歌舞伎俳優の市川海老蔵が5月28日、東京都内で第二回自主公演『ABKAI 2014』の制作発表会見に登壇。脚本家の長田育恵も同席し、公演に向けて意気込みを語った。
昨年、「現代の人たちが忘れてしまっている日本の昔話や神話をわかりやすく伝え、もっと気楽に歌舞伎に触れてほしい」という海老蔵の思いから、自ら企画・制作し第一回自主公演『ABKAI』を実現。歌舞伎十八番の内『蛇柳』の舞踊劇と、気鋭クリエーターによって“花咲爺さん”を歌舞伎化。全23回公演のチケットは完売し、1万7千人を魅了し、新歌舞伎旋風を巻き起こした。
二回目となる今年は、人気演目「義経千本桜」の中から「河連法眼館の段」と、古事記をもとに構想した、新作舞踊劇「SOU~創~」を上演する。
『SOU~創~』は、海老蔵の夢に出てきたという。「これは歌舞伎だったらできるかもしれない! と思い、一歩を踏み出しました」と明かし、「6~7年くらい前から考えていたのですが、もう10回以上台本を直し、歌舞伎化してもまだ直して・・・七転八倒していますよ」と笑った。「構想を6分割していて、今回はその第一章を行う予定。最後まで『ABKAI』でやっていきたいですね」と目標をかかげた。
本作の脚本を手がける長田は、「とても刺激的な作業」と興奮を隠せない様子。「スサノオは古事記の中で一番の変貌を遂げ、成長する神と言われています。そのスサノオ像と海老蔵さんの豊かな想像力をプラスし、“歌舞伎”として表現していきたいです。物語性のある作品として、海老蔵さんの魅力をたっぷりお見せできると思います。楽しみにしていてください」と意欲満々。
そんな長田にラブコールを送った海老蔵は、「長田さんの執筆には、“愛”や“平和”を感じるんです。荒事色が強い物語に、真逆なものを持っているのが魅力。何回かアプローチして、やっとOKをもらえたんですよ」と絶賛。「それと、僕と同い年で、名前と生年月日を占ったらBESTだったんです(笑)」と良好な仲を嬉しそうに話す。
もう一つの演目「河連法眼館の段」については、「海老蔵流の『四の切』を作っていきたいと思っています。古いものを掘り起こして新しいものにしていきたい。宙乗りなど、派手な演出もありますよ」と期待をあおった。
さらに、「歌舞伎界になくてはならない先輩方が旅立たれた後、自分たちが歌舞伎という古典芸能をしっかりと背負っていかなければいけないと思います」とキッパリ。歌舞伎に対する熱い思いを真摯に語った。
また、アメーバブログの驚異的な更新数で注目されている海老蔵だが、「ブログは電波の届くところであればいつでも更新しますよ」とニッコリ。「直接いろいろな意見を耳にすることができるのが嬉しいですね。これがきっかけで『ABMORI(エビモリ)』(植林活動を行うプロジェクト)を始めることができましたし、歌舞伎もたくさんの方に興味をもってもらえました」とコメント。
ドラマ出演やCMなど、歌舞伎以外の活動も活発にこなしているが、やはり「歌舞伎が一番!」と声高らかに話す市川海老蔵。新しいことに挑戦し続ける彼の舞台に大いに期待がかかる。
市川海老蔵 第二回自主公演『ABKAI 2014』東京公演
1.新作舞踊劇「SOU~創~」
原案:三輪野十郎左衛門
作:長田育恵
演出:藤間勘十郎
演出補:畑ンネ
作曲:上妻宏光 杵屋勝松
2.『義経千本桜』「河連法眼館の段」
市川海老蔵 宙乗り相勤め申し候
8月5日(火)~8月10日(日)まで新橋演舞場にて上演!