映画『ザ・ホエール』の初日舞台挨拶が、4月7日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、来日中のブレンダン・フレイザーが登壇した。
本年度アカデミー賞2部門(主演男優賞/メイクアップ&ヘアスタイリング賞)受賞した映画『ザ・ホエール』。本作は、余命わずかな体重272キロの孤独な男が疎遠だった娘への無償の愛を紡ぐ、最期の5日間を描く、壮絶な心震わすヒューマン・ドラマ。
『ハムナプトラ』シリーズでスター俳優として知られるもハリウッドの表舞台から長らく遠ざかっていたブレンダン・フレイザーだが、本作の圧巻の存在感と迫真の演技に大絶賛の声が寄せられ、数々の賞を獲得し、ついに本年度アカデミー賞で主演男優賞を初受賞した。
この度、日本公開を祝して、ブレンダン・フレイザーが15 年ぶりに緊急来日し、ファンとの再会を果たした。
晴れやかな笑顔で登場したブレンダンは「コンバンワ!トウキョウ!」と日本語で挨拶し、「日本に再び来られて大変光栄に思っています」と来日を喜んだ。
この日は、劇中で主人公のチャーリーがオンライン授業の講師をしていることから、映画のイメージに合わせて、全国から抽選で選ばれた49名がオンライン上に集まり、スクリーン上に投影。ブレンダンは「ズームで参加していらっしゃる皆さんは、ちゃんと下着とかパンツとはいていますか?大丈夫ですか?(笑)」と声をかけ、会場を沸かす。
ここから、MCが代表して参加者からの質問をブレンダンに投げかけることに。「久しぶりの日本で行ってみたいところや食べたいものは?」という質問に、「桜が少し散ってしまいましたが、少し見られたので嬉しく思っています。(前回一緒に来日した)ミシェル・ヨーさんとは、今もとても良い友人ですが、アカデミー賞までの6か月の道のりを彼女と共に歩むことができたことを大変光栄に思っています。そして、彼女が賞を受賞したことはこの業界の大きな躍進に繋がると思うので、それを見守ることができて大変嬉しく思っていいます」と、作品は違えど、同じ時にアカデミー賞を受賞したかつての共演者を称えつつ、「京都や大阪に行ってみたいですね。どなたか、美味しいラーメン屋さんを教えてもらえますか?」と微笑んだ。
また、本作ではブレンダン演じるチャーリーの特殊メイクにも注目が集まったが、その印象を聞かれると、「チャーリーは、その外見を外側から観るよりもっとたくさんのものを持っている。そして、チャーリーというキャラクターを作り上げるためには、特殊メイクというのものが必要だったんです。担当してくださった特殊メイクアーティストの方もオスカーを受賞しています。チャーリーを表現するには、デジタルではなく身体的、肉体的にする必要で、実際の重力だったり物理の法則にちゃんとのっとった形で表現することが大事だったんです」と特殊メイクの必然性とキャラクター作りへのこだわりを吐露。そして、「皆さんもチャーリーと出会ったらすぐに好きになると思いますよ。自分がそうでしたから」と語りかけた。
本作では、チャーリーを取り巻く周囲の人間関係も重要な見どころ。ブレンダンは「この作品には秘密の材料があると思っているんです。それは、今回の5人のキャスト。コロナ禍でお互いが思いやりを持って臨んだ。その人と人との関係性がスクリーンからも届くと思う」と言い、「ホン・チャウは、彼女だけで1本の映画が撮れると思うくらいだった。実は撮影前に3週間のリハーサルの時間ができて、その間に役者同士のお互いを知ることができ、お互いの演技を見ることで撮影に入るときには、我々は何をすべきなのかということがはっきり見えている、そういう自信があったんです」としながら、「ホンさんはリハーサルの数週間前にお子さんを出産されたばかりだったんです。なので、皆がホンさんが赤ちゃんの面倒を見れるように気を使いました」とエピソードも披露した。
娘役のセイディー・シンクについては「素晴らしい!」と一言。「本当に素晴らしい才能の持ち主で、あんなに若いのにあれだけの才能があるのへ、32年のキャリアを持つ自分から見ても驚異的でした」と絶賛。「セイディー、大好きです!」と役とリンクした父親のような笑顔を見せていた。
さらに、「『ハムナムトラ』のようなアクション映画に出演する機会があるか? オスカー俳優として変わったことは?」と問われると、「アカデミー賞をいただいたので、ユニバーサルの方々がまた僕に(ハムナプトラの)キャスティングしてくれることを皆さんも一緒に祈ってください(笑)」と意欲を見せ、会場から大きな拍手が送られる。
そして、「改めて、この作品を楽しんでいただければと心から思っています。自分がこういう仕事ができるのも、特別なチャンスを与えられるのも、本当に皆さまのおかげだと思っています。皆さん大好きです」と心を込めてメッセージを送ったブレンダンだった。
『ザ・ホエール』
【ストーリー】
ボーイフレンドのアランを亡くして以来、現実逃避から過食状態になり健康を害してしまった 40 代の男チャーリー。アランの 妹・看護師のリズの助けを受けながら、オンライン授業でエッセイを教える講師として生計を立てているが心不全の症状が悪 化し、命の危険が及んでも病院に行くことを拒否し続けている。しかし、自分の死期がまもなくだと悟った彼は、8年前、アラ ンと暮らすため家庭を捨てて以来別れたままだった娘エリーに再び会おうと決意。彼女との絆を取り戻そうと試みるが、エリー は学校生活や家庭に多くの問題を抱えていた….。
監督:ダーレン・アロノフスキー(『ブラック・スワン』『レスラー』)
原案・脚本:サミュエル・D・ハンター
キャスト:ブレンダン・フレイザー、セイディー・シンク、ホン・チャウ、タイ・シンプキンス、サマンサ・モートン
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ
原題:The Whale/
字幕翻訳:松浦美奈
PG12
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whale-movie.jp
2022 年/アメリカ/英語/117 分/カラー/5.1ch/スタンダード/
TOHOシネマズ シャンテ他にて全国公開中!