『私をくいとめて』観客賞受賞！のん、「この賞を大切に受け止めたい」林遣都＆橋本愛からも祝福のメッセージ！ 第33回東京国際映画祭 クロージングセレモニー

第33回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが、11月9日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われ、観客賞に大九監督の『私をくいとめて』が輝き、主演ののんと、大九明子監督が登壇し、喜びを語った。

2020年10月31日から開催された第33回東京国際映画祭が9日に閉幕した。今年は新型コロナウィルス感染予防のため、例年とは違う様々な方法で行われた。「Bloom！ 信じよう 映画の力」をスローガンに開催された今回の映画祭。昨年まで実施していた「コンペディション」「アジアの未来」「日本映画スプラッシュ」の3部門を1つの部門に統合した「TOKYOプレミア2020」とし、全作品を対象に観客の投票による「観客賞」を設けた。

2017年に『勝手にふるえてろ』でも観客賞を受賞した大九監督は、今回で2度目の受賞となるが「3年前に受賞したときとは、まったく違う形となりました。いろいろな映画祭がリモートや配信で行う中で、TIFF が実際にお客様をお入れして、同じ劇場で同じ時間で一緒にスクリーンに向かって映画を観るという体験を実現させたのは本当に素晴らしいことだと思います。まだまだ出歩くことが安心できない不安な中で、チケットを手に映画館に足を運んでいただき、1票1票入れてくださったということは、いつも以上に感慨ひとしおです」としみじみ。そして、「早く直接握手をしたり、話をしたりできるようになったらいいとお祈りします」と期待した。

主演を務めたのんは、「このような素敵な賞をいただきありがとうございます。毎年設けられている賞だと思いますが、今年は唯一の賞ということで、観客の皆さんに応援いただいた作品ということに嬉しく思っております」と感謝し、「この作品で何年振りかの主演映画で大九監督に呼んでもらいこの映画に参加させていただき、本当に心から喜びでいっぱいです。映画というのは、観客の方々に見ていただいて初めて完成するものだと思います。今回この賞を大切に受け止めたいと思っています」と、思いの丈を口にした。

さらに、「この映画は12月18日公開ですので、それまで盛り上げていきたいと思います！」と小さくガッツポーズを決め、チャーミングな笑顔を見せる。

また、共演者からもお祝いのメッセージが届き、林遣都は「監督賞受賞を聞いて、とても驚いています。映画館に足を運んで投票してくださった皆さまに心より感謝申し上げます。大九監督、おめでとうございます。この作品の細部に散りばめられた監督やスタッフの皆さんの強いこだわりと情熱が多くの人に受け止めていただいと思うと嬉しい気持ちでいっぱいです。スクリーンから大九組のあのワクワクする空気感を皆さんにもっと味わっていただける日を楽しみにしています」と伝え、橋本愛は「観てくださった皆さまのお力添えに感謝します。この映画も、自分にとっても、映画界全体も、良き未来を作り上げていくために、大きな一歩になったと思っています。何より楽しんでいただけたことが、心から嬉しいです。また、大九監督とのんさんに、本当におめで とうって言いたいです」と気持ちを込めた。

また、授賞式のあとにはクロージング作品『HOKUSAI』のトークセッションも行われ、W主演の柳楽優弥と田中民、橋本一監督、企画・脚本を担当した河原れんが登壇した。

柳楽は「世界的に有名な日本人のアーティストを時代劇で演じるというのが初めてでしたが、とてもやりがいのある役をやらせていただき、ステキな時間を過ごすことができました」と充実感を滲ませ、「2020 年が大きな転換期として感じます。そういう中でもこの映画が何かを目指す情熱みたいなものを維持することに、追い風になればと思います。日本映画が大好きなので負けずに盛り上げていけるように、僕も俳優としてこれからも頑張ります」と意欲を見せた。

田中は「とにかくひたすら光栄な時間を過ごさせてもらいました。台本をいただいた時にはこのセリフはいらないなんてこともあるのですが、ほとんど納得する言葉ばかりで、（自分が）思った言葉をセリフとして話すことができて本当に幸せでした」と満足気。「あとは北斎があの世でどう思っているか気がかりです」と笑った。

橋本監督は「この映画を観て、それぞれ心に何か生じさせてもらえたら。何回転んでも立ちあがって前に進むことができるのが人間という生き物だと信じており、その思いで作った映画です」と作品への熱い思いを吐露。

河原は、脚本を書くにあたり「あまりにも有名な葛飾北斎ですが、絵を中心に、絵を点として線でつなぐように、北斎が会った人や、北斎の経験、何が北斎を突き動かしたのかを描き、そこに江戸の時代背景や出会ったであろうライバルたちを合わせていきました」と、明かした。

また、クロージングセレモニーの後には「観客賞」を受賞した大九監督とのんが登壇する会見が開かれた。

いつ、受賞を知ったのか？という質問に、大九監督は「昨晩、お風呂に入っているときに電話があったようですが、気が付きませんでした(笑)。私は電話嫌いなので、いつもメールかLINEで連絡を取っているのに、プロデューサーたちから電話がかかってきて(笑)」と答え、のんは「私も昨日。生配信の音楽ライブの本番が終わったら、スタッフさんが「受賞しましたーー！」って。本当に嬉しかったです」と満面の笑顔を浮かべ、「主演映画というのは特別です。たくさん（演じる）シーンがあって、たくさんセリフがある。ずーと演じていられることは至福であり幸せだと思います。映画はたくさんの方が集まって作るもの。本当にたまらない現場です。

のんをキャスティングした理由を大九監督は「彼女は、年齢不詳で、チャーミングでありながら、どこかの会社でひっそり働いていそうな感じなんです」とのんの印象を語り、「『この世界の片隅で』という映画を観たとき、声だけの出演でしたが、その表現力に引き込まれました。ぜひ一緒にお仕事したと思いました」と述懐。

今年の3月中旬にクランクインし、4月中旬にはクランクアップする予定だったそうだが、途中から撮影の中断を余儀なくされた本作。監督は「撮影が再会されてからも、みんな自発的に知恵を出し合い健康を守って映画を作っていきました」と説明し、「『不要不急』という言葉をよく聞きましたが、映画は不要でもなく不急でもないので、これからも作り続けていくことを信じています」とコメント。

今回の映画祭出品作の女性監督の比率は16.7％。まだまだ世の中には女性監督の存在が少ない現状だが、大九監督は「今後、女性（監督等）の後輩には、うんと優しく、時にはきびしく光を当てていきたいと思います」と力強く語っていた。

第33回東京国際映画祭
◆「TOKYOプレミア2020」部門 観客賞／東京都知事賞 受賞作品：
『私をくいとめて』（日本）　賞金：＄10,000
◆動員数 <速報値・9日は見込み動員数＞
・上映動員数／上映作品数※9日（月）分は見込み動員数：40,533人／138本※10日間
（第32回：64,492人／183本　※9日間）
・そのほかリアルイベント動員数：7,272人
・オンラインイベント動員数：847,873人

映画『私をくいとめて』
監督・脚本：大九明子
原作：綿矢りさ「私をくいとめて」（朝日新聞出版）
出演：のん　林遣都　臼田あさ美 若林拓也　片桐はいり　ほか
製作幹事・配給：日活
制作プロダクション：RIKIプロジェクト
企画協力：猿と蛇
©2020「私をくいとめて」製作委員会
公式HP：https://kuitomete.jp/
公式twiter：@kuitometemovie
12月18日（金） 全国ロードショー

映画『HOKUSAI』
出演：柳楽優弥　田中泯
玉木宏　瀧本美織　津田寛治　青木崇高
辻本祐樹　浦上晟周　芋生悠　河原れん　城桧吏
永山瑛太／阿部寛
監督：橋本一
企画・脚本：河原れん
配給：S・D・P
©2020 HOKUSAI MOVIE
公式サイト：http://www.hokusai2020.com
公式SNS：@hokusai2020 ハッシュタグ「#HOKUSAI2020」

2021年5月全国ロードショー！！