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より深く、より切なく・・・ミュージカル『アルジャーノンに花束を』観劇レポート

ミュージカル『アルジャーノンに花束を』が、3月2日より天王洲 銀河劇場にて上演中だ。
原作はダニエル・キースの世界的ベストセラーSF小説。これまでに幾度も映画化、ドラマ化、舞台化されてきた名作だ。
ミュージカルとなった『アルジャーノンに花束を』は、これまで2度、浦井健治主演で上演され、大きな感動を呼び、彼をスターダムに押上げるきっかけとなった。その名作が、新たに矢田悠祐を主演に迎えての再演となった。

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主演をつとめる矢田悠祐は、美しい歌声とキュートな外見に加え、身体能力の高さもミュージカル『テニスの王子様』やSHOW HOUSE『GEM CLUB』等で実証済み。これまでに多くの舞台に出演し、経験と実績を積み上げてきた。昨夏にはミュージカル『王家の紋章』で帝国劇場という大舞台も経験。「良いものにする」という強い覚悟で本作にのぞんでいる。

矢田悠祐のインタビューはこちらから!!

とはいえ、本作が初主演。しかも主人公のチャーリィは、人の一生を描きぬくような…いや、1人で何役も演じるような至難の役柄。しかもほとんど舞台に出ずっぱり、歌いっぱなし。彼がどう演じ観客を物語に引き込むのか? 興味をもって向かった劇場は、終演後、涙をぬぐう観客でいっぱいとなっていた。

観劇したのは、3月6日(月)公演。

32才だが知的障害があり6才程度の知能しか持たないチャーリィ・ゴードンは、疑うことを知らない優しい性格。彼は、パン屋で真面目に働き、「かしこくなりたい」と願っていた。

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学習クラスの教師、アリスと出会い信頼関係をきずき、最新の脳手術を紹介される。この手術を受けたハツカネズミのアルジャーノンが、チャーリィより早く迷路を解くことを知り、チャーリィは手術を受ける。

ここまで、非常にアップテンポで話が進むが、それにまったく無理がない。矢田演じるチャーリィは、最初は声のみで引きつけ、姿を見せた瞬間、謎が解けたようにスルリと観客の心に滑り込む。そのピュアな姿に、もう彼以外のチャーリィは思いつかない。そんな気持ちにさせてくれる。

チャーリィが手術を受けた後は、彼の変化を姿と心の中の両面から丁寧に描く。知能が上った後のチャーリィは、深い色合いの歌声も聞かせて、耳からも変化を届ける。また、アルジャーノンとチャーリィの関係性が、終盤には内面から表現されていて、非常に興味深かった。

そしてチャーリィだけでなく、登場人物それぞれの立場と内面もきちんと見せていくことで、SFでありながら社会性の高い作品として評価された部分も浮き彫りにし、結末をより一層考えさせ、深い感動へと導いてくれる。ベテランの戸井勝海、水夏希は無論だが、多くの役柄を演じる皆本麻帆、小林遼介がミュージカルらしい面白さを存分に見せてくれた。矢田と並んで今後の活躍に注目したい。

兵庫公演のチケットはすでに完売とのことだが、東京公演はまだ購入可能とのこと。当日券もあり。3月12日(日)まで、天王洲 銀河劇場にて。

ミュージカル「アルジャーノンに花束を」
【原作】ダニエル・キイス
【脚本・作詞・演出】荻田浩一
【出演者】 矢田悠祐・蒼乃夕妃・皆本麻帆・吉田萌美・小林遼介・和田泰右・長澤風海・戸井勝海・水夏希
【劇場】
●東京公演/天王洲 銀河劇場 2017年3月2日(木)~3月12日(日)
★東京公演チケット料金:S席9,000 円/A席7,500 円全席指定 ※未就学児童入場不可
公式サイト: http://www.algernon-musical.com