ロックバンド・X JAPANのドキュメンタリー映画『WE ARE X』の完成披露ジャパンプレミアが2月23日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われ、X JAPANのメンバー、YOSHIKI、Toshl、PATA、HEATH、SUGIZOが揃って登壇した。
本作は、結成後30年以上に渡って生み出されてきた、想像を絶するX JAPANの歴史をハリウッドが制作したドキュメンタリー映画。世界への挑戦、脱退、HIDEとTAIJIの死、Toshiの洗脳など、悲劇の連鎖や数々の挫折を繰り返してもなお挑戦し続ける彼らの軌跡を描く衝撃作。2016年1月には米・サンダンス映画祭で最優秀編集賞を受賞、3月にはSXSW(サウスバイサウスウェスト)映画祭でデザイン部門観客賞を受賞した。
本作についてYOSHIKIは「もともと僕らは、結成した時からドキュメンタリーをいつかは作ろうと話していてカメラが回っていたんです。ただ、その後に壮絶なドラマがあって・・・。X JAPANの解散、そしてHIDEの死、Toshlの洗脳、再結成、海外進出、その中でのTAIJIの死。そういった色々なことが起きて、とてもじゃないけど振り返れないし、映像は辛くて観られないから、いつのまにかそういう話はなくなっていたんです。X JAPAN全てのストーリーを映像で見るのは不可能だろうと。でも、X JAPANは、まだ進行形であるわけで、X JAPANのストーリーというのは、心に痛みをもっている人、または人生に挫折しそうな人たちに勇気を与えられるんじゃないか、人の命を救えるんじゃないか、それならば企画を進めてみようと思ったんです。たまたまその時期が、マディソン・スクエア・ガーデンでの公演と重なったので、この映画の撮影、そして今までの映像を探してみようということで始まりました」と経緯を説明。
だが、出来上がった映像を観ても、すぐには辛さ苦悩は消化できなかったようだ。「初めて観たときは椅子から立ち上がることができなくて・・・。それから7~8回くらい観ているけれど、いつも途中から涙でスクリーンがよく見えないんです」といい、「みんな、ティッシュペーパー持ってきた?タオル、バスタオルくらいがいいかも」と観客に声をかけた。
Toshiは、「最初は観るのを5回くらい断ったんです」と明かし、「最終的に、レコーディングだと呼ばれて、スタジオに行ったらそこに映画館が出来ていて、YOSHIKIがどうしても観せると(笑)。あまりに壮絶すぎて、観終わった後、15分~20分くらい言葉も出なくて絶句していましたね」と振り返る。
HEATHは「かなり衝撃的なシーンもありますが、なぜXがここまで大きくなったのか、その理由がわかると思います」とバンドの存在と映画の出来に自信をみせた。
再結成後に加入したSUGIZOは「とても壮絶で、長きに渡る偉大な歴史を観てしまうと、僕がここにいていいのかな?と思ってしまう」と告げると、YOSHIKIが「SUGIZOがいるから今のX JAPANがあるんだよ」と優しく声をかける。さらにSUGIZOが「HIDEさん、TAIJIさんと強烈な先人たちがいたし、まともな神経ではここには立てないと思うので、(ここに立つ)俺って壊れてるんだなと(笑)」と続けると、YOSHIKIが「それは間違いないと思います(笑)」と返し、会場の笑いを誘う場面も。SUGIZOが「今になって改めて自分に何ができるのか考えさせられました」としみじみ話すと、「アルバムを完成させましょう!」とYOSHIKI。会場のファンは大喜びで大きな歓声と拍手が会場を包み込んだ。
最後にToshiは「僕的にもなかなか振り返れない過去があったんですが、監督にさらけ出すことに意味があると言われたので全てをさらけ出した。この映画にはそういうシーンもたくさん収まっています。この映画で自分の過去とケジメをつけて、X JAPANとして、さらに大きな壁をぶち破るためにファンのみんなと一緒に、運命共同体として、みんなと一緒に歩んでいきます」と宣言。YOSHIKIは「決してカッコいいシーンばかりでない」とあらためて映画内容について触れ、「HIDEが亡くなった時、壊れてしまい、ロスでセラピーを受けていたんです」と告白。「心にカギをかけていたんですが、そのカギを開けてドアを開けたんです。でもそのドアは、最初は暗い・痛い・悲しい未来に続くドアでした。辛かったけど、ただ今考えると、そのドアというのは、実は希望に満ちたドアをだったんだなと、この映画を観て思いました」と声を詰まらせる。
「そして、僕らがこうやって存在しているということは、ずっとこうやって応援してきてくれたファンがいたから。だからこそ、この映画も完成し、こうやってステージに立っていられるし、世界でもコンサートができるんだと思っています。本当にファンの皆さんに感謝しています。ありがとうございます」とサングラス越しに涙を流し、熱い思いを伝えた。
フォトセッション時には、YOSHIKIのメイクが(涙で)崩れていないか、Toshlが気に掛ける微笑ましい一幕も見れ、イベントを終了した。
なお、舞台挨拶の前には、レッドカーペットならぬ“紅カーペット”を揃って闊歩したメンバーたち。彼らが登場すると、会場の外に詰めかけたファンたちも大興奮。「We Are X」コールが会場に鳴り響いた。また、AKB48の渡辺麻友、山本彩、柏木由紀、横山由依、宮脇咲良、MAY J.、GENKING、よゐこ・濱口優、神田うの、江戸川コナンのコナン君らをはじめ、政界からも自由民主党幹事長代行の下村博文氏、自由民主党税制調査会副会長前経済再生大臣の甘利明氏など、多くのスペシャルゲストもカーペットに登場した。
『WE ARE X』
公式サイト:http://www.wearexfilm.jp/
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2017年3月3日(金)より全国ロードショー!!