飛鳥時代に巻き起こった国を二分する戦争の中で、人々は何を愛し、憎んだのか・・・、日本の姿とそのルーツを描く、舞台「暁の帝 壬申の乱編」。 CoRich 舞台芸術まつり!2016 春の準グランプリ受賞の脚本・演出家、伊藤靖朗が、日本史上最大のタブーとも言える壬申の乱をモチーフにし、日本の古代を新鮮な感覚で描く、古典エンタテイメントを創出。
主演の大海人皇子を演じるのは、舞台のみならず、ドラマ・映画など活躍の幅を広げている小澤雄太(劇団EXILE)。日本の歴史が始まるという、これまでにない難しい役どころに挑戦する彼に話を聞いた。
― 今回は、古代の歴史という壮大な設定の舞台です。この出演オファーを受けた時のお気持ちはいかがでしたか?
正直悩みました。自分が知らないことだらけで、作品と向き合えるのか不安でした。自分ができるのだろうかと考えてしまい、最初は「少し考えさせてください」とお返事したんです。でも、考えているうちに「なんで、せっかく舞台ができるというお話をいただいているのに『考えさせてください』なんて言っているんだろう、昔はなんでも当たって砕けろ!だったのに・・・」と思うようになってきて。改めて自分と向き合い「ダメだ、そんなことじゃ。やるしかない、やってみよう」と、初心に返ることができたんです。
なので、今回は、倭国が日本になったように、新しく自分たちが0(ゼロ)から1を作ることによって、皆さんに何かを伝えることができればいいなと思い、出演をお受けしました。
― 最近は舞台だけでなく、ドラマや映画などでも活躍の幅を広げていらっしゃいますが、特に「ウルトラマンジード」伊賀栗レイトのコミカルな役とは真反対と言っていいような役です。
そうなんです、まったく違うんです。役の振り幅が大きすぎてビックリです。「HiGH&LOW」ではアウトローな役で、「ウルトラマン」では一家のお父さんで地球を守っていて、今度は日本を作らなきゃならないし(笑)。挑戦するという意味ではプレッシャーも大きかったですが、その分ちゃんとやってやろうという気持ちが強くなりました。
― 役作りも大変なのでは?
まずは歴史の勉強から始めました。中学の日本史の授業以来かも。「壬申の乱」という言葉を知っていても、その内容を詳しく答えられる方は少ないのかと。歴史が好きな人なら600年くらいの話でしょ?とわかると思いますが、その真相を解いている人はまだ少ないと思うんです。イメージが少ない分、観客の皆さんにも伝わりやすいかと思います。
― 歴史書を読み解いても、「壬申の乱」の発端については諸説ありますが、今作では女性が出てくることにより、よりリアル感がありますね。
そうなんです、リアルで気持ち良くないんです。だからこそ、とても日本人らしい。そして織田信長、徳川家康の時代の派手な戦争でもない。男女が絡む抗争で日本の歴史が出来上がってきた、その心情を観ていただけると共感してもらえると思います。昔は女性が帝になっていた時代もあって、女性が世の中の政(まつりごと)を決めなくてはならなかったこともあり、それを表現することは難しくて現在から比べると間違っていたこともたくさんあったかもしれない。だけど、それがあったからこそ今の時代がある。きっと観ている方も今の自分に振り返ることができる瞬間があると思うんです。便利になり物が溢れている時代の今だからこそ、自分の意思で行動することによって、世の中や自分の周りが変わっていく状況を作ることができる。その背中を押す第一歩にこの作品がなればいいなと思います。
― あと、男性同士の心の葛藤も見どころです。そして相対関係も複雑で気持ちを作るのが難しそうですが。
簡単ではないですが、そういうものなんだと考えると楽になりました。その時代は一夫多妻制ですし、一人の女性を愛さないといけないという法律もない。それを自分が役として受け入れたからこそ演じることができる。今の自分では受け入れられない気持ちもあるので、その葛藤はありました。ただ、現代でも両親がいて子供がいて・・・というような基本的な家庭の図で育ってきた人ばかりではなく、人それぞれの人生があるわけだから、そのことをわかると改めて人に優しくなれたり、明日から頑張ろう、自分が思っていることが全てではないと考えることができる。だからこそ自分が強くいなければいけないと思ってもらえるといいですね。
― 2019年には新天皇が即位され、世界情勢も色々動いています。この時にこの舞台が上演されることについてどのように考えますか?
正直、今、世界がぶれているところがあると思います。人間はいいものをたくさん作ってきましたが、その物に人間が怯えている感じがする。みんなが迷っている時代なのかも。そういう意味でも、この作品はわかりやすく観てもらえると思います。
― 小澤さんが演じる大海人皇子と女性との関係も気になるところです。
そうですね、僕も気になってます(笑)。観てくださる方がどのように受け取ってくださるかはとても気になりますが、どんな評価であっても、それに怖気づいていては役者はやっていけないですから。芸事が上手い人が人を寄せ集めるというようなエンターテイメントの原型が昔からあった文化を、僕たちがやり続けてこれていることを誇りに思っていますし、どんな役でもやり遂げるという意思は固まっています。
― もし、小澤さんと妻として迎えるならどんな女性がいいですか?
何も言わずにそっと寄り添ってくれる女性がいいです。でも、決してずっと黙っているということではなくて、ちゃんと平等に話ができて、たまにはケンカもできる関係。僕の人間性を見てくれる人がいいですね。一生付き合っていくわけだから、お互いを尊重しあう、僕のダメなところも認めてくれて、こんないいところがあるから許してあげようという包容力が欲しいです(笑)。
― 大海人皇子はリーダーシップもありとても人気がある人物ですが、この役にどのように向き合っていきますか?
そのままで。今回座長を務めるので、自分の役というよりもこの座組として勝ちに行きたいです。キャスト各々が全員この舞台をちゃんとやりきると思えるような座組にしていきたいと考えていますが、大海人皇子にも同じような思いがあったと思うし、自分が世の中のためにやらなくてはならないということが、僕らが舞台のためにやらなくてはいけないということと通じる。僕はキャスト、スタッフ、この作品に関わる人々を大事にして下から押していくだけです。役というよりも、舞台そのものが主人公・大海人皇子に乗っかっていく、見方によって主人公は変わっていいと思います。男性と女性では感じるものが違うかもしれないし、どこから観てもおもしろいお芝居にしていきたいですね。
― ところで、3年前に小澤さんに「どんな俳優になっていきたいですか?」とお聞きしましたが、覚えてらっしゃいますか?
え?僕、なんて言ってました?
― カメレオン俳優になりたい!と仰っていました。
お~!赤と言われれば赤に変わるし、色が父ならお父さんになるし(笑)。もちろん、これからも「色」のある俳優になりたいと思っています。なおかつ、今はただ演じるだけではなく、一つ一つの役に自分の感じたものをちゃんとメッセージとして伝えられる、芯のある俳優になりたいです。日々精進です。
― 劇団EXILEの皆さんの活躍も素晴らしいですね。
いや~、僕がもう32(歳)ですよ。歳を感じちゃいますよ(笑)。若手が凄く頑張っていて。劇団全体がどんどん進化しているなと思います。一人一人の活躍も際立ってきて、ちゃんとメディアに対するイメージもついてきているので、「劇団EXILE」というものがよりクリアに分かりやすくなってきているんじゃないでしょうか。最近はみんな忙しくて一緒に舞台に立つことが少なくなってきましたね。
― 益々のご活躍を期待しています。
はい、頑張ります。
― では、最後に本作の見どころと、これからご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。
難しいなと思う部分もあると思いますが、まっさらな気持ちで劇場に来ていただいて、観てくださるお客様が「楽しい舞台だったな、明日も頑張ろう!」と思ってもらえるような舞台にしていきたいと思っています。日本の原点というものをしっかり組み込んで、倭国が日本になった瞬間を描くので、人間が人間であるためにやってきたこと、その意思をくみ取って「よし、自分もやってみよう」という熱い思いが胸に刺さるような作品です。ぜひ観に来てください。
衣装協力/CALEE INC.
ヘアメイク/遠藤一明(ひつじ)
ヘアメイク/菊地弥生(ひつじ)
<撮影:中村好伸>
【小澤雄太(おざわゆうた)プロフィール】
1985年10月8日生まれ。東京都出身。劇団EXILEメンバー。
主な出演作は、『ウルトラマンジード』伊賀栗レイト役、『HiGH&LOW』シリーズ 加藤鷲役、日清食品「カップヌードル」CMなど。
また、8/5(日)~8/19(日)までTBS赤坂ACTシアターにて舞台『八王子ゾンビーズ』の出演が決定している。
<公演概要>
シアターグリーン 50 周年記念公演
「暁の帝~壬申の乱編~」
◆作品ストーリー
男たちの熱き想い、そして交錯する女たちの願い。
時を超え、いま語られる古代エンターテインメント!
飛鳥時代、この国がまだ日本ではなく倭国と呼ばれていた頃。 朝鮮半島での戦争に加担し大敗を期した白村江の戦いの後、国は大きく揺れていた。 中央集権型の国づくりを進める天智天皇と、自分たちの支配力を奪われると抵抗する豪族たち。日本の政治体制が大きく変わろうとしていたその時に、一人の男が立ち上がる。その名は大海人皇子。天智天皇の弟として献身的に補佐していた彼だが、後に、天智を裏切り王位をめぐる壬申の乱を引き起こすことに。一体彼に何があったのか!?日本史上、最大のクーデターであるこの戦いに秘められた大海人王子の思い、そしてそこに関わる人たちの熱き物語!
会場:池袋シアターグリーンBIG TREE THEATER
(東京都豊島区南池袋 2-20-4)
公演日程:2018 年 6 月 27 日(水)~7 月 1 日(日) 全 8 ステージ
◆タイムテーブル
6 月 27 日(水) 19:00~
6 月 28 日(木) 19:00~
6 月 29 日(金) 14:00~/19:00~
6 月 30 日(土) 13:00~/18:00~
7 月 1 日(日) 12:00~/17:00~
※開場は開演の 30 分前を予定しております。
※未就学児童のご入場はお断りしております。
◆出演
小澤雄太 森田桐矢 佐藤美希 青山倫子 八神蓮 ほか
◆スタッフ
脚本・演出:伊藤靖朗(舞台芸術集団 地下空港)
音楽:福廣秀一朗
プロデューサー:たちばなやすひと / 藤原マリエ
アソシエイトプロデューサー:仲村和生
企画:『P』 / Nemeton / マリエエンタープライズ
主催:「暁の帝」製作委員会
協力:LDH JAPAN ボックスコーポレーション ルビーパレード ホリプロ
BLUE LABEL レプロエンタテインメント MMJ DesignStudioYANG
◆チケットの種類と料金
S 席:7000円 舞台中央ブロック(A〜E列の5-14) A 席:6000 円 その他前方席(A〜F 列の 1〜4、15-17 F〜G 列の 5-14)
B 席:5500 円 後方ブロック(H〜L)
<シアターグリーン BIG TREE THEATER 座席表>
https://goo.gl/JmASqw
◆チケット販売
CoRich 舞台芸術! チケット販売ページ
https://ticket.corich.jp/apply/90564/
◆公演オフィシャルページ
http://produce-party.com/akatsuki
◆公演・チケットに関するお問い合せ
マリエ・エンタープライズ(平日:11 時~19 時) 電話:03-6804-5046
Email:2018akatsuki@gmail.com
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