野口照夫が脚本と監督を務め、2000年代初頭にインディーズ作品として制作した「演じ屋」が、約20年ぶりに新しくWOWOWオリジナルドラマ「演じ屋」として誕生!
結婚式前日、痴漢の冤罪で仕事も婚約者も失ってしまうトモキが、偶然出会った客から依頼された役になりきる「演じ屋」のアイカを雇い、自分を痴漢の冤罪に追い込んだ犯人たちに復讐を企てる。
アイカとトモキのW主演を務めるのは、CMやドラマ、映画などの話題作に引っ張りだこで、今や見ない日はない奈緒と磯村勇斗。今回、Astageでは、磯村勇斗さんにインタビューを遂行。“演じる”ということでは俳優も同じく「演じ屋」。プロの俳優としての思いを聞くことができた。
― 磯村さんは本作の題材が面白いと仰っていましたが、この作品をどのようにとらえて演じられましたか?
まず「演じ屋」という題材が面白いし、台本を読んでいてテンポ感が凄く気持ちよかったです。そして、結婚前日に冤罪によってすべてを失うって、そんなに酷いことってある?というくらい悲しいですよね。これが自分の身に起きたらもう立ち直れないんじゃないかなというくらい、トモキには同情しました。
最初はそんな復讐劇から始まります。アイカと出会い、自身も「演じ屋」になるのですが、依頼された仕事で出会う問題が社会の闇だったり、もう一度僕らがしっかりと見つめ直さなければいけない事件や事故に絡んでいきます。凄く社会派でもあり、コミカルな部分もあって、台本を読んで今までにない新しいエンターテイメントができるんじゃないかなと思いました。
― 物語が進むにつれ、トモキの感情が変わっていきますが、演じる上で心がけていたことはありますか?
トモキは巻き込まれる側の役なので、どれだけアイカたちやこの仕事の依頼人、関係してくる人たちに影響を受けて振り回されるか、そしてそれに寄り添えるかを大事にしました。何かをがっちり作って撮影現場にいくということではなくて、その場で生まれるものを大切にしようと思って臨みました。
― 特に監督と話し合ったシーンはありますか? ティッシュのかごを落とすシーンとか?
「情熱大陸」で取り上げられたところですよね(笑)。あれは、監督が「こう落ちたらいいよね」と仰ったので、たまたま練習をしていたんです。「磯村がこだわっている・・・」みたいな切り取りかたをされていましたが、僕としてはそこまでこだわっていたシーンではなかったんですけどね(笑)。もちろん、監督の演出には応えないといけないと思っていますし、ほかのシーンでトモキだったらどうするんだろうというところは監督とディスカッションしながら進めました。
― 今回、「演じ屋」という演じるプロに扮するわけですが、演じるということでは俳優も同じこと。プロの俳優とは何だと思いますか?
それは明確にあって、お金をもらうかどうかということです。舞台でいうと、しっかりお客様からお金をいただいて舞台上に立ったら、そこからプロ。お金をいただく以上はプロとしての自覚を持たないといけないと思っています。
僕は高校2年生の時に地元の沼津で初めて舞台に出させてもらいました。その時にお客様からお金をいただくということに責任を感じましたし、ちゃんとそれ以上のものを返したいという思いがありました。アマチュアではありましたが、プロとしての意識はしっかり持っていました。
― その時アマチュアとはいえ、お金をもらって演じることに恐怖やプレッシャーはなかったですか?
やっぱり怖かったですね。金返せって言われたらどうしようっていうプレッシャーはあります。でも、僕らは観客の皆さんにお金のことを考えさせないぐらいのパフォーマンスを一生懸命するだけです。楽しかったねって言って帰ってもらうのが一番嬉しいので。
― そんなお金を払うだけの価値がある存在、パフォーマンスをするうえで大事にしていることは?
独りよがりにならないことですね。1つの作品にはたくさんのスタッフさんが携わっていて、現場に行けば自分以外の俳優さんもいて、そこでセッションしながら作っていく。撮影してからも編集をして、それを配給する人がいて最終的に観客の皆さんに届くという一連をちゃんとビジョンとして常に持っていること。1人じゃなくてみんなで作り上げているんだということはとても大事にしています。
― 今作も個性的な実力派俳優さんが揃っていますが、特に刺激を受けた方はいらっしゃいますか?
アイカ役の奈緒さんと一緒にお芝居をさせてもらってとても楽しかったです。彼女は自由で、もの凄く肝が据わっている女優さん。自分に壁を作らず、とにかく芝居を純粋に楽しんでいるんです。こちらが芝居で何かをしても、それに対応して一緒に遊んでくれる。僕もそういうスタイルが好きですし大切にしているので、同じく自由にやろうと思いました。とても素敵な女優さんですね。
― 共演の俳優だけでなく、スタッフとのコミュニケーションはどのようにとっているのでしょうか?
スタッフさんとのコミュニケーションもよく取るようにしています。衣装部さんやヘアメイクさんとは普段から話す機会が多いのですが、技術チームの方々は現場で作業をしていて忙しいので話しづらいこともあります。なので、ちょっとした休憩や準備中に様子を見て自分から話しかけるようにしています。
ちょっと変わったカメラを使っていると、「こういう撮り方ができるんだよ」って、僕の知らない技術面も教えてくれたりするんです。あとは他愛もない話をしていますが、そこからチームの輪を広げていくことは作品作りには必要だと思っているので。ハードなシーンが続いて現場がピリピリしていても、コミュニケーションを取っているとスタッフさんたちの重い空気も少し和らぐんです。そうやって一緒に乗り越えていけたらいいなと思っています。
― 多くの作品に出演し、多方面で活躍されている磯村さんですが、ご自分の価値をどのように考えていらっしゃいますか?
特に自分だけで商品価値みたいなものは考えていません。それはマネージャーさんや所属事務所と一緒に考えていけばいいと思っているので。求められれば、求められる分、それに対してちゃんと返していかなければいけない。そういう意味で一つ一つが勝負だと考えると、ずっと緊張の糸がピーンと張り詰めているような感じはありますね。
この業界って悪いことはどんどん広まっていく傾向があるので、そういうところはちょっと怖いですが、いま自分が出せるものを出していくしかないと思って全力で臨んでいます。
― 磯村さんはご自身より役がしっかり印象づけば、磯村勇斗という名前を覚えてもらわなくてもいいと仰っていましたが、そのお気持ちは今も変わらないですか?
はい、その思いは変わっていません。でも、そうは言っても、「磯村勇斗」の読み仮名が「いそむらゆうと」だったり、「はやと」の漢字が違っていたりすることも多々あるので、事務所の人たちと「まだまだだね・・・」と話しています(笑)。お仕事をいただけるのは本当にありがたいことですけど、せめて名前は正確に知っていただきたい・・・(笑)。だからまだ頑張らないとですね。
【磯村勇斗(いそむら・はやと)】
1992年9月11日生まれ。静岡県出身。主な出演作に連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK)、「今日から俺は!!」(日本テレビ系)、「きのう何食べた?」(テレビ東京系)、「恋する母たち」(TBS系)、大河ドラマ「青天を衝け」(NHK)など。現在「サ道2021」(テレビ東京系)に出演中のほか、映画『ヤクザと家族 The Family』がNetflixにて配信中、映画『東京リベンジャーズ』が全国公開中。また、WOWOW開局30周年プロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム」で「機械仕掛けの君」の監督を務めた。待機作として劇場版『きのう何食べた?』(11月3日公開)、「彼女が好きなものは」(2021年秋公開)がある。
ヘアメイク:佐藤友勝
スタイリング:齋藤良介
ブルーナボインのシャツ ¥30,800/(ブルーナボイン 代官山店TEL:03-5728-3766)
その他スタイリスト私物
撮影:ナカムラヨシノーブ
WOWOWオリジナルドラマ「演じ屋」
<STORY>
「演じ屋」。それは客から依頼された役になりきる、まだ誰も知らない新たな職業。
結婚式前日、トモキ(磯村勇斗)は痴漢の冤罪で仕事も婚約者も失ってしまう。1年半後、トモキを痴漢だと言い張っていた女と、目撃者の男がグルだったことを偶然知る。元婚約者に伝えに行くも、彼女は他の男性との結婚を控えており拒絶されてしまう。絶望したトモキがビルの屋上で自殺しようしていると、刃物を持った男に襲われるアイカ(奈緒)と遭遇し・・・
◆放送日:7月30日(金)スタート
毎週金曜夜11:30放送・配信
全6話/第1話無料放送
※オンデマンドでは無料トライアル実施中!
◆監督・脚本:野口照夫
◆出演:奈緒 磯村勇斗
笠原紳司 青山倫子 藏内秀樹 加藤柚凪 今井孝祐
徳永えり 伊藤萌々香 伊藤あさひ / 島崎遥香 田中俊介 白川裕二郎(純烈) /
忍成修吾 おかやまはじめ / 袴田吉彦 (話数順)
◆特設サイト:https://www.wowow.co.jp/drama/original/enjiya/
◆公式Instagramアカウント:enjiya_wowow
7月30日(金)スタート
毎週金曜夜11:30放送・配信(全6話)
[第1話無料放送]WOWOWプライム
[無料トライアル実施中]WOWOWオンデマンド
コミック版「演じ屋~逆転のシナリオお売りします~」
めちゃコミックにて独占配信中
磯村勇斗さん
直筆サイン付きチェキプレゼント!
応募はこちらから