東京国際映画祭2024が、10月28日(月)から11月6日(水)まで日比谷・有楽町・銀座・丸の内一帯を会場に開催された。今年は東京国際映画祭を中心に、さまざまなイベントが集中し、賑やかに行われた。東京国際映画祭が単独の映画祭としてだけではなく、多くの映画祭の核となる映画祭として発展・貢献している。
そこで、前編では東京国際映画祭を中心に中華系映画祭を総括したい。後編では例年同様に、中国語映画の注目映画をご紹介する。
キアラ・マストロヤンニ エニェディ・イルディコー トニー・レオン(梁朝偉) ジョニー・トー(杜琪峯)橋本 愛
東京国際映画祭2024について、まず目を引いたのは、コンペティション部門国際審査委員長をトニー・レオン(梁朝偉)、審査委員にジョニー・トー(杜琪峯)と、香港映画界からふたりも選ばれたこと。ふたりは開幕翌日に開かれたコンペティション審査委員記者会見でも並んで座り、ささやき合い笑い合い、この映画祭を楽しんでいる様子がうかがわれた。
その影響はあるのだろうか?今年は東京国際映画祭での中国語圏からの上演本数が、非常に多く、来日ゲストも非常に多かった。特にそしてここ数年、ほとんどなかった中国からの大物スターの俳優が複数来日したことにも驚かされた。パンデミックが去ったことを実感したが、中華圏以外の東南アジアなどの上演作品が激減したのは残念に思われた。
第2の注目ポイントは、東京国際映画祭の会期期間を中心に、中国語圏の映画祭が盛り上がりを見せ、規模が拡大し、作品数もゲストも増えたこと。下に紹介した3つの映画祭と東京国際映画祭で、今年は50本以上の中国語映画が上演され、その開催時期が東京国際映画祭開催期間に集中した。そのため嬉しい悲鳴ともいえるのだが、上演時間が重なってしまい、多くの作品を観ることができず、取材できない作品も多くなってしまった。取材する身としてはつらくもあるのだが、映画ファンにとっては、貴重なチャンスが増え、喜ばしいことだろう。(とはいえ、ゲストが登壇する上演回のチケット争奪戦は熾烈だった)東京国際映画祭が、単発の映画祭としてだけでなく、核となる映画祭として発展していることを感じさせてくれる出来事だ。
サム・クワー(柯汶利 )チャン・チュンニン(張鈞甯) シェン・ハオ(沈浩 )
☆ますは一番歴史ある、東京国際映画祭の提携企画、東京・中国映画週間からご紹介する。2024年は開催時期を10月22日(火)~10月29日(火)とし、昨年同様、公開したばかりの新作画を中心に13作品を上演。東京国際映画祭にも中華圏のゲストが増えたが、こちらは特に俳優の来日ゲストが増えた。最終日の閉幕式にゲストの来日を集中させ、東京国際映画祭でのレッドカーペットへの登壇に力を入れている。スタンリー・トン(唐季礼)監督、監督・俳優のシュー・ジェン(徐崢)、チャン・チュンニン(張鈞甯)を含む、東京・中国映画週間のみに参加する多くのゲストが東京国際映画祭のレッドカーペットに登場した。
ひとつ非常に残念なことは、コロナ禍以降、上演期間中の来日ゲストのQ&Aを行わなくなったこと。来年はQ&Aの再開をお願いしたい。
リウ・ハオラン(劉昊然)
ちなみに、東京国際映画祭コンペティション部門出品作「わが友アンドレ」に出演しているリウ・ハオラン(劉昊然)は、東京・中国映画週間での出品作「デクリプト」(原題:解密)で最優秀主演男優賞を獲得した。最優秀主演女優賞はチャン・チュンニン「黙殺~沈黙が始まったあの日~」(原題:黙殺)でした。
テレンス・ラウ ハーバート・レオン アルバート・レオン フィリップ・ン アンガス・チャン
☆「香港映画祭 Making Waves – Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」
(略称:「香港映画祭2024 Making Waves」)は、規模を拡大。昨年までは東京のみの開催だったが、今年から大阪・福岡でも開催し、東京での上映作品数も8本から10本に。東京開催は11月1日(金)~11月4日(月・祝)と、今年から東京国際映画祭と日程を完全に重ね、東京国際映画祭でも上演された「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」「ラスト・ダンス」も上演した。
昨年も来日してくれたダヨ・ウォン、ラム・カートンに加え、マイケル・ホイという昔からの大スターに、東京国際映画祭には登場できなかったテレンス・ラウ、フィリップ・ンという今をときめくスターも登壇。日本の映画界でも活躍するアクション監督の谷垣健治も登壇して大いに盛り上がった。
☆3つ目は、昨年から始まった台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(TAICCA)による「TAIWAN MOVIE WEEK(台湾映像週間)」。10月17日(木)から10月26日(土)まで都内各所の映画館で開催された。こちらは台湾の最新映画・ドラマ全11作品を無料上映。抽選で当選した方のみが鑑賞できるシステム。
ゲストは開幕作品「夏日的檸檬草」のツァオ・ヨウニン(曹佑寧)のみだった(記事はこちら)が、台湾エンタメの今を感じることができる貴重なイベントだった。映画祭の季節の呼鈴として、来年以降も是非とも継続・拡大開催してほしい。