映画『悪い夏』の完成披露上映会が、2月17日、東京・イイノホールにて行われ、主演の北村匠海をはじめ、共演の河合優実、窪田正孝、木南晴夏、伊藤万理華、毎熊克哉、箭内夢菜と、城定秀夫監督が舞台挨拶に登壇した。
「クズとワルしか出てこない」と話題を呼んだ染井為人の傑作小説を映画化。本作は、真面目に生きる気弱な公務員の破滅への転落と“今そこにある”恐怖を描く衝撃のサスペンス・エンターテインメント。
真面目に生きるも、気弱な性格ゆえに犯罪に巻き込まれていく主人公・佐々木守を北村匠海が演じ、色仕掛けで佐々木を犯罪へと巻き込んでゆくシングルマザー・愛美を河合優実、裏社会の住人で犯罪計画の首謀者・金本を窪田正孝、佐々木の同僚・宮田を伊藤万理華、愛美に肉体関係を強要する佐々木の先輩・高野を毎熊克哉、金本の愛人・莉華を箭内夢菜、金本の手下でドラッグの売人・山田を竹原ピストル、息子と2人困窮した生活から万引きに手を染める古川佳澄を木南晴夏など豪華俳優陣がクズを狂演!鬼才・城定秀夫監督がメガホンを取り、脚本は『ある男』の向井康介が務めた。
本作の出演の決め手について、北村は「まず、脚本自体にもの凄いパワーがあった。そのあと原作を読んだのですが、自分の納得がいくものもあったし、発信する上での良さが詰まっているなと思いました。そして何よりも城定監督とやりたいと思っていたところにお話が来たので、二つ返事でお受けしました」と語り、城定組の参加を喜んでいた。
北村と河合が「金本が怖かった」と声を揃えるほどの窪田の演技に、窪田は「ホント? やった!」と無邪気に喜ぶ。「悪の概念は人それぞれ違うと思う。僕はあくまで金本として皆を救って、皆を食い物にするだけ。(劇中では)けっこう深いことも言ってるんですよ」と言いながら、「でも、(金本の言葉に)引っ張られちゃダメです。ダメはダメなんで」と笑った。
城定組初参加となった木南は「私はほとんど皆さんとお会いせず、精気を失ってボーっとしている間に(撮影が)終わっちゃった感じ。皆さんとコミュニケーションを取らず、終わってみると寂しかったかなと」と振り返る。
伊藤は「私も城定監督とご一緒したいと思っていました。でも、役柄は意外でした。北村さんと一緒に、区役所で一生懸命働いていました。自分なりの一生懸命で・・・」とネタバレに注意しながら撮影時を回顧。北村も「みんな、必死なんです・・・」と擁護した。
箭内は「不安や緊張もありましたが、監督が穏やかな方で、キャストの皆さんも優しく接してくださったので、安心して臨むことができました」と安堵の顔を見せる。
城定監督とは6作目のタッグとなる毎熊は、「これまでも、城定監督はめちゃくちゃ(撮影が)早いという印象でしたが、今回はインティマシー・コーディネーターの方も入っていて安心して撮影に臨むことができましたし、さらに高い意識で話し合いを持たれていたかなと思います」と分析。監督も「いつもよりはゆったりやっていた感じはありますね」と同調しつつ、「これだけのキャストが揃っていたので、僕がやることはないです」と、キャストたちに絶対的な信頼感を寄せる。
そんな監督を北村は「目が合わなかった・・・」とポツリ。「漫画の話をしたときに目があったんですよ」と監督のお茶目な一面を話しながら、「監督は本当に撮影が早くて、スタッフの皆さんも若くて熱量のある方が多かった」と、現場では色んな刺激を受けていた様子。
また、この日は“クズとワル”の一斉集合となった本イベント。「自分が演じたキャラクター以外で好きになっちゃうキャラクター、もしくは本当に”クズ“だなぁと思ったキャラクターは?」と問われると、北村は「ピストルさん」と竹原ピストルの名前を挙げ、「ピストルさんは人柄も良く、腰も低くてにこやかに現場にいるので、本当に憎めないんです。でもクズなんです。憎たらしかった!」と告白。
河合が「私は、チャンス大城さんですね。全カット探した方がいいと思います。すごく素敵で、チャーミングなので(笑)」と話す。すると、北村が「チャンスさんと仕事した自分の友達から聞いたんですけど、ずっとバラエティーの“ドッキリ”だと思って撮影していたらしいんです」と、後日談を話し、「だから僕のことも本物だと思っていなかったみたいで、そっくりさんだと思っていたみたいです(笑)」とまさかのエピソードを暴露。「ニセの映画撮影だと思っていたそうで・・・ウソだろ!?と(笑)。いつも“ドッキリ”を意識していて、芸人さんって大変だなと思いました・・・」と苦笑いしていた。
さらに、本作のタイトルにちなみ、「自身の悪いところ」をフリップに書いて発表することに。北村は「ザ・サプライズが苦手です!」と書き、「驚いた演技もするんですが、ド下手で。本当にやめてもらいたい」と言って、会場を沸かす。
河合は、悪戯はないけれど・・・と前置きをして「方向音痴」と。窪田は「10円ガムを10,000円で買ってやった」とニヤリ。「悪戯はない・・・たまたま」と弁明するも、北村から「買ってやった・・・というところでダメですね。悪いですよ」とツッコミを入れられる。
木南は「ハマり性で、飽き性」、箭内は「『一口ちょうだい』で一番美味しいところを食べる」とニヤリ。伊藤は「友達のアイスを食べた」と。「あとで買っておいて補充しておきました(笑)」と言い訳するも、「その細工が悪」と言われる始末。
毎熊は「目つき」と自虐し、「僕は穏やかな気持ちでいるんですが、カメラマンの方に『穏やかな気持ちで~』と言われたり、道でヤンキーに絡まれたり・・・」と本意ではない対応に戸惑いを隠せない。監督も「最初に会ったときは、凄く怖かった。でも話したら優しかった」と言って笑っていた。
最後に城定監督が「日本映画を代表する方々が揃った自信作です。各々魅力的で、タイプの違うクズとワルが出ている楽しい作品になっています」と胸を張り、北村が「面白い映画。暑苦しいくらいそれぞれの人間模様がジェットコースターみたいに流れていって、全員がぶつかり合って見応えのあるシーンになっていますし、映画を観たあとの多幸感みたいなものを持ち帰っていただけたら。決して幸せな気持ちになれるような映画ではないかもしれませんが、いい映画を観たという感情が皆さまに少しでも芽生えたら嬉しいです」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。
映画『悪い夏』
[ストーリー]
その出会いが、破滅への転落の始まりだった—地獄の果てに希望はあるか!?
市役所の生活福祉課に務める佐々木守(北村匠海)は「職場の先輩・高野(毎熊克哉)が生活保護受給者の女性に肉体関係を強要しているらしい」と同僚の宮田(伊藤万理華)から相談を受け、真相究明の手伝いを頼まれる。真面目で気弱な佐々木は、正義感に燃える宮田の頼みを面倒くさいと思いながらも断ることができず、その女性、育児放棄寸前のシングルマザー・愛美(河合優実)のもとを訪ねる。愛美は高野との関係を否定するが、実は裏社会の住人・金本(窪田正孝)、その愛人の莉華(箭内夢菜)、手下の山田(竹原ピストル)と共に、ある犯罪計画の片棒を担ごうとしていた。そうとは知らず、徐々に愛美へと惹かれてゆく佐々木。ふとしたきっかけで万引きを繰り返すようになってしまった生活困窮者・佳澄(木南晴夏)らを巻き込み、佐々木にとって悪夢のようなひと夏が始まろうとしていた……。
北村匠海
河合優実 伊藤万理華 毎熊克哉 箭内夢菜
竹原ピストル 木南晴夏 / 窪田正孝
監督:城定秀夫
原作:染井為人『悪い夏』(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:向井康介 音楽:遠藤浩二
製作:藤本款 遠藤徹哉 久保田修
エグゼクティブプロデューサー:藤本款
プロデューサー:深瀬和美 秋山智則 近藤紗良
製作:映画「悪い夏」製作委員会(クロックワークス/KADOKAWA/C&Iエンタテインメント)
製作幹事・配給・宣伝:クロックワークス
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
Ⓒ2025 映画「悪い夏」製作委員会
公式サイト:waruinatsumovie.com
公式X:@waruinatsumovie
3月20日(木・祝)全国公開