「第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM」の「第14回TAMA映画賞」の授賞式が、11月26日、東京・多摩市のパルテノン多摩 大ホールにて行われ、最優秀新進男優賞に、横浜流星と磯村勇人が輝いた。
2009 年にスタートしたTAMA映画賞は、前年10月から当年9月に一般劇場で公開される作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考し、「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰。受賞者にはトロフィーは藤原彩人作の「宇宙(SORA)を抱える像」が送られる。
最優秀男優賞は、本年度最も心に残った男優を表彰。本年度は、横浜流星 (『流浪の月』『アキラとあきら』『嘘喰い』『あなたの番です 劇場版』『DIVOC-12』)と、磯村勇人(『ビリーバーズ』『PLAN 75』『異動辞令は音楽隊!』『さかなのこ』『前科者』『彼女が好きなものは』ほか)が受賞した。
横浜の受賞は、『流浪の月』において、恋人の心が離れていると悟ったときの豹変した姿に心の闇の深さがずしりと伝わり、俳優として底知れぬスケールを感じさせたという理由から。
横浜は、「自分が好きな好きな原作の映画化に携わることができ、その中で大きな挑戦ができました。自分にとっても大事な作品なので、このような賞をいただき、非常に嬉しく思います」と受賞を喜んだ。
演じた役について、「見ている方々にも不快感、嫌悪感を与えないといけないので、とても挑戦的でした。撮影中は毎回悩みながら、でも監督を信じて、亮として生きて、なんとか乗り越えられた気がします」と振り返り、「幸せな時期は冒頭のシーンだけで、あとは辛いシーンしかなくて…。亮はどうしようもない人間ですけど、本気で(広瀬すず演じる)更紗を愛しているんですが、どんどん心が離れていってしまう。心の怒りを自分の中で大事に作っていこうと思っていました」と真摯に役と向き合った様子。
続けて「監督、広瀬さん、松坂さんをはじめとした、キャスト・スタッフの皆さまが亮という人間を引き出してくれて、より人間らしい亮になったと思うので、皆さまにも感謝の気持ちを申し上げたいです」と語った。
特に印象に残ったシーンを尋ねられると、「撮影中は無我夢中でやっていて、暗闇の中を歩いている感じで。撮影期間のことをまったく覚えていなくて・・・」と答えるも、「公開して、周りの反響が大きくて、たくさんの方にこの作品が届いているんだなという喜びを感じました」としみじみ。「見た方々が揃って『凄かった』とか『嫌いになった』という言葉をくださって(笑)。それって役者冥利につきるなと思って、自分には嬉しい言葉でした」と、充実感を滲ませる。
最後に、今後の目標を「僕がやるべきことは、一つひとつ目の前にあることを頑張っていくこと」とし、「来年も挑戦的な作品の公開が控えていますので、多くの方に届けばいいなと思います」と目を輝かせていた。
また、この日、磯村はコロナウィルス感染のため残念ながら受賞式を欠席となったが、映画『ビリーバーズ』の岡崎プロデューサーが代理で出席し、磯村の受賞を祝った。
磯村の受賞理由は「『ビリーバーズ』に1いて、欲望との葛藤や内なる狂気を表現し、人間の振り切れるほどの幅を演じ分けられる俳優としての力量を見せてくれた」ことから。
岡崎氏は「磯村さんは、『この賞は、北村優衣、宇野祥平をはじめとした皆さんの力でいただいたもの』と言っていました」と、伝え、「磯村さんは撮影前に無人島に建てたプレハブに泊まっていました。その時から“ビリーバーズ”の人になっていて、私はこの人と映画を作ったら楽しいだろうなと思いました」と、エピソードを添えて役者・磯村勇人を称えていた。
◆『第14回TAMA映画賞』受賞作品・受賞者一覧
【最優秀作品賞】
『LOVE LIFE』(深田晃司監督、及びスタッフ・キャスト一同)
『ハケンアニメ!』(吉野耕平監督、及びスタッフ・キャスト一同)
【特別賞】
芦田愛菜・宮本信子、及びスタッフ・キャスト一同(『メタモルフォーゼの縁側』)
小林啓一監督、及びスタッフ・キャスト一同(『恋は光』)
【最優秀男優賞】
佐藤二朗(『さがす』『truth 姦しき弔いの果て』『バイオレンスアクション』)
松坂桃李(『流浪の月』)
【最優秀女優賞】
倍賞千恵子(『PLAN 75』)
広瀬すず(『流浪の月』)
【最優秀新進監督賞】
片山慎三監督(『さがす』)
森井勇佑監督(『こちらあみ子』)
【最優秀新進男優賞】
磯村勇斗(『ビリーバーズ』『PLAN 75』『異動辞令は音楽隊!』『さかなのこ』『前科者』『彼女が好きなものは』ほか)
横浜流星(『流浪の月』『アキラとあきら』『嘘喰い』『あなたの番です 劇場版』『DIVOC-12』)
【最優秀新進女優賞】
河合優実(『PLAN 75』『愛なのに』『ちょっと思い出しただけ』『女子高生に殺されたい』『百花』『冬薔薇』ほか)
伊東蒼(『さがす』『恋は光』『MIRRORLIAR FILMS Seaon4』)
公式サイト:https://www.tamaeiga.org/2022/