映画『裏アカ』の女性限定試写会が3月17日、東京・秋葉原UDXシアターにて開催され、本作主演の瀧内公美、共演の神尾楓珠と、加藤卓哉監督が舞台挨拶に登壇した。
本作は、木村大作、降旗康男、原田眞人、成島出ら日本を代表する数々の名監督の下で助監督を務めてきた加藤卓哉がTSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015で準グランプリを受賞し長編監督デビュー作。『そこのみにて光輝く』(13)、『オーバー・フェンス』(16)の高田亮と、加藤卓哉が共同で脚本し、今の社会や時代が持つ二面性を象徴する“SNSの裏アカウント”を通して出会う男女の姿から、現代に生きる者が抱える葛藤や欲望、そして性への衝動を赤裸々に描き出し、観る者の心に突き刺さるセンセーショナルな人間ドラマとなっている。裏アカウント作った青山のアパレルショップ店長を務める伊藤真知子役を瀧内公美、真知子のフォロワーとなる・ゆーと/原島努役を神尾楓珠が演じる。
コロナ禍の影響で制作から2年の月日を経ていよいよ公開を迎えることとなった本作。真知子を演じた瀧内は「私自身はあまりSNSを利用していなかったのですが、承認欲求は理解できたし自分にも重なるところがありました。一生懸命生きている彼女がとても美しいと思いました」とコメントし、役と向き合った様子。監督ともよくディスカッションをして役を作り上げていったそうだが、監督は「最初はもっととがっていた女性像だったのですが、やはり女性である瀧内さんの意見を聞いて尊重し真知子を作っていきました」と、吐露。
一方、挑戦的な役柄を演じた神尾は「難しかったですね・・・」とポツリ。「20歳の時に撮影しましたが、実年齢より上の設定というところも初めてでしたし、表と裏の顔を見せるにあたって、裏の顔は自分に近いものがあったので良かったのですが、表の顔は経験もなく周りにもいないタイプだったので、想像しにくかったです」と振り返る。
そんな神尾を監督は「彼は今も多くの作品に出演されていてい、演技力があると思っていたので心配なかったです」と太鼓判。それを聞いて「2年前ですよ・・・」とちょっぴり自信なさげな神尾だったが「でも、その時の全力は(映像に)出ていると思います」と胸を張った。
撮影を振り返り、神尾の印象を瀧内は「淡々とお芝居をする方なので、勉強になることが多かった。監督の言葉にちゃんと応えて積み上げていくところが本当に凄い。彼に色々と助けてもらいました」と称える。神尾は「逆に自分の方が足りない部分があったかもしれないと不安に思っていました」と明かすと、監督も「短い時間の中で理解してくれた神尾くんに助けられました」と、神尾の姿に感謝していた。
また、イベントでは映画の内容にちなみ、瀧内と神尾はお互いを「実はこんな顔がありそう、○○していそう」というお題に答えることに。瀧内は「実は、メンズエステのケアをしてそう」とフリップに書き、「こんなにキレイだから。今は2年経って少し男性ぽくなってきたけど、当時は本当に女の子みたいな顔をしていて・・・。それに(キレイ過ぎて)私が怒っていたところもありましたよね(笑)」と神尾の美しさに惚れ惚れ。監督も「あまりに細かったので、筋肉体操のビデオを渡したけど、1回もやってくれなかったんだよね。でも、映像にはバッチリ美しく映っていますから(笑)」と告白。瀧内が「本当に(エステに)行ってないの?」と疑いの眼を向けると「行ってないですよ、マジで! どこが(キレイ)ですか!」と必死に否定する神尾。瀧内は“どこがですか?”の言葉に反応し、「殺すよ!(笑)。こっちはどれだけクリーム塗っていると思っているのよ(笑)」と言い、会場の笑いを誘う一幕も。
神尾は瀧内を「実は、イグアナを飼っていそう」と回答。「犬とか猫じゃなくて、爬虫類。ちょっと手がかかりそうな動物を飼っていそうだなと思って」と説明すると、「すぐに殺しちゃいそうだから動物は飼っていません(笑)」とし、「観葉植物だって2日で枯らしてしまったくらいなので・・・」と苦笑いしていた。
最後に神尾は「この映画を真知子さんの目線で観ていただければ」と勧め、「現代の問題を描いている物語です。今の僕らの世代に共感してもらえると思うし、この作品のメッセージを受け取ってもらえれば嬉しいです」とアピール。瀧内は「2015年から企画して6年越しにお届けする思い出の詰まった作品です。ぜひ、表アカで宣伝してください」と笑顔で伝え、監督も「僕もSNSを始めました。賛否両論でもいいのでメッセージをお願いします。あと、まだフォロワーが少ないので、フォローしてください」と声をかけ、舞台挨拶を終了した。
映画『裏アカ』
《STORY》
青山のアパレルショップで店長を務める伊藤真知子は、どこか満たされない毎日を送っていた。自分の意見は採用されず、年下のカリスマ店員・新堂さやかに仕事を取られ、ストレスが溜まる日々。そんなある日、さやかの何気ない一言がきっかけで真知子はSNSの裏アカウントを作り、胸元の際どい写真を投稿する。表の世界では決して得られない反応に快感を覚えた真知子の投稿はどんどん過激になっていき、それに呼応するようにフォロワー数も増えていった。「リアルで会いたい」「もっと自分を解放して」 そんな言葉に誘われ、フォロワーの1人と会うことになった真知子。その相手は、”ゆーと”という年下の男だった。 真知子は自分と同じ心の乾きを持つ彼に惹かれていく。しかし、その関係は1度きり。それがゆーととの約束だった。ゆーとと会えないことから、真知子は他の男と関係を持つようになるが、その心は満たされない。裏の世界でフラストレーションがたまっていくのとは裏腹に、表の世界は、店の売り上げ不振回復への施策に自身のアイデアが採用され、大手百貨店とのコラボレーション企画が決まるなど充実していく真知子。やりがいのあるプロジェクトに意気込む真知子だったが、その百貨店担当者の原島努こそが、あのゆーとだった。表の世界で再会を果たした2人。平静を装う原島に対し、心乱れ動揺を隠せない真知子。原島ではなく、ゆーとに会いたいという思いが日増しに募っていく。表と裏、愛情と憎悪、真実と嘘、理性と欲望・・・相反する2つが激しく交錯する中、真知子に突然訪れる結末とは…。
出演:瀧内公美 神尾楓珠
市川知宏 SUMIRE 神戸浩 松浦祐也 仁科貴 ふせえり 田中要次
監督:加藤卓哉
脚本:高田亮 加藤卓哉
製作:映画『裏アカ』製作委員会
配給:アークエンタテインメント
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
公式サイト:http://www.uraaka.jp/
公式SNS:https://twitter.com/uraaka_movie
公式SNS(裏アカウント):※閲覧するには表アカウントをフォローする必要があります。
©2020映画『裏アカ』製作委員会
4月2日(金)新宿武蔵野館、池袋HUMAXシネマズ、渋谷シネクイントほか全国ロードショー