8月29日から開幕した「a-nation stadium fes. powered by inゼリー」(東京・味の素スタジアム)が、8月31日、浜崎あゆみが今年で11度目の大トリを務め、幕を閉じた。8月30日にはヘッドライナーの東方神起も登場。各日、ジャンルを超えた豪華なアーティストの共演が実現し、総勢23万人のオーディエンスが熱狂した。
トップバッターはMay J.。「今日1日、楽しんでください!」という声とともにまずはヒット曲「Garden」を気持ち良さそうに歌い上げ、「本当の恋を大切にしたいという、強い気持ちで歌っています」というニューシングル「本当の恋」は、ピアノと歌というシンプルなアレンジで、オーディエンスの心に強く刻まれたはず。ラストはもちろん、「Let It Go」[劇中歌/英語歌](映画『アナと雪の女王』主題歌)。2014年を代表する楽曲ともに、イベントの幕開けを華やかに彩った。
続いてはYUKA(Vo)とKOUSUKE MASAKI(G)によるユニット、moumoon。 「気持ちいいですねー! 夏の素敵な思い出が、このa-nationと一緒にずっと残り続けますように」(YUKA)というMCのあとは“明るい気持ちは奇跡を起こすでしょう”というメッセージを持つ「Jewel」、柾のエッジの効いたギターとYUKAのエモーショナルなボーカルがひとつになった「LOVE before we DIE」。質の高いサウンドと表情豊かなボーカルを兼ね備えたmoumoonの魅力をアピールた後は、、清水翔太のステージへ。サングラスとキャップで決めた翔太が「YOU&I」を歌い始めた瞬間、会場の空気が変わった。「僕にとっては最後の夏フェス。夏を締めくくる日をみんなと過ごせて、嬉しく思っています」と挨拶した後、レゲエ・テイストにアレンジされた「アイシテル」、デビュー曲「HOME」、そして、サングラスを外し、観客を見つめながら歌った「君が好き」を披露し、天性のボーカル力を存分に発揮した。
浴衣をアレンジした衣装と笑顔いっぱいのパフォーマンスで観客を盛り上げたSUPER☆GiRLSのステージを挟み、ソナーポケットが登場。ソナポケの代名詞とも言えるラブソング「好きだよ。~100回の後悔~」の後は、「ファンファーレ!」「ソナポケ☆DISCO」などのアッパーチューンを次々と演奏し、会場の熱気をさらに上げてみせる。「またお会いする機会があれば、笑顔で再会できるように、この曲を届けます」(ko-dai)という言葉とともに披露された「最終電車 ~missing you~」の感情豊かなボーカルも心に残った。
すっかり日が沈み、風が涼しく感じられる時間帯に登場したのは、日本を代表するヒップホップ・アーティスト、KREVA。ソロ活動10周年を迎えたことを告げ、「まだまだ満足してません。興味ない人、知らない人にもっと伝えたい」とアピールした後、「イッサイガッサイ」へ。“今年の夏が終わって/何が残って何を忘れる”というフレーズは、“夏の終わりのフェス”というシチュエーションにぴったり重なっていた。さらに「Na Na Na」では観客の大合唱を引き出し、イベント全体の一体感を演出。自らのスタイルを貫きながら、すべてのオーディエンスを楽しませる、圧巻のステージだった。
Every Little Thingは伊藤一朗のギター・インスト・ナンバーからスタート。会場の高揚感がアップしたところで持田香織がステージに現れ、ロックテイストの「ファンダメンタル・ラブ」、ラテン・テイストのアレンジを施した「出逢った頃のように」を放つ。イントロが始まった瞬間に大きな歓声が起こった「Time goes by」における、ひとつひとつの歌詞を手渡すようなボーカルも素晴らしい。そして最後は「アホになる気はあるのか!?」というキメ台詞とともに披露された「Dear My Friend」。ノスタルジックなバラードから極上のポップナンバーまで、ELTの奥深い魅力を再認識できるアクトだった。
19時50分。スタジアム全体が真っ赤に染まる中、ついに東方神起のライヴが始まる。洗練されたダンス・パフォーマンスの「SURI SURI [Spellbound]」、攻撃的なビートと強烈なシャウトが響き渡った「SCREAM」でオーディエンスの興奮は一気に頂点へ。「1年ぶりのこのスタジアム、相変わらず熱いですね!」(チャンミン)、「昨日までの雨も上がって、ホントに気持ちいいです。みなさん、一緒に盛り上がりましょう」(ユンホ)と語りかけ美しくも切ないバラードナンバー「I love you」のコーラスワークへと続く。EDM、ロックからバラードまで幅広いテイストの楽曲を自在に表現できる、彼らの音楽性の高さを見せつけられた。 中盤のMCでは、チャンミンから耳打ちされたユンホが「来年、全国5大ドームツアーが決まりました!」といきなり発表。「新しい目標が出来たので、さらにがんばっていきます」と力強く宣言し、大きな拍手と歓声が巻き起こった。 「東方神起はみんなが大好きです!」(ユンホ)、「これからもがんばって歌い続けます!」(チャンミン)という言葉とともに白熱のステージを締めくくった。
ラストを飾る8月31日公演は夏らしい青空に包まれる中、幕を開けた。トップバッターはデビュー9年目にして10回目の出場となるAAAだ。「メンバーの動きひとつひとつに大きなレスポンスを返すオーディエンスたちの姿に宇野実彩子は「嬉しい! みんなを見てるとこっちも盛り上がってくる!」と笑顔で声を上げていた。いち早く披露されたリリース前の最新シングル「さよならの前に」でしっかり歌を聴かせた後は再びアッパーなナンバーを連発。a-nation常連としての貫録を見せつけた圧巻のステージは、フェスの勢いを一気に加速させた。
「□[sayonara_2012]」を口ずさみながらゆったりとステージ上に姿を現したのは、2番手となるm-flo。畳み掛けるアップリフティングなダンスナンバーの数々によって、会場はクラブさながらに大きく揺れる。3曲目「FIND A WAY」では新人女性シンガー・MACOをフィーチャー。聴き手の心をつかんで離さない澄んだ歌声に合わせ、オーディエンスは手を左右に振ってハッピーな景色を創り上げる。DJの☆Taku Takahashiがボーカルを披露する「gET oN!」ではセクシーな衣装の女性ダンサーが多数登場し、ステージに華を添える。「let go」「Show You More」ではMatt Cab登場し、美しい歌声を響かせる。楽曲ごとにボーカルや見せ方を変化させ、様々な世界を作り上げていくのはまさにm-floならではのライヴスタイルであり、それはフェスという場でも大きな威力を発揮することをあらためて実感した次第。 それに続いてステージにあらわれたのは韓国発の7人組・INFINITEだ。日本デビューから約3年というキャリアながらも、その人気は絶大。白い衣装に身を包み、一糸乱れぬダンスを披露する様には割れんばかりの歓声が途切れることなく上がり続けていた。a-nation初出場となるだけに「すごく緊張しています」とリーダーのソンギュは語ったが、そのパフォーマンスは堂々としたもので、グループとしての実力を如何なく発揮していく。
その後に登場したのは、SUPER JUNIOR DONGHAE & EUNHYUKの2人。テーマカラーであるブルーのペンライトの光で会場が染まる中、1曲目「I WANNA DANCE」からテンション高くステージは進行していく。「みなさんの心が熱すぎて、僕たちの心も熱いですね」とドンへが語ったが、まさに会場の空気は目に見えるほど熱く高まっていた。リリースされたばかりの新曲「SKELETON」では、ホラーテイストをコミカルに味付けした独自の世界観を見せた。ラストの「Oppa, Oppa」では楽しいコール&レスポンスも実現した。すべての曲が終わり、ステージを後にするドンへが「叫んでくれ~!」ともう一度客席に投げかけると大合唱。その光景を見て「ナイス!」と発した2人は笑顔でステージを去って行った。
DJ KOOの「待たせたなー!」の一言にスタジアムが大きな歓声に包まれる。a-nationには欠かすことのできない存在、デビュー21年目に突入したTRFがついに登場だ。1曲目の「PUSH YOUR BACK」から、SAM、ETSU、CHIHARUの圧倒的なダンスパフォーマンスと、YU-KIの伸びやかなボーカルが炸裂する。「BOY MEETS GIRL」やメドレーで披露された「CRAZY GONNA CRAZY」「EZ DO DANCE」といった名曲群は時間を経ても色あせることはなく、むしろ常に進化した輝きを持って放たれる。各曲で巻き起こる5万5000人による大合唱は、まさに音楽の力をまざまざと実感させられる瞬間だ。ラストはイントロが鳴っただけで怒号とも言える歓声が上がり、花火の特効がそのテンションをさらに後押しした「survival dAnce ~no no cry more~」。メンバーたちの熱いパフォーマンスに負けじと叫ばれる“yeh yeh”“wow wow”の声がスタジアムから見える夜空に向かって高らかに鳴り響く感動的な光景を描き出していた。
2014年、国内でのa-nation“stadium fes.”の大トリを飾ったのは浜崎あゆみ。妖艶な黒のボディスーツ姿の浜崎が登場、ポールを使ったダンスを見せながら「STEP you」「XOXO」の2曲を披露していく。白いロングドレスに着替えた後は一転、「BLUE BIRD」といった爽やかなナンバーで心地よい歌声を響かせた。さらに衣装チェンジをすると、今度は浴衣姿でフロートに乗り込み、アリーナを周回しながらキラーチューンを連発。再びステージに戻った後は、「Lelio」「You & Me」、そしてラストの「July 1st」ではこの日一番の大合唱を携えたハッピーな光景を作り出して11年連続で大トリを飾った浜崎あゆみがエンディングを見事に演出した。
今年のa-nationは“stadium fes.”3日間で23万人を動員。さらに渋谷を舞台に7日間繰り広げられた“a-nation island”を合わせるとトータルで約60万人の来場者数を記録し、熱狂の中、幕を閉じた。
■オフィシャルサイト http://a-nation.net/index.html