映画『余命10年』のジャパンプレミアが、1月24日、東京・丸の内ピカデリーにて行われ、W主演の小松菜奈、坂口健太郎をはじめ、山田裕貴、奈緒、黒木華、原日出子、松重豊と、藤井道人監督が登壇した。
切なすぎる小説としてSNS等で反響が広がり続け、現在すでに50万部を突破している小坂流加の同名小説を『新聞記者』『ヤクザと家族 The Family』の藤井道人監督がメガホンを取り実写映画化。本作は、20歳で数万人に1人という不治の病になり、余命10年と宣告された茉莉と、生きることに迷い、自分の居場所を見失った和人が恋に落ち、残された時間が迫る中、二人の愛おしい日々と思い出を綴った物語。主人公・茉莉(まつり)役を小松菜奈、同窓会で再会し、恋に落ちる若者・和人(かずと)役を坂口健太郎がW主演で演じる。
小松は、完成した作品に思いを馳せ「この企画のお話を頂いてから、本当にいろいろな物語があって・・・、こうして映画が完成し、今ここに立っていることを本当にうれしく思います。感無用です」と感極まって涙を流し、「この日を迎えられてとても幸せです」と溢れる想いを口にする。
坂口は「撮影期間は宝物のような時間でした。本当に生き切ったなと」と、しみじみ。「完成作品を観て、自分もここまで感情があふれることがあるんだなと驚きました。とても愛があふれた映画になったと思います」と自信を覗かせた。
四季の彩とともに約1年の月日をかけて撮影された本作。特に印象的な茉莉と和人の恋の始まりを描いた夜桜のシーンについて聞かれると、小松は「和人と茉莉の関係が始まっていく爽やかなシーンで、私は二人が“何がきっかけで惹かれ合ったのか”を明確にしていないところが凄く好きです。『この人と一緒にいたいな』とか『この人を守りたいな』とか、『この人の笑顔をずっと見ていたい』という気持ちが茉莉の中にはあって。和人の屈託のない笑顔が茉莉にとっての救いだったんだなと思えるようなシーンなので」とコメント。
坂口も「夜桜のシーンは風が吹いて、目が合って、二人の美しい関係性のスイッチが入った気がしました」と言い、「景色に感情移入してしまうような感覚のなかで撮っていました」と振り返った。
一方、茉莉と和人の中学の同級生・タケル役の山田は「落ち込んだり、悩んだり考えたりと自分の中の負の感情が渦巻いているタイミングでこの(完成)作品を観て、『ああ、ただ生きよう。強く生きよう』とシンプルに思いました」と話し、「そういうメッセージがたくさんの方に届いてくれたらいいなと思います」と熱い思いを吐露。
茉莉の姉・桔梗役の黒木は原作のものとは少し離れているという。監督は「小坂家のご家族に取材させていただいて、病気を患っているから(茉莉に)優しく優しく・・・というより、黒木さんにはもっと普通に接するようにしていただこうと考えました」と述べ、黒木は「家族でドライブするシーンで感覚を掴んで桔梗ができていきました」と役作りについて言及。
1年間の撮影で茉莉を生き抜いた小松は「茉莉役を演じ終えたあとは抜け殻状態だったというか、燃え尽きたなという気持ちが大きくて。すぐに次の仕事にいけないくらい。自分の人生と役の人生が重なって、2つの人生を歩んだような不思議な時間で、今までそういう役はなかった」と述懐。「すごく大好きな現場でしたし、ここにいる皆さんと一緒にこの大切な作品を作れたことは本当にかけがえのないこと。自分にとっても宝物になりました」と誇らしげ。
病状が悪化していく役どころで、小松は「常に減量していました。なので、みんなとご飯を食べるということはなくて、自分で持ってきたご飯を食べていました。うなぎの差し入れがあったときは美味しそうだなと思ってました(笑)」と笑顔で話し、「家族の大事なシーンでお腹の音が大きく鳴ってしまったり(笑)。でも、減量したことで茉莉の計り知れない苦しさを自分のこととして消化することができました」と役と向き合った様子。
小松を近くで見ていた母親役の原は「本当に見る見るうちに痩せていくので途中で心配になって。『終わったらおいしいもの食べようね』って言って。頑張ったね」と涙ぐみながら小松を称える。
プライベートでも小松と仲が良いという奈緒も「本当に大変な役を、減量しながら凄く真剣に向き合っている姿を隣で見ていて、仲間としても、友だちとしても本当にカッコいいなと思っていました。自分自身が大変なのに、私自身、菜奈に支えられたこともありました」と涙ぐむ場面も。
また、「これから10年間でやっておきたいこと」と問われたキャストたちは、それぞれフリップに書いて回答。松重は「出家」と答え、仏門に興味があることを明かし、原は「ボイストレーニング」。黒木が「世界旅行」と答えると小松は「日本旅行」で姉妹感を。奈緒は「魚(うお)たんとの想い出をたくさんつくる」とペット愛を溢れさせ、山田が「変化を恐れない」と自身の姿勢を見つめると、坂口も「断捨離」と回答し、「自分に着いた心のメッキをいつでも捨てられるようにしたい」と40歳までの展望を語った。
最後に藤井監督が「すごく大変な撮影をみんなで乗り越えた作品。みなさんの心に寄り添って、少しでも日常が豊かになってもらうようにと命がけでこの映画を作りました」と力強くメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。
フォトセッションでは会場に桜が舞う演出が施され、さらにサプライズで登壇者に向かい観客がペンライトを振って完成をお祝い。大盛況のうちにイベントを終了した。
映画『余命 10 年』
<ストーリー>
20歳で不治の病にかかり、もう恋はしないと心に決めた余命10年の茉莉。生きることに迷い、自分の居場所を見失った和人。同窓会で再会した2人は惹かれあい、ありふれた毎日が嘘みたいに輝き出す。思い出の数だけ失われていく時間――彼らが最後に選んだ道とは?
【スタッフ・キャスト】
原作:小坂流加「余命10年」(文芸社文庫NEO刊)
監督:藤井道人
脚本:岡田惠和 渡邉真子
出演:小松菜奈、坂口健太郎
山田裕貴、奈緒、井口理 / 黒木華
田中哲司、原日出子、リリー・フランキー / 松重豊
音楽・主題歌:RADWIMPS「うるうびと」(Muzinto Records / EMI)
【配給】ワーナー・ブラザース映画
【コピーライト】©2022映画「余命10年」製作委員会
【原作書影クレジット】文芸社文庫NEO刊
【映画公式ツイッター/インスタグラム】@yomei10movie #余命10年
【映画公式サイト】https://wwws.warnerbros.co.jp/yomei10-movie/
2022年3月4日(金) ROADSHOW