映画『やがて海へと届く』のプレミア試写会イベントが、3月20日、東京・ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場にて行われ、主演の岸井ゆきのをはじめ、共演の浜辺美波、杉野遥亮と、中川龍太郎監督が舞台挨拶に登壇した。
彩瀬まるによる原作小説を実写映画化した本作は、突然消息を絶った親友の死を受け入れられずにいる主人公・真奈が、深い悲しみを抱えながらも前に踏み出そうとする姿を見つめる、喪失から再生へと向かう物語。監督は『四月の永い夢』『わたしは光をにぎっている』の中川龍太郎が務め、引っ込み思案な主人公・真奈を岸井ゆきの、真奈の親友となる・すみれを浜辺美波、すみれの恋人・遠野を杉野遥亮が演じ、鶴田真由、中嶋朋子、新谷ゆづみ、光石研の豪華共演陣が脇を固めた。
岸井は「真奈はあまり言葉で語らない人。私も私生活では自分の事を友人に相談したり多くを語って何かを求めたりすることはないので、似ているところがありました。真奈は大事だったものを抱え込んでしまうのですが、私は抱えながらどこまでも信じていることができるんです。違うところもありますが、ベースが似ていたので大事に(役に)寄せていきました」と、役と向き合っていった様子。
今回、じっくりと共演したのは初めてだという岸井と浜辺。岸井について浜辺が「感性が素敵で、それが仕草や表情に魅力が溢れ出て愛おしさを感じてしまう・・・そういう人がらなんだなと、素直に憧れを抱いていました」と称えると、岸井は「ただ、アホなだけだと思いますよ(笑)」と大照れ。
劇中ではとても自然体な雰囲気の二人だが、「親友だからこうだよね・・・と特に意識したことはなかったですね」と岸井。浜辺も「出番を待っているときも、二人でボーっとしていることが多かったですね」と言い、顔を見合わせて微笑んだ。
また、岸井は完成作品を観たときの衝撃について言及し、「(完成された映画が)最初にいただいた台本と違っていたんです。ファーストカットもラストのカットも違っていたので、編集は楽しいだろうなと。“あの写真をここに使うんだ!”と興奮しました。映画作りの醍醐味と愛情を感じました」と目を輝かす。
同じく完成作品について、杉野は「すっげーキレイ(な映像)だなと思いました。演じ終えて不安に思うこともありましたが、自分は助けられているなと思った」と語り、「撮影前に監督と色々お話をさせていただいたので、すべて監督に委ねていました」と振り返る。
それぞれのキャスティングについて、監督は「岸井さんは“採れたての野菜”みたいなみずみずしさがある。生命力があるんです。そんな岸井さんに対するすみれには“透明感があって、いい意味でワガママで気が強い”という浜辺が合う。杉野さんの遠野はナルシスト。聡明なイメージの杉野さんに類似していると思って出演していただきました」と明かし、満足気。
イベントでは3月は卒業の季節ということで、「○○を卒業したという思い出」を問われたキャストたち。岸井は「ちょうど、(運転免許の)教習所を卒業しました!」とニッコリ。「今、一番道路標識のマークを知っていると思いますよ(笑)」としながらも「隣に先生がいないとちょっと怖いですよね。最初に運転した時にいきなり4車線に入ってしまって・・・それからは父親に一緒に乗ってもらいました」と可愛いエピソードも。
そんな岸井に「羨ましいです」と浜辺。「楽しいよ」と免許取得を進める岸井のやり取りを聞いていた杉野は「僕は運転免許を持っているんですが・・・一度更新を忘れちゃって。ゴールド免許から青色になっちゃった思い出があるんですよ」と告白し、苦笑いする一幕も。
同じ質問に浜辺は「最近、家がキレイになりました。散らかっている生活に卒業しました。机の上もキレイになって、今日は晴れやかな気分でここにきました」と晴々とした笑顔を見せ、杉野は「今まで、撮影現場にはジャージとTシャツにサンダルという格好で入っていたんですが、それをやめてオシャレをするようになりました」と心境の変化を吐露。どうしてそうなったかをMCから聞かれると、「カッコいいから!」と即答。会場の笑いを誘いながら「カッコいい人は皆、ちゃんとしてるなと思って。いい靴を履いて家を出ると、そこでスイッチが入るようになりました」と話し、会場は和やかムードに。
最後に岸井が「この映画は喪失と再生の物語ですが、これから何かを失ったり別れたりすることもあると思うんです。生きていれば悲しい気持ちになることはあると思いますが、悲しい気持ちのままでも何か他の感情がないか探ることはできると思うので、私も何かを探しながら生きて行こうと思っています。そんな気持ちが届いたら嬉しいです」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。
『やがて海へと届く』
<STORY>
親友がいなくなって5年。忘れたくない思い出と、知らなかった親友の秘密―
私は、本当の彼女を探す旅に出る。
引っ込み思案で自分をうまく出せない真奈は、自由奔放でミステリアスなすみれと出会い親友になる。しかし、すみれは一人旅に出たまま突然いなくなってしまう。あれから5年―真奈はすみれの不在をいまだ受け入れられず、彼女を亡き者として扱う周囲に反発を感じていた。ある日、真奈はすみれのかつての恋人・遠野から彼女が大切にしていたビデオカメラを受け取る。そこには、真奈とすみれが過ごした時間と、知らなかった彼女の秘密が残されていた…。真奈はもう一度すみれと向き合うために、彼女が最後に旅した地へと向かう。
原作:彩瀬まる
監督:中川龍太郎
アニメーション監督:久保雄太郎、米谷聡美
脚本:梅原英司
プロデューサー:小川真司、伊藤整
撮影:大内泰
照明:神野宏賢
編集・本編集:田巻源太
音楽:小瀬村晶 アニメーション挿入曲/エンディング曲:加藤久貴
出演:岸井ゆきの 浜辺美波 杉野遥亮 中崎敏 鶴田真由 中嶋朋子 新谷ゆづみ 光石研
2022年/日本/カラー/アメリカンビスタ/DCP5.1ch/126分
©2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会
公式サイト:https://bitters.co.jp/yagate/
公式Twitter:@yagate_movie
公式Instagram:https://www.instagram.com/yagate_movie/
4月1日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー