「第31回映画祭TAMA CINEMA FORUM」の「第13回TAMA映画賞」の授賞式が、11月21日、東京・府中の森芸術劇場 どりーむホールにて行われ、最優秀新進男優賞には、金子大地と、藤原季節が輝いた。
2009 年にスタートしたTAMA映画賞は、前年10月から当年9月に一般劇場で公開される作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考し、「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰する。
今年度の映画賞の選考期間は2019年10月~2020年9月に劇場公開された作品が対象となる。受賞者が手にするトロフィーは藤原彩人作の「宇宙(SORA)を抱える像」。
最優秀男優賞は、本年度最も心に残った男優を表彰。今年度は、金子大地 (『サマーフィルムにのって』『猿楽町で会いましょう』『先生、私の隣に座っていただけませんか?』ほか)と、藤原季節 (『のさりの島』『佐々木、イン、マイマイン』『空白』『くれなずめ』『明日の食卓』) が受賞した。
金子の受賞理由は「ストレートに熱く演じる一方、 言葉では表しきれない心の機微を体現した。その表現力は作品を魅力的にし、未永く俳優として愛されていくことを確信させる」ことから。
金子は「映画賞は初めてで、こんなに(頭が)真っ白になるかと」と少し緊張した面持ちで挨拶。『サマーフィルムにのって』の役どころについて聞かれると「未来人の役でしたが、上手く溶け込めればいいなと思いながら演じました」と振り返る。『サマーフィルムにのって』以外にも多くの作品に出演した金子。「どの現場でも皆さんいい人で、どの作品も楽しく過ごすことができました」とニッコリ。
将来の夢を聞かれると「地元である北海道を舞台にした作品を映画で残したいという気持ちがあります」と力強く語っていた。
藤原の受賞理由は「『のさりの島』において、生来の優しさを巻ませる青年を繊細に表現し、単純に良し悪しを決められない人物像を魅力的に創り上げた」というもの。
まずは「この映画を見つけてくださってありがとうごいます」と心を込めて挨拶。タイトルにもある“のさり”と言う意味を込めて「いいことも悪いことも天からの恵であるという熊本地方の方言ですが、まさにこの作品が僕にとっての“のさり”です」と、本作への熱い思いを吐露。本作が遺作となった原知佐子さんを偲び、「今日はここに来てくださっていると思います。会いたいです」とポツリ。「(共演の)柄本明さんがこの作品は迷子の映画とおっしゃっていました。僕は迷子を演じました。今も迷子です(笑)」とも。
山本監督も駆けつけ藤原の授賞を祝った
舞台となった天草が第二の故郷と言う藤原。「夢に出てくるくらい、飯が惜しくて、景色がいい。商店街の皆も元気にしているかなと思いながら過ごしています」と懐かしみ、今後の抱負を聞かれると「今後は真面目に生きていきます。今まで他の人に迷惑をかけることもあったので」と決意(?)。ともあれ、『のさりの島』が彼にとって転機になったのは間違いないようだ。