伝説のファッションデザイナー、イヴ・サンローランの名声と、その人生の光と影を描いた映画『イヴ・サンローラン』。9月6日の日本公開を記念し、主演のピエール・ニネが初来日。8月8日、ペニンシュラ東京にて「来日記念サロン会見」を開催した。
ホテルの一室で、ピエール・ニネを囲むようにソファーが並べられた会場。設置されたパネルの前には大きな花が飾られ、まさに「イヴ・サンローラン」の“サロン”で会話するような、ゆったりとした時間が流れるなか会見がスタート。
今回初めて訪れた日本の印象について、「イヴ・サンローランも生前愛していた日本に来ることができて嬉しいです。日本の人たちは互いに敬意を示し、礼儀正しくエレガンス。サンローランにとってもエレガンスは重要なテーマでした。しばらく東京に滞在し、日本の伝統も見てみたいので京都に行くつもりです」と述べ、優しく微笑んだ。
世界で最も有名な天才デザイナー、イヴ・サンローランを演じることになり、「こんなに伝説的で鮮烈で魅惑的な役のオファーがあることはないですから、自分はとても幸運でした」と語るニネ。完璧な演技でその酷似した容姿と繊細なキャラクターを見事に再現し、フランスのみならず世界中を圧倒させた。
また、本作は生涯サンローランのパートナーだったピエール・ベルジュ氏の協力のもと、イヴ・サンローラン財団所有の貴重なアーカイブ衣装の貸し出しを得て制作された、ブランド初公認の本格伝記映画としても話題を呼んでいる。
役作りには5か月半の期間を費やし、じっくり丹念に準備したという。「まずは、彼の本当の声を1日3~4時間くらい聞いて勉強しました。そして、デッサン、フィジカル、ファッションの専門家の3人のコーチにつき、布の遣い方触り方からデッサン、ファッション業界の様々な専門用語、体をどのように使うかまで身にしみつけました。サンローランを知る人にも会い、様々なエピソードも聞くこともできました」と、完ぺきなる演技のための努力を明かし、「自分の生まれる前の時代を学び、僕自身が歴史を再体験するようでおもしろい経験でした」と振り返った。
「演じる上で、最初は自分との共通点を探そうとしましたが、結果的に全く違う人間だということが分かりました。唯一似ているといえば、仕事に対しての早熟性。スケールは違いますが、若くして自分の道が決まったというところでしょうか」と語るニネは25歳。10代前半で舞台デビューし、数々の作品に出演している。「あり余るエネルギーを、物語を演じることに費やすことに意味があると気づいたんです」と自己分析する。次回作ではスリラーにチャレンジしたいと話し、「役ごとにスタイルを変えていくのが好き。カメレオンのような俳優になりたいと思っています」と目を輝かせた。
さらに、脚本の執筆、TVシリーズの監督も務めるなど幅広い才能も。「今は、長編映画の脚本を書いているので、実現させたいと思っています」と意欲をみせる。
サンローランは21歳の時、「ディオール」の後継デザイナーとして指名され、その後26歳で自らのブランド「イヴ・サンローラン」を立ち上げ、今なお人気を誇るブランドの礎を築いた。最後に、「何もないところから、いかにしてイヴ・サンローランが帝国を築き上げたのか。この映画は、彼のダークな面も描かれています。サンローランという人は、時代を先読みする鋭い感受性を持つがゆえ、孤独や苦しみを抱えていましたが、それをクリエーションに転化させることができた人なんです」と伝えた。
会見が終わると、「監督にこんなに取材の人が来てくれたんだって伝えたいから、みなさんの写真を撮ってもいい?」と、取材陣に携帯カメラを向け、無邪気な素顔を垣間見せる場面も。21世紀フランスを代表するイケメン俳優が演じるイヴ・サンローランとはどんな人物か、そしてその人生とは・・・。公開が待ち遠しい。
『イヴ・サンローラン』
<2014年 ベルリン国際映画祭 パノラマ部門 オープニング作品>
監督:ジャリル・レスペール
出演:ピエール・ニネ、ギョーム・ガリエンヌ 、シャルロット・ル・ボン、ローラ・スメット、ニコライ・キンスキー
作品紹介は >> こちら
公式サイト:http://ysl-movie.jp/
9月6日(土)より角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネマライズほか
全国ロードショー!