Open Close

竹野内豊、山田孝之は「動物的な感覚を持っている役者」 山田は”動植物を愛でる竹野内”に癒される!? 映画『唄う六⼈の⼥』公開記念舞台挨拶

DSC_5698

映画『唄う六人の女』の公開記念舞台挨拶が、10月28日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われ、W主演の竹野内豊と山田孝之をはじめ、共演のアオイヤマダ、萩原みのり、桃果、武田玲奈と、石橋義正監督が登壇した。

本作は、石橋監督が監督・脚本・編集を手掛け、約10年ぶりの新作映画。森の奥深くに迷い込んでしまった二人の男が、そこに暮らす美しくも奇妙な“六人の女たち”に翻弄されるサスペンススリラー。主人公・萱島森一郎を竹野内豊、宇和島凌を山田孝之が演じ、六人の女に”刺す女”を水川あさみ、”牙を剥く女”を萩原みのり、”見つめる女”を桃果、”包み込む女”を武田玲奈、”濡れる女”をアオイヤマダ、”撒き散らす女”を服部樹咲が扮する。他にも津田寛治、白川和子、竹中直人など個性豊かな実力派俳優が脇を固める。

本作に長い時間構想を重ねていたという石橋監督は、「この脚本を書き始めてから約5年が経ちますが、こうしてたくさんの方に観ていただけることを本当に嬉しく思っています。多くのスタッフに支えられて、奇跡的に完成した映画です。キャストの皆さんが愛情を持ってこの作品に向き合ってくださいました。この映画を観るというより体感するような感覚で楽しんでいただければ」と思いの丈を口にする。

DSC_5599

DSC_5661

竹野内と山田は、約10年ぶりの共演となるが、竹野内は「以前、戦争映画(『太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-』(2011年)でご一緒しました。その当時から同じ世代の役者さんとは空気感が全然違っていた。今回さらに研ぎ澄まされていて、いい意味で動物的な感覚を持っていた。見ていて非常に面白かったですね」と山田の印象を明かす。

DSC_5596

DSC_5651

山田も「前回は兵隊の役だったので、ざっくばらんに話をする雰囲気ではなかったのですが、今回もバチバチの関係性。話をするというより、僕は森の中で動植物を愛でる竹野内さんを見て癒されていました(笑)」と回顧。竹野内が「ちょっと記憶がないんだけど・・・」と戸惑うと、山田が「写真を撮られていましたよね。苔とか愛おしそうに見ている竹野内さんを、僕は水川あさみさんと一緒に後ろから愛おしそうに見ていたんです。蛇とかトカゲとか捕まえ『ほら、取ったよ』と言って見せていて・・・(笑)」と続け、「ああ、そうだったね」と照れ笑いする竹野内に会場はほっこり。

DSC_5639

そんな2人に目を細める監督は「2人は対照的な役ですが、どちらも人間が持っている二つの面だと思っている。明らかにその違いを伝えるには、竹野内さんと山田さんがバッチリだった。実際に影現場でも、出来上がったものを観ても本当に良かったし、この役はこの2人しか考えられない」と絶賛し、信頼感を寄せていた。

DSC_5648

今作で非常に暴力的な役どころを演じた山田は「私はどうしても真面目な部分が出てしまって・・・」と言いながら、「普段は泊まり込みで撮影し、そこに体が馴染むようにするんですが、今回の役は欲望むき出しな人間。あえて、撮影がないときは街に出て、人と会い、酒を飲み、ここが俺を変える場所なんだと言い聞かせて、撮影現場に帰るときには“こんなクソみたいなところ早く出ていくんだ!”といい聞かせて臨みました」と役作りを吐露。

MCから「枕を持っていかれたそうですね?」と聞かれると、「あ、そうなんです。あまり頑丈なほうじゃないので、精神的に追い込んでいくと、疲弊してくるんです。なので、宿に戻ったときぐらいは癒したいから、家からパジャマと枕を持ってきて、アロマを焚いてリラックスしました」と説明し、「どうしても根が真面目なのが出ちゃうんですよね(笑)」と照れ笑い。

そんな山田を竹野内は「役に対する入り込み方とか、小手先でやっていない。山田くんは、別の視点から役に対してアプローチしてるような印象がありますね」と分析し、「すっごく真面目だと思います(笑)」と山田の言葉にのっかり、会場の笑いを誘っていた。

DSC_5611

DSC_5672

本作の撮影では、原生林を撮ることにこだわりを見せた監督。竹野内も「とても神々しい感じがしました」としみじみ。六人の女の衣装にも思考を凝らしており、この日アオイヤマダが着用していた衣装も劇中で披露されたもの。自然の力は竹野内の頭皮にも影響していたそうで、アオイヤマダが「ヘアメイクさんに、頭皮が柔らかいと言われて。竹野内さんは普段凄く硬いらしいのですが、撮影現場では柔らかくなっていたと聞きました。自然の力なんですね」とエピソードを話すと、竹野内も「そうなんです。でも、東京に戻るとまた固くなっていましたが」と同調した。

DSC_5618

DSC_5623

萩原は「オーディションの時に、監督から突然『プロデューサーさんと戦ってみて』と言われて。そうしたら”牙を剥く女”の役に決まりました(笑)。“戦うぞ!”と言う気持ちで演じましたが、まさか斧をもって戦うとは(笑)。緊張しました」とニッコリ。

DSC_5602

DSC_5630

桃果は「とにかく宇和島が悪い人間なんです」と山田との共演を振り返り、「私は演じるうえで人間らしい感情を排除しなければいけなかったんですが、山田さんの迫力あるお芝居に吞み込まれそうになって怖かったです。本当に宇和島は悪くて!こんな人に会ったことはないです!」と興奮ぎみに語ると、すかさず山田が「山田じゃなくて、悪いのは宇和島ですからね・・・」と慌てる一幕も。

DSC_5632

DSC_5727

竹野内とカップルを演じた武田は「年の差があるので、ちゃんとカップルに見えるか不安もありましたが」としつつ、「竹野内さんに実際お会いしてみると、穏やかに受け入れてくれる感じがして、自分自身も年の差を感じずに役に入りました」と述懐。一人二役を演じたが、「衣装も場所も違うので、自然に役を切り替えることができました」と振り返っていた。

DSC_5696

最後に、竹野内は「この作品は、人間社会だけではなく、生命そのものに目を向けようとしている映画です。人間を生き物として、様々な視点で監督が映し出してくださっています。感じ方は人さまざまだと思いますが、議論することに大きな意味があると思います」と、声をかけ、山田は「自分は怖いとか動物的とか、目が強いな、優しいなんて言われたり、いろいろ褒めの言葉もいただきながらプラマイゼロかなと思うんですけども(笑)。人間社会の中で人がどう評価するかということを全く気にしていません。この映画はもう少し視野を広げて、人は自然や動植物と同じように生きてるんだというようなことを伝えていると思います」と述べる。

監督は「この映画はエンターテイメント作品ではありますが、自然との共生というものがテーマにもなっています。実際にはなかなか難しいことですが、この映画を通して自然との共生に対して考えるきっかけになればいいなと思っています。皆さんと一緒に考えていき、それを次の世代に繋げていくことをできればと嬉しいです」とメッセージを送った。

DSC_5707

「唄う六人の女」本ビジュアル最終版

『唄う六人の女』
出演:竹野内豊 山田孝之 / 水川あさみ アオイヤマダ 服部樹咲 萩原みのり 桃果 武田玲奈 大西信満 植木祥平 下京慶子 鈴木聖奈 津田寛治  白川和子 / 竹中直人
監督・脚本・編集:石橋義正
脚本:大谷洋介
音楽:加藤 賢二 坂本 秀一
主題歌:NAQT VANE「NIGHTINGALE」(avex trax)

制作プロダクション:クープ/コンチネンタルサーカスピクチャーズ
制作協力:and pictures
配給:ナカチカピクチャーズ/パルコ
©2023「唄う六人の女」製作委員会

TOHOシネマズ日比谷他、全国公開中!