中谷美紀4年ぶりの主演映画『繕い裁つ人』の完成披露試写会が、12月11日、東京・新宿ピカデリーにて行われ、中谷美紀をはじめ、共演の三浦貴大、片桐はいり、黒木華、杉咲花、中尾ミエ、伊武雅刀、そして三島有紀子監督が舞台挨拶に登壇した。
池辺葵の大人気コミック『繕い裁つ人』を、『しあわせのパン』(2012年)や『ぶどうのなみだ』(2014年)などの作品を手がけた三島有紀子監督がメガホンをとり映画化。監督の熱いラブコールで主演を中谷美紀が演じ、三浦貴大、片桐はいり、中尾ミエ、伊武雅刀など個性あふれる豪華実力派俳優が脇を固めている本作。
作品のテーマにあわせて、「今日の為の特別な一着」を着用して登場したキャスト陣。10数年来の友人が仕立てた衣裳で登場した中谷は、「今日のこのお洋服は・・・」と、話し出すと声に詰まり涙を流した。「22歳の時から友情を育んできたて大切な友人がいます。彼女は市江にそっくりで、頑固で前に出る人ではなくて・・・。私は(三浦演じる)藤井のように接してきました。その友人が作品を観てイメージして作ってくれたんです」と目に涙をためてあふれ出す気持ちを語った。
続けて、「この衣装は観客の方1名にプレゼントしたいと思います」と発表すると会場から割れんばかりの拍手が送られた。
三浦演じる藤井から“頑固じじい”と言われるという市江を演じるにあたって、「愚直なまでに、まっすぐに演じました」と中谷。撮影の1か月前から足踏みミシンの練習をしたという。「実は、ボタン付けもできなかったですが、直線縫い、裾上げ、ボタンホールまでできるようになりました」。撮影後にはミシンを購入するまでになったというが、「実は買ってからまだ一度も使ってないんです」と苦笑い。お茶目な笑顔をのぞかせた。
三浦は仕事を初めてから初めてオーダーメイドしたというスーツ姿。「これを着ると初心に帰れるんです」とにっこり。「藤井を演じてみて、実は彼も市江に似ているんじゃないかと・・・そんな部分が伝わればいいなと思います」とコメント。
色鮮やかなグリーンのワンピースがよく似合う片桐は、「一点物のレトロなワンピースに色々なボタンをつけたりしました」と説明。共演は15年ぶりという中谷について、「中谷さんのストイックたるもの・・・凄かった。主演女優はこうあるべきなんだなと感動しました」と絶賛した。
黒色のチュールのワンピースの黒木、ブルーのコントラストと昆虫のブローチのポイントが可愛い杉咲、シックなスーツ姿の中尾。さらに、「映画には、うんざりするほど洋服が出ているので(笑)、私は和のテイストで」と和服で登場した伊武。また、伊武にとって映画出演100本目となった本作。「100本目にいい作品に出会えて最高!」と手放しで喜んだ。
作品に熱い情熱を注いだ三島監督は、「いつか職人の生きざまを映画にしたいとずっと願っていました。そんな中で原作に出会い、これを映画にしたい!と思いました」と映画化のきっかけを明かし、「すぐに中谷さんが頭に浮かんで出演オファーしました。自分を持っていて、そこに立つだけで凛とした空気が漂う女優さんです。演じてもらいたいという役者さんにみんな演じていただいて、本当に大切に作ってきました」と作品の出来栄えに自信の表情を浮かべた。
中谷も「この作品は、すべての職人さんたちへの賛歌です。自らの志を貫きながらも、限界とや枠を自分で作ってしまうこともある。越えられないと思っても、ちょっと視点を変えるだけで扉は開くということを伝えたいです」と微笑んだ。
映画『繕い裁つ人』
<STORY>
町の仕立て屋「南洋裁店」。祖母が始めたこだわりの洋裁店を受け継いだ2代目の店主・市江。彼女が古びたミシンで作るオーダーメイド服は大人気。しかし職人スタイルを貫くため量産は出来ず、百貨店の営業、藤井(三浦貴大)からのブランド化の依頼も断り続ける。なじみの客たちは、ここで仕立てた服と共に年を重ね人生を彩る。市江はその人だけの服を繕う日々で十分だったが――。
監督:三島有紀子『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』
出演:中谷美紀 三浦貴大 片桐はいり 黒木華 杉咲花 中尾ミエ 伊武雅刀 余貴美子
原作:池辺葵「繕い裁つ人」(講談社 Kiss)
脚本:林民夫
配給:ギャガ
(C)2015 池辺葵/講談社・「繕い裁つ人」製作委員会
公式サイト:http://tsukuroi.gaga.ne.jp/
1月31日(土)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町他
全国順次ロードショー!