火曜日の“僕”に、決してくるはずのない水曜日の朝がきた―。
新型コロナウィルス感染拡大防止対策による方針を受け、公開を延期していた『水曜日が消えた』が、6月19日(金)から公開した。
映画『水曜日が消えた』は、一人の人間の内側で、曜日ごとに入れ替わって暮らしている“7人の僕”が主人公で、そのうちの最も地味でつまらない、通称“火曜日”の視点を通して描かれていく世界の物語。主人公を演じるのは、話題作への出演が相次ぐ中村倫也。そしてメガホンをとったのは次の時代を担う気鋭の映像クリエイター100人を選出するプロジェクト「映像作家100人2019」に選ばれるなど注目を集める吉野耕平。今回、満を持して自身発案の完全オリジナル脚本で長編映画デビューを果たし、監督・脚本・VFXをすべて自ら担当した。このタッグに、石橋菜津美、深川麻衣、きたろう、中島歩、休日課長ら豪華俳優陣が集結した作品となっている。
映画『水曜日が消えた』配信舞台挨拶イベントは、6月20日(土)に東京・渋谷のシネクイントにて行われた。
劇場に入場し、座席に中村倫也演じる7人の僕のパネルが置いてある光景を見るや否や、ファンの間からは歓喜の声が。パネルと一緒にセルフィ―で写真を撮影したり、会場は舞台挨拶前から熱気に包まれた。
いよいよ舞台挨拶が始まるところで、会場が暗くなり、ブザーが鳴ると、「本日はご来場いただきまして誠にありがとうございます。中村倫也です。」という中村の影ナレが始まり、会場からは悲鳴があがった。「少しの時間ではありますが、今日ここに来てくださった方限定の配信舞台挨拶です。是非お楽しみください。まる。」というナレーションに続き、舞台挨拶が始まった。
MCの呼びかけで登場した中村は「よろしくお願いします。」とウィスパーな声で挨拶をし、「(MCの声に)あわせてみました。」と、初めから会場を沸かせた。公開を迎えた気持ちを尋ねられると、「非常にワクワクしています。楽しんでもらえる作品だと、胸を張って送り出せる作品なので、観に来てくれた方が楽しんで、帰り道に誰かに話したくなるような映画になっていたら良いなと思います。」と自信をのぞかせつつ、「(作品は)面白かったです。この作品がどういう読後感と言いますか、観終わった後自分がどういう感覚になるんだろうなっていうのは、定めきらずに撮っていたので、試写を観終わったときに勇気をもらいました。人によっていろいろな受け取り方ができる作品だと思っています。7つの曜日で皆違うんですが、人間みんな色々な顔を持っていて、その自分の色々な顔に時々翻弄されたり、反省したりとか、生きていると色々な思いがあって。僕もそういうところあると思うんですけど。この作品を観たときに、そういうことを認めていく“力”だったり、自分だけではなくて色々な人と接点を持つことで、成長していくとか、受け入れていくとか、背中を押してもらった気がいたしました。」と、
作品の印象を語った。
撮影に関して話が移ると、「(撮影中は)スーパー寂しかったです。(笑)雑談できる出演者がいる日の方が少なかったので。スタッフさんが準備をしている中で、僕は和室にずっと座っていたような気がします。」と話しつつも、「(プレッシャーは)ないですね。色々な経験をして、色々な人の背中を見ていく中で、役者としてだけではないかもしれないですが、人生観として、“背伸びしても、たかが知れている”と思っているので、緊張とか気負いとか、排除しています。」と、“7役”という大役に挑んだ際の気持ちを振り返った。
その流れで、現場で考えていることに関して話が続くと、「吉野監督の天才的な頭の中にあるものを現場のスタッフで共有できた方が絶対得だと思っています。現場で色々な選択肢が無数にある中で、どれを選択するか(という状況が)が、一番いい気がしていて、その選択肢のひとつになるアイディアがあるならば、その場にポンと置いてみんなで眺められれば、より良いモノづくりができるんじゃないかなと思うので、思ったことは言ってしまいますし、他の人の言ったことで“いいな”と思ったことに自分が乗っかるならばどうしたらいいかなとか考えます。」と話す。
共演者に関しての話になると、「きたろうさんには、きたろうさんにしか出せない音色で存在してくれて、とても魅力的で。深川さんも、監督が例えた“中学生男子の憧れ”というのをいやらしくなく演じられる稀有な方だと思うし、休日課長さんもフランクに思いを現場に持ってきてくれて、中島君も何とも言えない怪しさ、なんでイケメンなのに怪しさが出るんだろうって不思議だったんですけど。(笑)石橋さんも台本読んだ時から、一番繊細で難しい役なのかなと思っていた役を見事に軽やかだけど、質量伴う役にしてくれて、すべての化学反応がハマっているなと思ったので、本当に皆さんがやってくださった作品の真ん中に立てて嬉しいです。」と、その場にはいない、共演者に思いを馳せた。今回の主演を務めた事の心境の話になると、「年々、中村倫也どうでもいいって思っているので。(笑)いままではスパイスみたいな役柄で、作品に刺激をもたらす役が多くて、それにはそれのかかり方があるけど、(今回は)そうではない。色々な人と色々なシーンで呼吸を合わせることは意識してました。それがより一層楽しくなってきた年ごろ、そんなぴちぴちの17歳。(笑)」と、真剣な想いを冗談混じりに話す中村倫也ならではの世界観が画面からも浸透し、客席も盛り上がりを見せた。
「脳のストレッチしているみたいで楽しかったです。ただ、話し相手がいないのは寂しかったです。(笑)監督のビジョンとか、好きなトーン、絡みとかが撮影序盤で、旗が立っていたことが、指針になっていましたし、荷物少なめには入れました。」と、“一人七役”という難役に挑んだ気持ちを話しつつ、細かい演じ分けについても「筋肉の使い方というか、生きている人の体の使い方が分かると、声のイメージも出てくるというか。舞台とかやっていたのは大きいかもしれないです。毎日コンディションが異なる舞台の中で、調整して探ってというのをやってきたので、その経験が生きているかもしれないですね。・・・もういいですよ、僕のことは(笑)」と、照れつつも話していた。
最後に、「きっと、(7人の僕は)どこかにいるかもしれません。映画が始まれば、皆様もこの世界に入っていける。そういった作品になっていると思います。時間を忘れて楽しんで頂ければ嬉しいです。」と観客に挨拶をし、舞台挨拶は幕を閉じた。
<STORY>
幼い頃の交通事故をきっかけに、ひとつの身体の中で曜日ごとに入れ替わる“7人の僕”。各曜日の名前で呼び合う彼らの中でも、“火曜日”は一番地味で退屈な存在。今日も“火曜日”はいつも通り単調な一日を終えると、また一週間後に備えて、ベッドに入る。それは突然やってきた。“火曜日”が朝目を覚ますと、周囲の様子がいつもと違うことに気付く。見慣れないTV番組、初めて聞く緑道の音楽…そう、“水曜日”が消えたのだ。水曜日を謳歌する“火曜日”だったが、その日常は徐々に驚きと恐怖に変わっていく。残された“火曜日”はどうなってしまうのか―。
出演:中村倫也/石橋菜津美 中島歩 休日課長/深川麻衣 きたろう
監督・脚本・VFX:吉野耕平
音楽:林祐介
主題歌:須田景凪「Alba」(unBORDE / Warner Music Japan)
日本テレビ・日活共同作品 制作プロダクション:ジャンゴフィルム
配給:日活
©2020『水曜日が消えた』製作委員会
公式HP:http://wednesday-movie.jp/
公式Twitter:@wednesday_movie
6月19日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー