日本古来より伝わる呪詛(じゅそ)、「丑の刻参り」。憎い相手を象った人形をご神木に打ち付ける呪いは、絶対に人に見られてはいけない。これまでホラー映画として扱われなかったテーマを青年の過去と現状、未来への心理的な呪縛とリンクし、恐怖とメッセージを鮮やかに描き出す『丑刻ニ参ル』。監督は、ゾンビ映画『葬儀人 アンダーテイカー』の川松尚良、日常が一気に侵食されていく主人公の青年・健二を演じるのは、劇団EXILEの小野塚勇人。映画初主演を務め、作品の 70%を通して全力疾 走り続けるというハードな撮影と繊細な演技を見せつけた彼に、本作への熱い思いを語ってもらった。
― 映画初主演おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください。
主演ということで、とても責任感を感じています。単純にこの作品に対して必死に、がむしゃらにやっていこうと思って臨みました。上手くやろうというのではなく、自分のできる限りの力でしっかり演じていくことを念頭において頑張りました。
― 出演のきっかけは?
今年2月に劇団EXILEの舞台「Tomorrow Never Dies~やってこない明日はない~」公演があったのですが、稽古中に川松監督からお話をいただきました。僕のホームページの写真と舞台を見て、健二役にピッタリだと思ってくださったそうです。
― オファーをもらったときは、どんな気持ちでしたか?
正直うれしかったです。マネージャーから主演が決まったと聞かされて「マジですか!?」って。でも、ホラー映画と聞いて、ちょっとビビリましたけど(笑)。主演をやらせていただけるなんて、僕でよければ、ぜひ!という気持ちでした。
脚本家志望の役なので、脚本のことを調べたり勉強しないといけないのかなと思ったら、そこはあまり深く考えなくてよかったので少し安心しました。健二という役は川松監督の分身のような人間だったので、監督とよく話をして取り組みました。
― 役作りは大変でしたか?
僕が思い描いていた“健二”という人間像が、川松監督の考えと合っていたので、監督に意見をするということもなく、「やっぱりそうですよね、そうそう」という感じで共感しながら、特に無理することなく自然体で演じることができました。僕と健二に似ている何かがあるのかもしれませんね。違和感がまったくなかったです。
― 小野塚さんの役は本当に逃げるシーンが多いですね。
もちろんホラー作品ですから、脚本を読んでいても「怖いな」とは思ったんですが、とにかくト書きに「走る」「走る」「走る」と書いてあるんです。これはヤバいな、体張るな・・・と(笑)。案の定、撮影に入ったら逃げるというか、走るシーンがたくさんあって大変でした。
― 走るシーン以外に撮影で苦労したことはありますか?
序盤に森のシーンがあるんですが、本当に真っ暗の中、僕一人でLEDのライトを持って入って撮影したんです。すごく寒かったし暗くて怖いし、足元はヌメヌメしていて靴にいっぱい土は入るし・・・そんな状況で夜通し撮ったので大変でした。
映画ではカットされているんですが、足を踏み外して滑り落ちるシーンがあったんです。何回も滑ってはガーンと転んでという繰り返しで、靴は泥だらけになって使い物にならなくなるし、体力的にも大変でしたね。
― ケガはなかったですか?
大きなケガはなかったですが、多少の擦りキズはありました。でもそれでリアルに必死になっている感じが出て良かったと思っています。
― 健二のドキドキ感がスクリーンから伝わってきて、観ている方も一緒に走っているような緊張感があります。
そうですね。最初から最後まで緩むことなく、どんどん加速していきますから。観ている人も緊張して疲れるかもしれませんね(笑)。
― ホラー作品がちょっと苦手という方もいらっしゃると思いますが、本作をどのように観てほしいですか?
ホラーは怖いものではありますが、この作品は人間としてのリアルな恐怖があります。でも、“丑刻の女性”も人間として必死に生きているという意味では、屈折した感情ではあるけれど純粋な気持ちを持っているんです。そこに至るまでの動機や理由、感情の動きがとても繊細に描かれています。健二の目線でも、丑刻の女性の目線でも共感してもらえると思います。単純に怖いホラーとは違う「ドラマ」がある映画なので、そういうところをよく見て欲しいですね。
疾走感やドキドキ感はもちろんですが、「どうしてそんな怖いところに行くの?普通はいかないでしょ」というところも、そこに行ってしまう、追い込まれてしまう理由がちゃんとある。精神的に矛盾なく入り込めると思います。
― ホラー映画を撮影していて、実際に怖い思いをしたことはありませんでしたか?
幽霊のようなものはなかったんですが、監督がちょっと(霊が)乗り移ったかと思ったことがあったんです。撮影準備のため、木にいっぱい人形を打ち付けるんですが、スタッフと一緒に、カン・カン・カンと打ち付けている監督の姿がちょっと見ていて怖かったですね(笑)。
僕も最初は、ホラー映画だから撮影現場も怖いイメージがあったのですが、むしろ逆で、けっこうワイワイと楽しい現場でした。
― 呪縛がかかった人たちとワイワイ?
そうなんです。呪縛がかかった人たちが凄い形相で追いかけてくるんですが、「カット!」の声がかかると、スっと素に戻るんですよ、血糊べったりなのに(笑)。撮影中もたくさん話をしてコミュニケーションをとらせてもらいました。本当にいい方たちでした。みんな撮影の3か月前くらいから稽古をされていたそうで、僕が参加したときはすでに役が完成されていたんです。ですから、これはもう自分もしっかりやらないといけない!と気合が入りました。その人たちが怖いと思えるかどうかは、自分の演技次第でも変わるので。
― 健二が驚くシーンはたくさんありますが、それぞれの場面によって表情を変えることを意識しましたか?
ドッキリするシーンでも、バーンとびっくりする場面もあれば、ジワジワくる怖さ、ハッとする驚きなど色々あります。それをどのように変えようかというプランは考えてはいませんでしたが、監督からも映画をお借りしたり、恐怖映像などを見て研究はしました。怖いと思う芝居をするのではなく、ただその場の状況を敏感に受け入れることを意識しました。素直な感情がそのまま出てくるように。
― また、健二と美穂との関係性がクローズアップされているところも見どころの一つですね。
はい。美穂役の恒吉さんとは、撮影に入る前からリハーサルを含め色々お話をさせていただきました。恋人同士でありがならも、単純に好きという関係ではない、お互いの暗く悲しい部分で惹かれあって一緒にいる関係。イチャイチャしている普通の彼氏と彼女ではなかったけれど、なぜか一緒にいると安心する。そこはこだわりを持って気をつけて演じました。
あと、彼女(美穂)とのすれ違いのところでは、僕がもし彼女がいて美穂と同じようなことを言われたら、僕も健二のようにイラッとするだろうな、でも確信を突かれているから仕方ないなと思うシーンで、ちょっとリアルな感じでした。
― 演技の中に小野塚さん自身を垣間見れるかもしれませんね。小野塚さん自身が最近驚いたことはありますか?
う~ん(しばらく考えて・・・)、福山雅治さんの結婚です(笑)。僕は『ガリレオ』というドラマで共演させていただいているので、「わ~!すごい!まさか、福山さんが!」と、本当にビックリしました。
― では、小野塚さんが「逃げ出したい」と思うときは?
最近、トレーニングで体を鍛えているんですがけっこうハードなんです。いつも逃げちゃいたいって思います。「あと、10回!」と言われると「もうヤダ~」って、毎回のことですけど(笑)。
― それを克服する決め手は?
トレーナーさんが付いてくれているので、逃げられません。自分だけだと諦めてしまうけれど、トレーナーさんが一緒にいると、なにがなんでもその回数をやるしかないんです。
でも、正直言って今はとてもいい環境で活動できているので、逃げ出したいというよりも、どんどん進んでやっていきたい!という気持ちの方が強いですね。
― ぜひ見てほしいお勧めのシーンは?
僕が走りまくっているところもそうですが、丑刻の女性とのラストシーンは感情をむき出しにしていて、お互いに共鳴する瞬間でもあります。美穂との関係のシーンなど、繊細な部分がいっぱい入っていますので、ぜひその部分を見てほしいです。
― 映画をはじめ、舞台、ドラマと活躍の幅を広げていらっしゃいますが、どんな俳優を目指していますか?
僕が常に思っていることですが、「小野塚にあの役をやらせたら、どんな風になるんだろう」と思わせる俳優、観客のみなさんがワクワクするような、想像をはるかに超えて魅せる俳優になりたいです。これからも色々な俳優さんとご一緒させていただいて成長できたら嬉しいです。
― 近い将来、チャレンジしたい役はありますか?
実は僕、まだ学生の役をやったことがなくて・・・。「Tomorrow Never Dies~やってこない明日はない~」の時も、先生役だったんですよ。まだ22歳なのに(笑)。同じ劇団EXILEのメンバーの佐藤寛太は、今度は少女漫画の『イタズラなキス』ですよ。いいな、出たい!みたいな(笑)。『恋空』とか、やってみたいなぁって劇団メンバーの将康(八木将康)さんに言ったら「いや、ないね!」って一蹴されました。将康さんには言われたくないなと思いましたけど(笑)。
でも、確かにこれまでやってきた役はキレキャラや潔癖症など、クセのある役が多かったので、まぁ自分は違うんだろうなと。今回の作品でも、女の人と相対して話すのがあまり慣れてなかったので、ちょっと緊張しました。お芝居ではあったけれど、彼女がいるのは楽しかったですね。
― それでは、映画『丑刻ニ参ル』公開を楽しみにしています。
ありがとうございます。ぜひみなさんご覧になってください!よろしくお願いします。
小野塚勇人 ONOZUKA HAYATO プロフィール
劇団EXILE所属
生年月日:1993年6月29日(22歳)
出身地:千葉県 / 血液型:A型 / 身長:173cm
趣味:サッカー、音楽鑑賞 / 特技:リフティング、素潜り、ダーツ
2012年舞台「あたっくNo.1」出演後に劇団EXILEへ加入。その後、実力ある演技で舞台やドラマで活躍。2015年は、劇団EXILE公演『Tomorrow Never Dies~やってこない明日はない~』、方南ぐみ企画公演『Bomber~Man/初夏の浅草の秘密』のほか、映画『表と裏』でスクリーンデビューし、『丑刻ニ参ル』で映画初主演を飾る。
また、2015年10月期~日本テレビ深夜ドラマ/2016年7月16日(土)映画全国公開の「HiGH&LOW THE STORY OF S.W.O.R.D.」に出演する。
映画『丑刻ニ参ル』は、11月14日(土)よりユナイテッド・シネマ豊洲にて
一週間限定レイトショー!
公式サイト:http://www.ushikoku.net/
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