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『兵士の物語』アダム・クーパー&ラウラ・モレーラ インタビュー 12年を経て生み出されたケミストリーが創り上げる世界

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英国の最高峰、ロイヤルオペラハウス2004年に初演された幻の舞台『兵士の物語』

昨年『雨に唄えば』でダンス、歌、芝居と圧倒的舞台を魅せ、日本の観客を虜にしたアダム・クーパーが2015年、再びこの幻と言われた世紀の舞台に立つ。
ロイヤル・バレエのプリンシパル、ラウラ・モレーラとファースト・ソリストのアレックス・キャンベル、マシュー・ボーン作品に欠かせないサム・アーチャーという日本公演のためだけに集められたスーパースターによる新たなキャストで作曲家イゴール・ストラヴィンスキー作品をロンドンの売れっ子演出家ウィル・タケットが奇抜でユニークな世界を表現する。

今回、7月24日の初日を前にアダム・クーパーとラウラ・モレーラがリハーサルの忙しい合間を縫って、インタビューに答えてくれた。

――様々なスタイルで発表されてきた『兵士の物語』ですが、今回共演し、それぞれお互いの作品に対するアプローチをみてどのように感じましたか?

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アダム・クーパー:ラウラとはかなり長くやってきている。ラウラがはじめてロイヤル(英国ロイヤル・バレエ団)にやって来た時、まだとても若く、パワフルでエネルギーに満ちていた。最初はいろいろと違う面もあったが、この12年間一緒に仕事をしてきて、息の合った良い関係になった。
今回の『兵士の物語』で私の役柄は感情的で激しいキャラクターだが、それに対するフィアンセ役のラウラとは相性もよく、新たな化学反応が起き、それによって新しい関係ができつつあると思う。

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ラウラ・モレーラ:アダムが話したように、私が入団した頃は若かったので、いろいろな公演に参加させてもらうことはすべてが大きなチャレンジだった。最初の頃は周りとうまくやっていくことが難しかったが、いろいろなアーティストたちと人間関係を築いていったことでうまく演技ができるようになっていったのだと思う。そして、今では心地のよいコラボレーションができるようになった。
今回は、はじめて舞台で台詞があり、難しいですが、踊りだけでなく、芝居、歌と舞台俳優として活躍するアダムから沢山のことを学びました。

――アダム・クーパーさんの日本での舞台の活躍はもちろんのこと、ラウラ・モレーラさんも公演や特別レッスン、講演と様々な活躍をされていますが、作品を演ずるにあたり、日本、英国とパフォーマンスに違いはありますか?

ラウラ・モレーラ:まず、日本には何度も来ているので海外に来たというより、自分の故郷に帰ってきたような気持ちです。演ずる度に日本の観客の皆さんの温かい気持ちを感じますし、日本の観客は演劇・ダンス・文化まで知識も豊富なので、私たちが観てもらいたい文化をうまく受け取り、反応してくれるので、日本で公演できるのは本当に嬉しい。

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アダム・クーパー:同じだよ(笑)
イギリスと日本の観客には大いに違いがある。日本の皆さんは歓迎し、私たちのパフォーマンスを心から受け入れてくれる。英国ではバレエはそれほど感じませんが、演劇の世界ではそうではありません。ですから、日本では寛容な心でみてくれるのでありがたいです。

――6年ぶりの再演となる『兵士の物語』ですが、演出家のウィル・タケットは6年前より非常にタフな舞台になっていると話しています。この6年の間に沢山の経験をされているアダム・クーパーさんにとって、新たな発見はありましたか?

この6年間、ウィルと振り付けなどのクリエイティブな面で一緒に仕事をしてきたことで、知識も増し、台詞にも踊りにも深みが増したように思う。自分でも6年前よりもアーティストになれたという気持ちが強くある。その中でも一つ一つの発見がとてもワクワクとエキサイティングだった。今回で3回目となる『兵士の物語』だが、まったく新しい気持ちでやっていきたいと思っている。

――アダム・クーパーさん以外は新しいキャストですが、今までとの違いはありますか?

アダム・クーパー:はい、演出のウィル・タケットはキャストの使い方も従来とは変えているし、同じストーリー、同じクオリティでありながら沢山のエネルギーを盛り込んでいます。今回、ハイピッチで進む舞台により中身が凝縮され、出演者同士の人間関係もより濃密になっているし、めまぐるしく変わる衣裳や、激しい場面展開と演じるのは、しんどいし難しく、緊張もしますが、とてもエキサイティングな舞台になっています。

ラウラ・モレーラ:今までは踊ることで感情表現をしてきたので、台詞を言う恐怖もありましたが、実際にやってみると感情表現の幅を持たせることができることを知りました。私は英語が母国語ではなく、アクセントを危惧していたのですが、そのことを含めてみても、今回のように新しい挑戦をしていきたい思いはもちろんあります。

――今回の舞台から観客に伝えたいことは?

アダム・クーパー:この物語は1918年に発表されたかなり古いものですが、“誘惑”というどの時代の人間にも起こりうるテーマであり、自分にとっても身近な問題です。これは“警告”でもあり、現代でも十分に通じるものです。
ラウラ・モレーラ:私はフィアンセ、プリンセスの2役を演じますが“愛とは”また“愛を通じて何が変わっていくのか”を伝えられたらいいと思う。舞台の終盤にはそういうことが強く表現されていますので、楽しみにしてほしいです。

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最後にお二人は「新しいキャストで魅せる、今までに観たことのないユニークな『兵士の物語』を第二の故郷であるここ日本でご紹介できることを楽しみにしています。今までに観たことがある方も、はじめて観る方にも是非観ていただきたいです」と締めくくった。

 「兵士の物語」

あらすじ

ひとりの兵士が休暇に歩いて故郷を目指す。
兵士は肩に背負った袋からヴァイオリンを取り出して弾き始める。傍らには婚約者の写真。
悪魔が老人に化けて突然現れると字が読めないという兵士を丸め込んで、「金のなる」本とヴァイオリンを交換させる。悪魔の家の豪奢な生活に惹かれ、兵士は悪魔の馬車に飛び乗る。

魔法の本と引換えに悪魔に魂を売り渡してしまう兵士の運命は…

『兵士の物語』

http://www.parco-play.com/web/play/soldier/
音楽:イゴール・ストラヴィンスキー
演出・振付:ウィル・タケット
出演:アダム・クーパー ラウラ・モレーラ サム・アーチャー アレクサンダー・キャンベル
公演期間:2015年7月24日(金)~8月2日(日)英語上演/日本語字幕付き
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
チケット料金(全席指定税込):S席12,000円 U-25チケット6,000円
お問い合わせ:パルコ 03-3477-5858
http://www.parco-play.com/