映画『私にふさわしいホテル』の公開記念舞台挨拶が、12月28日、東京・新宿ピカデリーにて行われ、主演ののんをはじめ、共演の田中圭、滝藤賢一、若村麻由美と、堤幸彦監督が登壇した。
柚木麻子の話題作「私にふさわしいホテル」を原作に、ドラマ「ケイゾク」「TRICK」や映画『20世紀少年』ほか多くの作品を手掛けてきた提幸彦監督がメガホンを握り実写映画化。本作は、文豪に愛された「山の上ホテル」にふさわしい作家になりたいと夢見る加代子が、大学時代の先輩で大手出版社の編集者・遠藤道雄（田中圭）の力を借り、己の実力と奇想天外な作戦で、権威としがらみだらけの文学界をのし上がっていく、痛快逆転ストーリー。
主人公で不遇な新人作家・中島加代子をのん、曲者で敏腕編集者・遠藤道雄を田中圭、権威主義の大御所作家・東十条宗典を滝藤賢一が演じ、他にも田中みな実、服部樹咲、髙石あかり、橋本愛、橘ケンチ、光石研、若村麻由美など実力派＆超豪華な俳優陣が集結した。
のんは、加代子を演じてみて「すごく楽しかったですね。普段言えないような 暴言を吐いたり啖呵を切ったり、もう面白いシーンいっぱいあったので」と振り返り、「東十条先生と首絞め合ったり、遠藤先輩とのシーンもハラハラして楽しかったし、私は若村さんと東十条先生との家族のシーンが すごく“おきに（お気に入り）“です」と笑顔を見せる。
“悪い女”を演じるにあたり、「難しい役だなとは思いましたが、小説にかける情熱だけはすごく純粋で、それ以外はもうどう思われてもいいという人。その純粋さを気をつけていました。それ以外は全然悪くて、 純粋さのかけらもないっていうイメージです」と笑い飛ばしていた。
一方で、クールな部分と優しい部分を持った遠藤を演じた田中は「加代子の敵か味方か、何を考えているのかちょっとわからない･･･という、ミステリアスさや策士的なところがある男。でも ミステリアスでクレーバーと僕も常日頃から言われていますので、自然にやらせていただきました」と言って会場の笑いを誘う。
また、女性のオーディション時には相手方を務めたという田中。監督は「淡々と毎回同じことをやって、何十人もいるんです。だんだん僕が飽きてきちゃって、（田中に）『次は渡部篤郎でやってみよう』とかオーダーすると全部その通りにやってくれるんですよ(笑)。正確無比の芝居をする男と認識しました(笑)」と裏話を明かし、田中も「なんで僕がやってたんでしょうね(笑)。でも貴重な体験をさせていただきました」とまんざらでもなさそうだった。
滝藤は普段あまり着る機会のない着物姿に「とても良かったです。ああやって日々を過ごしていけたら素敵だなと思いました」と満足気。「ここにいらっしゃる皆さんに東十条にさせていただきました」と感謝の気持ちを表す。
東十条の妻・千恵子を演じた若村は「彼（東十条）の純粋さに惹かれて、ずっと彼を支えてきた奥さん。良妻賢母だと思って演じました」と述懐。そして、加代子が家に乗り込んでくるシーンにも触れ、「楽しかったです。私に隠した2人の攻防があって、私の堪忍袋が爆発するんですが、私が印象に残ったのは、東十条さんのカツラ。そして、のんさんの着物が似合っていたこと。思わず『きれいね』と言っちゃったくらい」と語った。
すると、のんが「あの白い着物は500万円するという設定だったんですが、実際は800万円したんです」と告げ、会場からどよめきの声が上がった。「それで、お鍋を食べないといけなかったので凄く怖かった。恐ろしかったです。1回醤油がこちらに倒れたことがあって･･･危機一髪で回避しました。（着物を汚さないで）良かったぁ～」と身を震わせながら、安堵の顔を浮かべたのんだった。
監督は本作について「設定は昭和の終わりくらい。僕の思う文豪、意図したとおりの映像が撮れたと思っています」と満足気。
さらに、今年1年がどうだったかを問われた登壇者たち。のんは「今年は凄く詰め込み作業で充実していましたが、水分が逃げていってカラカラという感じの年でしたね」と独特な表現で多忙だった1年を振り返り、「来年は水分をしっかりとります」と気を引き締める。
田中は「全部記憶がないくらいで･･･。よーく振り返ってみると色々やらせてもらったなと」と多忙の1年だった様子。滝藤は「のんびりゆっくりやらせていただいて満たされた1年でした」としみじみ。若村は「元日の震災が始まってから能登の支援をしながらの1年でした」としながら、「お仕事も充実していました。何が大切なのかを考える年でもあって、結論『今を一番存分に味う！』ということになりました」と答え、会場からも拍手が起こった。
堤監督は「今年というより、来年70歳になるので、この作品を機に70代はもっともっと暴れていきたいなと思っています」とさらなる活躍を期待させ、イベントの最後にはのんが本編でも出てくる“文豪コール”を生披露し、拍手喝采を受けていた。
“文豪コール”はこちら↓
逍遥（しょうよう）
四迷（しめい）に
鴎外（おうがい）
露伴（ろはん）
国木田（くにきだ）
荷風（かふう）に
漱石（そうせき）
藤村（とうそん）
花袋（かたい）
白秋（はくしゅう）
潤一郎（じゅんいちろう）
芥龍（あくたりゅう）
川端（かわばた）
太宰（だざい）に安吾（あんご）
三島（みしま）
遠藤（えんどう）
大江（おおえ）に司馬（しば）で
おおおおおおおお〜
むら（村上）
むら（村上）
文豪（ぶんごう）
五木（いつき）×4
一気！×4
映画『私にふさわしいホテル』
【物語】
新人賞を受賞したものの、大御所作家・東十条宗典の酷評により、華々しいデビューを飾ることなく、小説を発表する場も得られなかった不遇な新人作家・加代子。
この恨み、晴らさでおくべきか――。そう決意しながら憧れの「山の上ホテル」に宿泊する加代子の部屋の上階に泊まっていたのは・・・なんと東十条だった! 大学時代の先輩で編集者の遠藤の手引きによって東十条の執筆を邪魔し、締切日に文芸誌の原稿を見事落とさせる。だがここからが加代子の更なる不遇と試練の始まりだった……。加代子 VS 東十条の因縁の対決は、誰にも予想できない方向へと突き進んでいく!
果たして加代子は文壇に返り咲き、作家としての道を歩むことができるのか!?
のん
田中圭 滝藤賢一
田中みな実 服部樹咲 髙石あかり ／ 橋本愛
橘ケンチ(EXILE) 光石研 若村麻由美
監督：堤幸彦
原作：柚木麻子『私にふさわしいホテル』(新潮文庫刊)
脚本：川尻恵太 音楽：野崎良太(Jazztronik)
製作幹事・制作プロダクション：murmur
配給： 日活／KDDI
企画協力：新潮社
特別協力：山の上ホテル
(C)2012柚木麻子／新潮社 (C)2024「私にふさわしいホテル」製作委員会
公式HP：watahote-movie.com
公式X＆Instagram：＠wands_movie
2024年12月27日（金）全国ロードショー！
