主演・清原果耶×桃井かおり×監督・藤井道人
小説すばるで新人賞を受賞するなど、多くの読者を魅了する作家・野中ともその大人気小説「宇宙でいちばんあかるい屋根」(光文社文庫刊)待望の映画化。迷える少女の不思議な出会いと成長をフィルムに収めたのは、第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『新聞記者』の監督・藤井道人。
主人公、14歳の少女・大石つばめを演じるのは、2021年春NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」 のヒロインに抜擢され、今最も注目を浴びる若手実力派女優・清原果耶。本作が映画初主演!藤井道人監督とは『デイアンドナイト』に続くタッグとなる。つばめの前に現れた老婆・星ばあ役には、数々の映画賞に輝き、『SAYURI』でハリウッド映画初出演以降世界で活躍する実力派・桃井かおり。つばめが恋するお隣の大学生役に、NHK連続テレビ小説「スカーレット」に出演するなど活躍の場を広げる伊藤健太郎。つばめの父役には日本を代表する俳優・吉岡秀隆、つばめの義母役には人気実力を兼ね備える女優・坂井真紀。そして水野美紀、山中 崇、醍醐虎汰朗など注目のキャストが集結した。主題歌は、透明感のある歌声とその詞世界でファンの心を掴む、シンガーソングライターCoccoの書下ろし楽曲「今とあの頃の僕ら」。本作主演の清原果耶が、伸びやかな歌声でヒロインの心の旅を爽やかに歌い上げた。星ばあが教えてくれたあかるい屋根の秘密。懐かしくて愛おしい、大切な心を探す奇跡と愛の物語。
本作の完成を記念し、8月3日、東京・新宿バルト9にて完成披露試写イベントが行われ、主演の清原果耶と藤井道人監督が登壇。共演の桃井かおりがリモートで参加した。
会場に主演の清原果耶さん藤井道人監督が登場。そしてMCの声掛けと共に星ばあ役の桃井かおりさんが宇宙でいちばん”遠距離”な完成披露試写会と題し、LAより生中継で登場。「こっちは夜中の2時半よ~。健気でしょ桃井!」早速桃井節を炸裂!会場を沸かせた。清原さんが「今日は会場に足を運んでくださって、本当にありがとうございます。今日これから『宇宙でいちばんあかるい屋根』をご覧いただけるということが本当に嬉しい思いでいっぱいで、大切に大切に送り出したいなという気持ちで今日この場に立っています。今日はこれから楽しい時間を共有出来たらと思います」と、桃井さんが「本当にこの時期に封切ができる幸せをしみじみ感じています。とにかくいい映画なので!宜しくお願いします!今日はありがと!」と、藤井監督が「ちょうど一年前の今日、この映画をクランクインして一年後の今日、完成披露で皆さんにお届けできることを光栄に思っております。こういう時代だからこそ観ていただきたい映画が完成しました。今日は皆さん楽しんでいってください」と挨拶をした。
はじめにLAに住む桃井さんが最近の生活について聞かれると、「えーっとね、日本よりはマシ??よ(笑)。ニュースを観てる感じだと、日本はみんなくっつきすぎてるように見えるし、なんかアメリカの方が結構2メートルキープしてるし、マスクもしてる。スーパーに行っても、人数制限してるし、ものすごく近寄らないように注意してる!」と、また自宅での過ごし方について「とにかくお店が開いてないので、毎日ご飯を作るのを本気でやっています。もういちいち買いに行ってる場合じゃないぜベイビーってね(笑)」とLAでの生活ぶりを明るく話す。久しぶりの対面となる桃井さんに対し、清原さんは「お久しぶりです~、お元気ですか?」と声掛けすると、桃井さんは「元気ですよ~!」と満面の笑顔で答える。「うれしいですね、こうやってまた顔を見られて光栄です」と1年ぶりの画面越しの再会を楽しんでいる様子。「いや~本当はそっちに行ければ良かったんだけどねぇ」と桃井さんが言うと、清原さんは「画面越しでも嬉しいです!」と答えた。
完成した本作を観た感想について、清原さんは「私はもう正直放心状態になってしまいました。初主演作という言葉だったりとか、エンドロールで自分の歌った歌が流れるとか、中々客観視できなくて。あ、終わったっていう安心感にも似た喪失感みたいなものが大きかったような気がしています。一緒に初号を観たスタッフのみなさんが、すごい良かったよ!っていう言葉をかけて下さったので、いい作品になったんだな。良かったなって。嬉しい気持ちはありました」と、桃井さんは「私は反対に、今まで自分が出た映画の中でいちばん自分が出てることが気にならなかった映画なんですよね。それですごく映画として観られました。監督が、これは群像劇じゃなくて彼女の世界を描いてるんだって。出来上がって作品を観たらそれがよく分かって、観てすぐに監督にメールしたくらい」と言うと、藤井監督は「はい、すごい嬉しいメッセージをいただいて、心臓がバクバクバクってなりました(笑)」と明かす。
昨年の日本アカデミー賞で話題となった『新聞記者』と全く異なる作品に挑戦したことについて、藤井監督は「逆に『新聞記者』の方がイレギュラーという感じで。今回はプロデューサーの前田さんからこのオファーをいただいたときに、今まではずっと暗いところから光を目指すような映画を撮っていて、今度は明るいところからしっかりと暗いところを照らしていけるような作品を描いてみたいなと思って挑戦しました」と話す。
本作が初めての藤井組となる桃井さんは藤井監督について「『新聞記者』を観て、その話をしているときにメールをいただいたので、運命を感じたのもあるし、監督がこんなものを作るのかっていう驚きもあったし、ワクワクもしたし、本当に年を取ってきたので、こういうオファーを待っていたという思いで嬉しかったです」と話した。本作で名コンビを演じた清原さんと桃井さん、お互いの印象について清原さんは「私が何か口にするのもおこがましいんですけど・・・、一緒にお芝居をしていてこちら側にに伝わってくるエネルギーの濃さとか強さみたいなものがとてつもなく大きくて、前を向かなきゃって奮い立たされるよな、現場でご一緒していて必死に後を付いていきたくなるようなそんな印象でした」と、桃井さんは「ものすごい孤独な女優さんだなっていう(笑)すごい真面目で本気で作品を見ているし、自分が何をすべきかを見ているから、絶対に邪魔しちゃいけないなという気持ちになったし、彼女がやろうしている、真剣にストイックに考えていること、彼女の表現しようとしていることが見えなくて、冗談抜きで私が付いていったんですよ。それで映画を観て、あぁ良かった!って本当に思いました」と話すと、清原さんは「いやぁ、なんて答えたらいいかわからないです」と、大女優からの絶賛に言葉を詰まらせる。
『デイアンドナイト』に続く藤井監督作品となる清原さん、本作が初藤井組となる桃井さんについて、藤井監督は「今回の清原さんの役柄は『デイアンドナイト』とは正反対ですし、作品のトーンが違ったので、僕自身もすごく緊張して挑んだんですけど、最初からつばめでいてくれたので、衣装合わせから提案してもらったり、とても良い信頼関係で撮影することが出来ました。桃井さんはクランクインまでずっとスカイプでやり取りをしていて、撮影中に初めてお会いしました。自分からすると、桃井さんの映画を観て育ってきたので、監督ぶってましたけど足はめちゃくちゃ震えてました(笑)。桃井さんが「ハーイ!エブリバディ―!」ってみんなを盛り上げてくれたこともですし、自分の監督人生の中でとても嬉しかったのが、桃井さんから提案してくれた言葉がたくさんあって、その言葉が自分にすごく刺さった―。それが、清原さん演じるつばめにもリフレクションしてとても良いシーンになりました」。
また共演した伊藤健太郎さんの印象について清原さんは「すごく柔らかい波をまとわれてる方だなという印象があってそれはきっと伊藤さんの内から出る感覚なのかオーラなのか、すごく“優しい”っていう言葉が当てはまるような接し方をして下さったので、つばめとしてすごく楽しく撮影をご一緒させていただきました」と答えた。
星ばあという老婆役に挑んだ桃井さんはこの役柄に挑戦するにあたって心掛けたことを聞かれると、「全然実はなくて(笑) 監督が髪の毛を選んでくれたんですね。それで私の撮影前の仕事はパーマをかけるってだけだったのよ(笑)あの頭で全部が出来ちゃうっていう、色々話したけど結局頭だったっていうね(笑)。なんでそんなにこだわってたのか、それは監督に聞いてください」と言うと、監督は「自分の中の星ばあのイメージがもじゃもじゃなんですよね(笑)それでいて風になびかれてるイメージがあって。服とか髪の毛とか。でも、最初はカツラかもしれないなって思ってたら、次打ち合わせした時にはもうパーマをかけて下さっていて、それを観た瞬間に「あ!星ばあだ!」ってなったんですよ」と、すると桃井さんが「あ!そういえばキックボードも電動のやつすごい練習したんですよ。そしたら昔のキックボードでね、全然役に立たなくて(笑)そしたら撮影中スコーン!って大事故起こしそうになって、その時のつばめが可愛くってね(笑)。みんな心配して寄ってくるんだけど、つばめだけが離れて小動物のように私を見つめてたんですよ。あの時のつばめは忘れないよ(笑)」と意外なエピソードを披露。覚えてますか?とMCに聞かれた清原さんは「鮮明に覚えてます(笑)もうどうしようーってなってました」と答え会場を沸かせた。
清原さん演じるつばめが14歳ということで、14歳の自分に伝えたいことを聞かれると清原さんは「4年前…14歳の自分がその時一番楽しいと思っていることを出来ているならいいなと思います」と、藤井監督は「20年前…20年後にはこんな素敵なキャストとスタッフと映画作りが出来るんだから、そのままちゃんと失敗ばっかりの人生を歩んだ方がいいよって、このままでいいんだよ、ですかね。」と答えた。
そして今回抽選で招待された方から寄せられた“宇宙いち聞きたい質問”を答えるコーナーへ。清原さんへの質問では、
「星ばあから言われた言葉で、何が1番心に響きましたか?」と聞かれると、「“しぶとく生きろ”って星ばあに言われるシーンがあるんですけど、つばめとしてその言葉を受け取った時ももちろん感じることがあったんですけど、完成したものを観て時間が経って今でもその言葉を思い返したときに、深く自分の中にその言葉が染み込んできて、今真っ直ぐ前を見てちゃんと今自分がやっていることを一つ一つ丁寧にしぶとく図太くやっていきたいなって、つばめとしても私としても心の中に残り続けるんだろうなって思います」と、桃井さんへの質問では「今のこの全世界的にも厳しい時期に、星ばあだったら何て言うでしょうか?」という質問に対し、「生きとけ!ってことですかね。とにかく歳食ってみてはっきりわかったのはね、若いときに考えてたほど人生長くないんだなって。やっぱり生きてるってことは結構面白いなって、歳食ってからもまた人生面白いのでね、とにかく生きとけ!ですかね」と、星ばあさながらの金言を披露。
最後に全員への質問で「コロナで外出自粛中、お家で何をしていましたか?」という質問には、清原さんは「私はとにかく家で規則正しい生活をしようと思って。朝7時8時くらいに起きて朝ごはん食べて、掃除してお昼ご飯作って、映画観てっていう繰り返しをずっとしていました。全然苦ではなかったですし、そういうことが出来る日々もいいなと思えました」と、藤井監督は「僕はやっぱり家族と過ごしてました。元々不規則な生活だったんで、こんな時だからこそってことですごく家族と一緒に過ごしてましたね」と答えた。
最後に、清原さんが「この作品は本当に本当に大切な作品で、撮影中から撮影が終わった後も、あんな奇跡的で充実していた輝かしい夏を藤井組のみなさんとキャストのみなさんと過ごせた私は本当に幸せだなあって今でも思います。あの素晴らしい現場を経て完成した素晴らしい作品となっておりますので、大人になった方、これから大人になる方へ、すごく懐かしい気持ちにさせてくれるところもあれば、自分の行動を思い直したくなるような部分とか、そんな風に皆さんの心に何かが残るような作品になっていればなと思います」と、桃井さんが「若い時の悩みってちっぽけだったような気がするけど、悩みって大きい小さいとかじゃなくて、本当につらいんだなーって、若い時の自分を思い出すようなそんな映画になっています。こういう時期だから映画館に行ってとはなかなか言えないんだけど、でもやっぱり映画館で見てほしいな」と、藤井監督が「これだけ屋根の下にいる時間はないよなと自分も家にいて思いました。たくさんの人にも見てもらいたいですが、みなさま一人一人の心に残るような作品になっていると嬉しいです。今日はありがとうございました」と締めくくり、大盛況のままイベントは幕を閉じた。
<STORY>
お隣の大学生・亨(伊藤健太郎)に恋する14歳の少女・つばめ(清原果耶)。優しく支えてくれる父 (吉岡秀隆) と、明るく包み込んでくれる育ての母(坂井真紀)。もうすぐ2人の間に赤ちゃんが生まれるのだ。幸せそうな両親の姿はつばめの心をチクチクと刺していた。しかも、学校は元カレの笹川(醍醐虎汰朗)との悪い噂でもちきりで、なんだか居心地が悪い。つばめは書道教室の屋上でひとり過ごす時間が好きだった。ところがある夜、唯一の憩いの場に闖入者が―。空を見上げたつばめの目に飛び込んできたのは、星空を舞う老婆の姿!?派手な装いの老婆・星ばあ(桃井かおり)はキックボードを乗り回しながら、「年くったらなんだってできるようになるんだ―」とはしゃいでいる。最初は自由気ままな星ばあが苦手だったのに、つばめはいつしか悩みを打ち明けるようになっていた。
清原果耶
伊藤健太郎 水野美紀 山中 崇 醍醐虎汰朗 坂井真紀 吉岡秀隆
桃井かおり
脚本・監督:藤井道人
原作: 野中ともそ「宇宙でいちばんあかるい屋根」(光文社文庫刊)
配給: KADOKAWA
© 2020『宇宙でいちばんあかるい屋根』製作委員会
公式サイト:https://uchu-ichi.jp/
9月4日(金) 全国公開