映画『窓ぎわのトットちゃん』の初日舞台挨拶が、12月8日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われ、大野りりあな、小栗旬、杏、滝沢カレン、役所広司の豪華声優陣と、八鍬新之介監督が登壇した。
日本のみならず、海を越えて多くの国で愛される世界的ベストセラー作品「窓ぎわのトットちゃん」を、アニメーションで初の映画化。原作は女優、タレント、司会者、エッセイスト、ユニセフ親善大使などの顔を持ち、その人柄で広い世代から支持を集めている黒柳徹子が今から約80年前、第二次世界大戦が終わる少し前の激動の時代を背景に、自身の幼少期を自伝的に描いた物語。トットちゃんの愉快な日常を通して見えてくる、日々のささやかな幸せ、恩師からの教え、家族や友人への深い愛情、そして平和な日々に迫ってくる戦争の影を描き出す。
本作で黒柳自身であるトットちゃんを演じたのは若干7歳の大野りりあな。トモエ学園でトットちゃんの担任の大石先生を滝沢カレン、小林校長先生を役所広司、トットちゃんのママを杏が演じ、本作の監督を務めた八鍬新之介が務めた。
約12万枚の画を使用して制作された本作。多くの労力を経て完成したことに、監督は「スタッフを支えてくれたのは、映画の冒頭で「本当にあったお話です」という徹子さんの言葉。80年前に日本が本当に戦争をしていて、それはもしかしたらこれから起きてしまうかもしれないことであって。この映画をきっかけに、もう一度改めて平和について考えていただけたら嬉しいと思っています。トットちゃんと泰明ちゃんとの友情、パパとママの愛情、これもフィクションではなく本当にあったこと。それをしっかり描くためにスタッフが最後まで粘って頑張ってくれました」と、黒柳とスタッフに感謝の気持ちを述べる。
校長先生を演じた役所は、小林宗作の多くの文献を読んで役に臨んだそうだが、「家内の母が小林先生を凄く尊敬していて色々な話を聞いていたんです。こんな先生がいたら、学校に行くのが楽しみになったんじゃないかなと。自分が憧れるような先生を演じさせていただきました」と役を向き合っていた様子。
マスターを歴任した伝説のバイオリン奏者。その役を演じた小栗は「とても大変な役をいただいたと思いましたが、黒柳さんが僕の声の雰囲気が非常にお父様に似ているということでオファーをいただきました。黒柳さんがそう言ってくれるのなら、この声に自信を持ってやらせてもらおうと思いました」と、出演の決め手を明かす。
トットちゃんのママはエッセイストとしても有名になった黒柳の母。演じた杏は「お母様には直接お会いしたことはなかったのですが、とても有名な方ですし、徹子さんと同じ、それ以上のユニークな方だったんだろうなと。映画においてはトットちゃんを見守るという面を大事にしながら演じさせていただきました」と話す。
滝沢は普段より黒柳との交流を深めているが、「我が家では全員が徹子さんが大好きなんです。そんな徹子さんのお会いできることもあり得ないと思っていましたし、その方がたどってきた物語の中に入らせていたくと思ったときは、嬉しい(という気持ち)より先に、絶対に怖したくない世界がそこにあると感じました」と感慨深げ。MCから「それでは、ご家族も(出演に)喜ばれたのでは?」と声をかけられると、「もちろんです! 喜ばない人はいないと思います!」と言い切り、会場を沸かせた。
トットちゃんを演じた大野は、自分のセリフだけでなく台本の全てを覚えてアフレコに臨んだという。大野は「5歳のときからずっと徹子さんに憧れていたので、原作も読んでいて、どんなことを誰が言っているのかは分かっていました。オーディションの時は自分がトットちゃんだと思いながらやっていて、他の人のセリフでトットちゃんが今どんな気持ちなんだろうと考えたら、浮かんでくる感じだったので、全部覚えられました」と説明。登壇者の大人たちも感激しきり。
また、大野は共演者たちと会えたことを喜び、「皆さん、凄く優しくてカッコ良くて美人で」と言い、登壇者たちと照れさせながら、「小林先生が、トットちゃんに頭を撫でながら『君は本当はいい子なんだよ』と言っていたので、さっき現実でも役所さんにやってもらえて夢が叶いました」とニッコリ。自身もそのシーンが大好きだと言っていた。
その言葉に優しく大野の頭を撫でる役所だったが、「もうね、りりあなちゃんがあんまり上手にお話されるから、ここに立つ大人がみんなタジタジですよ(笑)」としっかり者の大野に舌を巻く。
本作を観て、「台本を読んで(内容を)知っているのに、観ていると涙より先に喉が詰まって・・・。アニメだけど歴史を学べることができる作品」と滝沢。杏は「自由が丘の駅が出てきて、戦争前の当時はこんなにカラフルだったんだと。これは劇場で体験してほしいです」とアピールする。
小栗は「この映画を観て、子供の育て方を小林先生から教えていただいた感じです。最後はグっときて。多くの方に届けばいいなと思います」としみじみ。役所は「大変な子(トットちゃん)が来たなと思ったと思います。それが成長していき『君は本当にいい子なんだ』と(見かたが)変わっていく。これは黒柳徹子さんの本当の成長物語」と語った。
ここで、この日舞台挨拶に出席できなかった黒柳からキャストたちに手紙が届き、MCが代読。黒柳からの言葉に、大野は「徹子さんのちっちゃい頃の声をできて本当に幸せです。私も将来、徹子さんみたいに世界を変えられるような素敵な女優さんになりたいなと思っています」と、感激で涙を流し声を震わせた。
最後に大野が「『窓ぎわのトットちゃん』は友情の大切さ、親子関係、先生と子供たちの関係、そして戦争というものがどれだけ辛くて寂しいことなのかという色々なメッセージが込められているので、ぜひ世界中のいろんな方に観てもらえたらいいなと思います」と言い、「この本を書いてくれた徹子さん、この映画を作ってくれた監督やスタッフの皆さん、いつもサポートをしてくれていたマネージャーさんたち、ずっと応援してくれていた家族や大好きなお兄ちゃん・・・・、そして、今来てくれている皆さんにも本当に本当に感謝しています。大好きです。ありがとうございます」と挨拶。
続けて、役所が「りりあなちゃんがアカデミー賞の授賞式のような(挨拶で)・・・、本当に上手ですよね」と称え、会場を沸かせながら、「もう戦争がなくなっていたはずなのに、今世界で酷い状態になっていて、子供たちが傷つけらている映像を見ると本当に胸がいたくなります。そういう意味で、この『窓ぎわのトットちゃん』が今公開されることは運命的で、徹子さんの想いが伝わっているような気がします。教育者である先生たち、家族たちがこの映画を観て、もう一度今の世界について話しあうきっかけになる、たくさんの要素が詰まっている映画だと思います」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。
<ストーリー>
落ち着きがないことを理由に、小学校を退学になってしまったトットちゃん。
新しく通うことになったトモエ学園の校長先生は、
出会ったばかりのトットちゃんに優しく語りかけた。
「君は、ほうとうは、いい子なんだよ。」
トットちゃんの元気いっぱい、
すべてが初めてだらけの日々が始まるー
原作「窓ぎわのトットちゃん」(黒柳徹子 著/講談社 刊)
1981に発売され今なお日本のみならず世界中で愛されている黒柳徹子の子供時代を綴った自伝的物語。ハードカバー、文庫、新書、絵本がこれまで刊行され、表紙絵および挿絵には一貫していわさきちひろの作品が使われている。「第5回路傍の石文学賞」、そしてポーランドの文学賞である「ヤヌシュ・コルチャック賞」を受賞。
<発行部数>
全世界累計:2500万部超
<言語数>
日本語、中国語(簡体字版・繁体字版)、韓国語、タイ語、英語、フランス語、
ベトナム語、モンゴル語、ヒンディー語、ヘブライ語など
※20以上の言語で出版
映画『窓ぎわのトットちゃん』
監督・脚本:八鍬新之介 共同脚本:鈴木洋介 キャラクターデザイン:金子志津枝
出演:大野りりあな 小栗旬 杏 滝沢カレン / 役所広司 他
制作:シンエイ動画 原作:「窓ぎわのトットちゃん」(黒柳徹子 著/講談社 刊)
公式サイト:http://tottochan-movie.jp
公式Twitter&Instagram:@tottochan_movie
コピーライト表記:© 黒柳徹子/2023映画「窓ぎわのトットちゃん」製作委員会
2023年12月8日(金)全国東宝系ロードショー