Netflixシリーズ「THE DAYS」のワールドプレミアが、5月30日、東京・新宿ピカデリーにて行われ、主演の役所広司をはじめ、共演の竹野内豊、小日向文世、小林薫、遠藤憲一、石田ゆり子と、増本淳プロデューサー、西浦正記監督、中田秀夫監督が登壇した。
本作は、2011年3月に起きた福島第一原子力発電所の事故を入念なリサーチに基づき、政府、会社組織、そして原発所内で事故に対峙する者たち、それぞれ3つの視点から描いた実話に基づく物語。事故を克明にとらえた極限のサスペンスと圧巻の臨場感でリアルに描いた全8話のドラマとなっている。福島第一原発所長役を役所広司が演じ、1,2号機当直長役を竹野内豊、内閣総理大臣役を小日向文世のほか、豪華実力派俳優が顔を揃えた。
先日『PERFECT DAYS(原題)において、カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した役所が登壇すると、皆からお祝い言葉が送られる。役所は「昨日帰ってきました。皆さんの応援がカンヌに届いていました。ありがとうございます」と挨拶。「『THE DAYS』と『PERFECT DAYS』とちょっと名前が似ていますが(笑)、この作品はみんなで本当に力を合わせて志を持って作った作品です」と胸を張る。
世界の190の国と地域で配信される本作について、「まず、この話をプロデューサーからいただいたとき、実際に起きたこの事故で亡くなった人やその遺族の方、故郷をなくした方々がいる中で、これをどうやってドラマにしていくんだろうという思いがあったけれど、とにかく、あの日あそこの中でなにが起きていたのかを伝えるべきじゃないかと。プロデューサーが『これから廃炉に向けて、長い年月かけて何かを伝えることはまだたくさんあるはず。そういうものを自分のライフワークとしてやり続けていきたい』という思いを聞いて、自分も参加したいと決断しました」と、出演に至るまでの経緯と決意を語る。
さらに、「僕も事故のときの恐怖心がだんだん薄れていくんですが、ここでもう一度世界中のエネルギーについて一人ひとりが考えていかないといけないし、国民一人ひとりがそれを判断しないといけないと思います」と持論を展開。「この配信ドラマをきっかけに、もう一度あそこに立ち返って考えていただきたいと思います」と力を込めた。
竹野内は「事故から12年経ちましたが、忘れてはならないこと。この映像の中からいろんなことを感じて、考えるきっかけになったらいいなと思います」とし、「役所さんと直接のシーンは1シーンくらいだったんですが、オンラインの受話器越しから聞こえてくる役所さんの声だけで、引っ張られて。本当に助けていただきました」と、役所の存在に感謝。
小日向は、「役所さんがカンヌで賞を取ってくださったことで、また多くの方が(本作にも)興味を持って観ていただけるんだなと思います」と役所を称える。そして、「この事故の時は、ちょうど石田ゆり子さんと夫婦役で一緒に舞台に立っていて、事故を舞台袖のモニターTVで見ていたんですが、ちょっと絵空事のように感じていたんです」と振り返りながら、「台本をいただいて、いかに現場が凄まじい状況になっていたか、そして政府のほうでも、当時の総理が官邸で右往左往している・・・そういう総理が実際はどうだったのか、とても興味深かった。自分が総理としてどんな風になるのかも含めて演じてみたいと思いました」と出演の決め手を吐露。
また、1,2号機のベテラン運転員を演じた小林は、「夏の暑い時期でも防護服を着ていて。誰が演じているのか分かっているのかと思いましたね」と苦労を語りつつ、「事故が起きる前、起きてからしばらくの間いろんなことを言う人がいましたが、実際に従業員の方が献身的に、本当に家族のため、身近な人のために臨んで、自分の仕事の誇りのために、こんなになれるんだと思いましたね。そういう人たちのおかげで、もっと酷いことにならなかったということを改めて思いました」と、実際に作業をしてくださった方々に敬意の気持ちを表した。
一方で、「石田ゆり子さんと夫婦役をやりました」と笑顔を見せた遠藤。それでも「これは実際のできごと。行方不明になる息子の父親を演じましたが、被害者として表に出てくる 人数、それ以上に家族の心の痛みがあるんだなとあらためて感じさせてもらいました」と感慨。とても張り詰めた現場だったそうだが、「俺は、カットとカットの間はゆり子さんを見ていれば幸福な気分でした」と言って笑いを誘っていた。
その言葉に照れながらも、石田は「セリフが少ない役がらでしたが、心の中に言葉が詰まっていて、密度の濃い、祈りのような気持ちは皆さん同じだったと思います。とても濃い、重たい時間を過ごしていました」と述懐した。
『THE DAYS』
出演:役所広司、竹野内 豊、小日向文世、小林 薫、音尾琢真、光石研、遠藤憲一、石田ゆり子
企画・脚本・プロデュース:増本 淳/監督:西浦正記 中田秀夫
原案:門田隆将「死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)
製作:ワーナー・ブラザース映画/制作:リオネス
Netflix 作品ページ:https://www.netflix.com/title/81233755
(公式サイト:https://warnerbros.co.jp/tv/thedays/ )