NHK土曜ドラマ「地震のあとで」完成試写会が、同局にて行われ、主演の岡田将生をはじめ、共演の橋本愛、唐田えりかが登壇した。
今作は、1995年に発生した阪神淡路大震災の後、作家村上春樹が著した４つの短編を原作に連続ドラマ化。阪神淡路大震災の影響を、現地ではなく遠い場所で受けた人間たちの“喪失”を伴う奇妙な物語。舞台を1995年だけでなく、2025年にいたる設定に置き換え、“今”に続く“地震のあと”の30年の時間を描く。
第1話「UFOが釧路に降りる」は、阪神淡路大震災のニュース映像を見続けていた妻・未名（橋本愛）が突然家を出ていき、夫・小村（岡田将生）が奇妙な旅に導かれていく姿を追う。
映画『ドライブ・マイ・カー』以来、村上春樹原作の原作作品は２度目となる岡田は、「まだすべてを理解できてなく、自分の頭のなかでぐるぐる回っている感じ。『ドライブ・マイ・カー』のときもそうでしたが、いまだに答えが出ない。この先に何があるのか、行き着く先には何があるのかを見据えて立ち続けなければならない作業がとても大変ではありました」と難解ながらも撮影に臨んだ様子。
そして、「やはり作品というのは1人ではできないですし、皆さんと１つのものを作っていく作業が僕は凄く好き。それぞれ違う考えを提示しながら探っていく時間は好きで、村上春樹さんの原作ものは特にその時間が多い。人が見えてくるまで時間がかかるので、特に台本と向き合う時間が長かったですし、その分特別な作品になりました」と明かした。
続けて、「人生とは、人とは何かを問いかけてくれる作品。小村自身の内部にある痛みというものが、どこで出てくるのかがこのドラマの１つの見どころではあると思います。ある種新しいドラマなのではないかと」とアピールも。
ドラマを観た感想を橋本は「いち視聴者として、村上春樹さんの原作の世界観がそのまま映像になったような感動を覚えました」と目を輝かせる。
岡田と橋本は、映画『告白』以来の共演となるが、岡田が「時を経て、大人になって共演するのは嬉しいです。僕自身の変化も見せたい思いもあって、逆に緊張する」と笑顔を見せると、橋本も「（『告白』は）私の商業映画デビュー作でした。当時は中学生と先生という役がらでしたが、大人になって再会できたのは嬉しかったです」と共演を喜んだ。
被災地のテレビを観続ける橋本の演技を、岡田は「ほとんどセリフがない難しい役でしたが、彼女がテレビを見ているのか、見ている先には何があるのかを考えさせられるお芝居を見事にされていた。小村の内部に何が起きるのか楽しみにしていた」と、橋本の演技を絶賛。橋本も「１つの答えを明示するような作品ではないですし、私は（岡田と）一度も目を見てお芝居をしなかったのですが、岡田さんの佇まい、立ち振る舞いに正解がなかったこと、言語化しない世界観が声に乗っていて、それを聞いているのが心地良かったです」と感慨。
阪神淡路大震災への思いを聞かれると、橋本が「私は（震災の）1年後に生まれて、生活感覚や人生感覚そのものが揺らいだ後に形成されたものなんだなと実感しました。私たち見ているこの景色や全てが確固たるものでも、安全なものでもない。諸行無常で常に移り変わりゆくものだなということは物心ついているときから感じていましたし、地震の余波の上に人生があるんだなと改めて気づかされました･･･」と思いを馳せ、涙する場面も。
一方で、岡田演じる小村と釧路で出会う謎の女性・シマオを演じた唐田は「自分はこの人と同じようなことを１周回って経験した人物なんじゃないかと俯瞰で見れた自分がいた。そういうお芝居ができた、知れたことも凄く大きな経験でした」と充実感を滲ませる。
岡田とは初共演になるが、岡田は「2人で迷いながら撮影をしていましたね。その時間でなければ成立しない瞬間があったので、2人で共有しながらお芝居できたのは凄く嬉しかった」と回顧。
岡田との共演に、唐田は「どこかお芝居が似ているなと感じた瞬間があって。岡田さんと対峙してお芝居をしていく中で、自分がぶつけたものに対して、岡田さんがそれを超えてきたので、私ももっと超えたいと思ったことがありました。映像に映っていな時も“なんて顔をするんだろう”と思って。いろんな感情を味合わせてもらいましたし、自分の役者としての思いをグッと持ち上げてくださいました」と感謝していた。
また、会見には演出の井上剛氏、プロデ―スの山本晃久氏も登壇し、作品への思いを伝えた。
土曜ドラマ 「地震のあとで」
【放送予定】 2025年４月５日から 【総合】毎週土曜 夜10：00～10：45〈全４話〉
【原 作】 村上春樹 『神の子どもたちはみな踊る』より
【脚 本】 大江崇允
【音 楽】 大友良英
【出 演】 岡田将生 鳴海唯 渡辺大知 佐藤浩市 ／
橋本愛 唐田えりか 北香那 吹越満 泉澤祐希 黒崎煌代 渋川清彦 黒川想矢 木竜麻生 津田寛治ほか
【制作統括】 山本晃久 樋口俊一 京田光広
【プロデューサー】訓覇圭 中川聡子
【演 出】 井上剛
