映画『Vision』の完成披露イベントが、5月17日、東京・丸の内ピカデリーにて行われ、主演の永瀬正敏をはじめ、共演の夏木マリ、岩田剛典、美波、森山未來と、河瀨直美監督が舞台挨拶に登壇した。
世界中で高い評価を受ける河瀨監督が、生まれ故郷の奈良県を舞台に制作した本作は、フランスの女性エッセイスト・ジャンヌが、吉野の山奥で出会った山守・智と出会い、山守り森で生活する人々と関わりながら幻の薬草“Vision”を探していく様を描く。ジャンヌ役をフランスの名女優ジュリエット・ビノシュ、智役を永瀬正敏がW主演で務める。
会場を見渡した河瀬監督は、「今日は、私の映画を観るシニア層がいないですね」と、若い女性が多く詰めかけていることに触れ、「原因はここですね」と岩田を指差し、「どんな反応になるか、楽しみだね」と岩田を見やると、照れた笑顔を見せる岩田も「はい、楽しみです」と頷いた。
特殊伐採を生業にしている山守の鈴(りん)役を演じた岩田。「ロープ1本で木に登り、上の枝を切るんですが、吹き替えなしで自分でやりたかったんです。現地で数日間練習をしたら、1~2日間で馴染んできて」と、運動神経とセンスの良さを明かすと「向いているのかなと思いました。もし転職するなら山守になろうかなと(笑)」とコメント。それを聞いた河瀬監督は「言いましたね。失業したらよろしくね(笑)」とツッコミを入れ、会場を沸かせた。
不思議な力を持つ老女・アキ役を務めた夏木は「また人じゃない役をやらせてもらって・・・(笑)。奈良の山の歴史が1000年なら、アキにも1000年の歴史がある。アキは、もう山です!」と笑う。他の登壇者も河瀬監督の演出に「催眠術にかかったようです」と声を揃える。
また、河瀬監督が男性陣に「ビノシュ演じるジャンヌに、役を演じるうえでジャンヌに惹かれた理由は?」と質問する場面も。
猟師と山守である岳役の森山。しばらく考えた末「獣同士というイメージがあった。匂いみたいなものかも」と答えると、岩田は「目が合ったとき、上手く言葉に表せないのですが、お互い何かを感じたんです。初めて会った気がしないというか。クランクアップのあとビノシュさんからもそういう連絡をいただきました。僕は目ですね」と明かす。永瀬は「心の先を見られているような感じがした。智はいろんなものを抱えている役なんですが、そこも最初からちゃんと見ていてくれて、寄り添ってくれた。僕は心」と伝えた。
河瀬監督は、「これらは、この男性が惹かれる女性像なんですよ」と説明。「“まぐわい”という言葉は、“目が合う”というのが語源なんです。目が合えば、まぐわうんです」と解説する。永瀬が「じゃ、岩田くんが正解だね」と述べると、すかさず河瀬監督が「(それを言っては)ダメダメ! それだけを取り上げられちゃうからね」と言って笑いを誘っていた。
ジュリエット・ビノシュ 永瀬正敏 岩田剛典 美波 森山未來 コウ 白川和子 ジジ・ぶぅ 田中泯(特別出演) ・ 夏木マリ
監督・脚本 河瀨直美
製作:LDH JAPAN SLOT MACHINE 組画
エグゼクティブプロデューサー:EXILE HIRO
プロデューサー:宮崎聡 Marianne Slot 河瀨直美
撮影:百々新 / 照明:太田康裕 / 録音:Roman Dymny 森英司 / 美術:塩川節子
編集:Francois Gedigier 渋谷陽一 / 音楽:小曽根真
企画協力:小竹正人
制作プロダクション:組画
配給:LDH PICTURES
【2018年/日仏/110分/シネマスコープ】
©2018“Vision”LDH JAPAN, SLOT MACHINE, KUMIE INC.
公式サイト:http://vision-movie.jp/
6月8日(金)全国ロードショー