映画『ヴィレッジ』のスペシャルコラボトークイベント「ヴィレッジと能」が、4月16日、東京・金王八幡宮にて行われ、主演の横浜流星、共演の奥平大兼と、スペシャルゲストとして塩津圭介氏(シテ方喜多流・能楽師)が登壇した。
本作は、「村」という閉ざされた世界を舞台に、そこで生きる人々のきれいごとだけでは生きていけないリアルな姿を、圧倒的な映像美と世界観で描き、同調圧力、格差社会、貧困、そして道を誤ったら這い上がることが困難な社会構造の歪みといった、現代日本が抱える闇をあぶり出す衝撃のサスペンス・エンタテインメント。
多くの話題作を手掛ける藤井道人監督と、日本映画の変革者として絶えず注目作を世に贈り出してきた故・河村光庸プロデューサーの遺志と遺伝子を受け継いだ注目のスタジオ・スターサンズの制作チームが結集。どこにも居場所を見つけられずに生きてきたが、自分とこの世界をつなぐ唯一の希望を守るためダークサイドに転じる青年・片山優を横浜流星。そのほか、黒木華、奥平大兼、古田新太、中村獅童をはじめとした豪華出演陣が顔を揃え、人々のリアルに迫る、いま語るべき私たちの物語を作り上げた。
この日は、映画のポスターの背景にも使われている野外能楽堂のイメージで金王八幡宮の神楽殿でトークイベントを実施。映画のヒットを祈願し祈祷を受けたあと登壇者が登場した。
映画の試写を鑑賞した人々からすでの多くの感想が届いているが、横浜は「この映画は受け取り手の解釈に委ねる作品。皆さんの感想が全然違っていて、興味深い言葉がたくさんな連でいたので本当にありがたいです」と感謝。
ごみ処理場で働く青年・筧龍太を演じる奥平も「観る人によって観方が変わる作品で、完成作品をスクリーンで観たとき、演じた僕ですら解釈が変わったんです。いろんな方に観ていただきたいです」と映画に対する印象を語った。
本作は能に強い影響を受けて作られた作品でもあり、現在の若者の姿を描いている。劇中の“能”の監修を務めた能楽師の塩津氏は「能の魅力を皆さんに知っていただける、本当にかけがえのない機会をいただきました。能も観る人によって、観るたびに解釈が違うので、藤井監督と一緒にどうやったら伝えていけるかを散々考えました。映画も観るたびに見え方が違うので、一度だけでなく何度も観返していただくと深みがどんどん出てくると思います」とコメント。「そういう点で『ヴィレッジ』と能は似ているところがあるので、能にも興味を持っていただけたら」とアピールも。
能の演目には『邯鄲』(かんたん)と『羽衣』が使用されているが、塩津氏は「『邯鄲』は、“悩める青年”がテーマとなっているが、すべての生きとし生けるもの、みんな悩める人間だということをどう捉えるかということで、この『邯鄲』を使用することになりました」と説明する。
塩津氏の舞いを鑑賞し、自身も能に挑戦した横浜は「能の知識もなくて、解釈の仕方もわからなかったのですが、圧倒されて魅力的だったのは確かです。『邯鄲』は優の人生そのものなので、色々なことを想いながら舞いました。僕は正規の舞ではなく、ラフな感じでやらせていただきましたが、塩津先生に臨機応変に対応していただきました」と述懐。「(能は)基本的なところを教えていただきましたが、体幹が大事なんだなと凄く感じました。古典芸能は芝居の原点でもあるので、実際に触れることができて良かったです」としみじみ。
奥平は「劇中では能に触れる機会はありませんでしたが、台本を読んでいるときから能に興味が湧いていて、休みの日に本屋さんへ行って、能の本を買って読んだりしていました。プライベートでも観に行きたいと思いました」と能に関心を持った様子。
実際に塩津氏が能の一部を披露する場面もあったが、突然の大雨でイベントが中断。雷鳴が鳴り響き、ひょうも降るなどの悪天候になってしまったため、協議の結果イベントは中止となった。
中断後に、塩津氏は「このひょうが降るくらい、この映画を神様が喜んでくれていると解釈したいと思います。ぜひ皆さま、よろしくお願いいたします」と伝え、奥平は「観る世代だったり観る人の環境で解釈が違う作品だと思っています。何年先でも観れる映画になっていると思うので、そういう所も楽しんでください」と声をかけ、横浜は「公開まで1週間を切りましたが、たくさんの方にこの映画が届くことを願っています」とメッセージを送った。
さらに、横浜は「急なこの天候で、皆さん、申し訳ありませんでした。すみません、雨男の僕のせいです・・・。雨に打たれてしまったと思いますので、温かくしてお体に気をつけてください。本日はありがとうございました」と、取材陣にも気遣いを見せ、深々と頭を下げていた。
映画『ヴィレッジ』
閉ざされた世界。閉ざされた心。やがて、一炊の夢から醒める。
夜霧が幻想的な、とある日本の集落・霞門村。神秘的な「薪能」の儀式が行われている近くの山には、巨大なゴミの最終処分場がそびえ立つ。幼い頃より霞門村に住む片山優は、美しい村にとって異彩を放つこの施設で働いているが、母親が抱えた借金の支払いに追われ希望のない日々を送っている。かつて父親がこの村で起こした事件の汚名を背負い、その罪を肩代わりするようにして生きてきた優には、人生の選択肢などなかった。そんなある日、幼馴染の美咲が東京から戻ったことをきっかけに物語は大きく動き出す――。
横浜流星
黒木華 一ノ瀬ワタル 奥平大兼 作間龍斗
淵上泰史 戸田昌宏 矢島健一/ 杉本哲太 西田尚美 木野花
中村獅童 古田新太
監督・脚本:藤井道人
音楽:岩代太郎
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
制作プロダクション:スターサンズ
制作協力:Lat-Lon 製作幹事:KADOKAWA
配給:KADOKAWA/スターサンズ
製作:「ヴィレッジ」製作委員会
©️2023「ヴィレッジ」製作委員会
village-movie.jp
公式SNS(Twitter&Instagram):@village_moviejp #ヴィレッジ
4月21日(金) 全国公開