映画『ずっと独身でいるつもり?』の完成披露試写会が、10月19日、東京・ニッショーホールにて行われ、主演の田中みな実をはじめ、共演の市川実和子、松村沙友里、徳永えり、稲葉友と、ふくだももこ監督が舞台挨拶に登壇した。
おかざき真里原作の同名漫画をふくだももこ監督の手で映画化した本作は、現代を生き抜く女性の抱える不安、寂しさ、希望を描く物語。仕事や暮らしに充足感を得ながらも、周囲の雑音に傷つき、苦しみ、揺れる30代の独身女性・本田まみに田中みな実、元彼の存在に振り回される由紀乃役に市川実和子、パパ活など華やかな世界に生きるも、若さを失うことに怯える美穂役に松村沙友理、結婚し子供にも恵まれ、インスタグラマーとしてもてはやされるも、自分らしさを失っている生活に悩む彩佳役に徳永えりが演じ、まみの年下の彼氏・公平役に稲葉友ほか、山口紗弥加、藤井隆、筒井真理子ら豪華キャストが顔を揃えた。
満席の会場を見渡しながら、田中は「たくさんのお客さんにお越しいただいてすごく幸せです。お金を払って時間を作って、映画を観に来ていただけることがこんなに素晴らしいことなんだと実感しています」と感慨深げに挨拶。ふくだ監督は「久々にこういう景色が見られて・・・」と声を詰まらせ、「昨年公開した映画は、舞台挨拶は1度もありませんでした。お客様の顔があり、スクリーンがあって作品を観て気持ちを持ち帰ってもらうのが映画。本当に嬉しいです」と大粒の涙を流し、会場から温かい拍手が送られた。
本作で映画初主演を務めた田中は「主演と言っても名ばかり。これは4人の女性の話です」と言い、まみの役作りについて聞かれると「特に役作りはしませんでした。30代半ばの独身で働いている女性という共通項で一緒くたに扱われがちですが、私とまみを切り離してご覧いただきたいです。その方が観やすいかなと」とお勧め。「よく、“田中さんの人生そのままですね”」などと言われるんですが、全然違いますので(笑)」と笑顔で断言。
それでも、「私も20代後半くらいには、結婚を一つの逃げ道として考えたことがあったなと振り返ったりしました。今は、結婚したくないとも、しないと決めてはいません。自由で、たくさんの選択肢があっていいのに、決めつけられてしまうことが多いと感じているところは、共感できました。映画を観て、自分の生き方を肯定できる気持ちになっていただけたら」と思いの内を口にした。
市川は「私はすっごく性格の悪いキャラクターです。思いきり剥き出しのままに演じました。性格の悪さに惹かれてやってみたい気持ちになって・・・。喜んで挑みました」と笑い、「由紀乃を愛おしいと思ってもらえば嬉しいです」とコメント。
原作にはないキャラクターを演じた松村は「(撮影は)全部、印象に残っています。とても大変でした」と撮影を振り返ると、ふくだ監督が「松村さんが真剣に美穂という役に向き合っていました。どんどん変わっていって」とニッコリ。その言葉に松村は「あの時は、ほんまに必死でした」と答えながらも「美穂とともに私自身も成長できました。美穂を演じられて良かったと思います」と充実感をのぞかせた。
徳永は「監督はすきあらば私の子ども役の赤ちゃんを抱いて『可愛いなぁ~』って言ってました(笑)」と母になったばかりの福田監督の様子を暴露。役がらについては「傍から見たらとても幸せに見えるのですが、周りからは見えない寂しさや、悲しさを持っているキャラクターです。そんな気持ちを監督が理解してすくい取ってくれました」と述べた。
一方、この日唯一の男性として登壇した稲葉は「イラっとするキャラクターです」と苦笑いしつつ、「僕の役は男の人の“こういうところあるぞ”という要素を6~7人分集めた感じです」と説明。「彼の言動に色々な感情が湧くと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです」とアピール。
すると、恋人役となる田中は「稲葉さんがとてもリアリティーがあって(笑)。端々で女性を傷つけるような言動をするんですよ」と言及。「きっと男性からしたら『何がいけないの?』と思うかもしれないけれど、女性はモヤモヤする気持ちがすごく分かると思います」と続けた。そんな田中に「(モヤモヤするのは)役がですよね?」と確認し、笑いを誘っていた。
稲葉は田中と恋人として共演するにあたり「みな実さんの写真集を見たり、ラジオを聴いたりしました」と準備。「フラットな関係ができればいいなと思っていましたが、現場ではみな実さんが、楽しく居心地のいい空気を作ってくださいました」と感謝していた。
産後直後に撮影の臨んだ監督は苦労も多かったようだが、「スタッフ、キャストの皆さんに助けてもらいました」と話し、主演を演じた田中を「プロフェッショナル!」と称える。「脚本の打ち合わせで田中さんが色々話してくださったことが指針となり、まみの軸ができあがりました。田中さんだからバシッと決まったし、心強かったです」と満足気。
最後に、田中は「結婚できない、結婚しないという話の映画ではありません。一人ひとり、それぞれの生き方、選択があっていいのではということを描いています。歩んでいく人生において、少しでも背中を押してくれるような作品になれたら幸いです」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。
『ずっと独身でいるつもり?』
<ストーリー>
10 年前に執筆したエッセイから一躍有名作家となった本田まみ(田中みな実)、36歳、独身。女性の幸せの価値を赤裸々に綴り、読者の支持を得たが、それに次ぐヒット作を書けずにいる。世間の需要に応えつつも、作家として迷走中にあるまみは、自身の年齢に対して事あるごとに周囲から「ずっと独身でいるつもり?」と心配されている。さらに、配信番組でのまみの発言に「空っぽになった」と感じ、失望する元ファンの由紀乃(市川実和子)。夫への小さな不満を抱えながらインスタ主婦を続ける彩佳(徳永えり)。パパ活女子として生計をたてつつも、若さを失うことに怯える美穂(松村沙友理)。異なる生きづらさを抱える4人が踏み出した小さな一歩とは?
出演:田中みな実 市川実和子 松村沙友理 徳永えり 稲葉友 松澤匠 / 山口紗弥加 / 藤井隆 / 橋爪淳 / 筒井真理子
原作:おかざき真里(原案:雨宮まみ)「ずっと独身でいるつもり?」(祥伝社フィールコミックス)
監督:ふくだももこ
脚本:坪田文
音楽:池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)
製作:鳥羽乾二郎
エグゼクティブプロデューサー:福家康孝
企画・プロデュース:谷戸豊 プロデューサー:柴原祐一
制作プロダクション: ダブ
企画・配給:日活
クレジット:© 2021日活
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2021年11月19日(金)全国ロードショー