旅の終わりに明かされる、悟の「秘密」とは――
■原作:有川浩 『旅猫リポート』(講談社文庫)
■出演:福士蒼汰、高畑充希(声の出演)、ナナ、竹内結子
広瀬アリス、大野拓朗、山本涼介
前野朋哉 田口翔大 二宮慶多 中村靖日/戸田菜穂
橋本じゅん 木村多江 田中壮太郎 笛木優子
■監督:三木康一郎
■脚 本:有川浩 平松恵美子
■音楽:コトリンゴ
■企画・配給:松竹
■公式HP:http://tabineko-movie.jp/
■公式twitter:https://twitter.com/tabineko_movie
■ナナのInstagram:https://www.instagram.com/nana_tabineko/
■©表記:©2018「旅猫リポート」製作委員会 ©有川浩/講談社
10月26日(金) 全国ロードショー
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