『シダの群れ』シリーズ、『ジュリエット通り』とシアターコクーンで刺激的な新作上演を続けている劇作家・岩松了が手掛けるシアターコクーン・プロデュース第5弾の書き下ろし新作『青い瞳』の11月上演が決定した!!
戦場から帰還した青年の、家族への想いと戦争の残酷さの狭間で揺れる日々を繊細なタッチで描き、戦争の意味を静かに、しかし激しく観客に問いかける。喜怒哀楽すべてが詰まった人生のような岩松の作品群―。その要素が凝縮され、昇華されて出現する挑戦作となる。
出演は、主人公ツトムに08年『羊と兵隊』で岩松了と初めてタッグを組み、岩松の劇世界を生き生きと繊細な演技で体現してみせた中村獅童が現代劇ではコクーン初登場となる。
ミチルの恋人サムには、蜷川幸雄演出『冬眠する熊に添い寝してごらん』で狂気を抱える難役を見事に演じきった上田竜也。
ツトムの妹、ミチルには『太陽2068』で初舞台にして蜷川幸雄の厳しい演出にも臆せず、観客に鮮明な印象を残した前田敦子。
そして岩松 了自ら父を演じ、謎の男タカシマには『浮雲』公演以来20年振りの岩松演出作品出演となる、いまや縦横無尽の活躍が光る勝村政信。
『シダの群れ 第1弾』では極道の妻をコケティッシュに演じ、包み込むような優しさとクールな現代性が同居する求心力のある演技が魅力の伊藤 蘭が母を演じる。
物語
ある戦争終結後の地域社会が舞台。神経のすり減るような戦場での経験を抱えながらそれぞれの故郷に帰る兵士たち。両親と妹のもとに帰ったツトム(中村獅童)もそうした一人だった。厳格だったはずの父(岩松了)は気弱な物言いしかしてこない。母(伊藤蘭)は心から帰還を喜び、前のめりになるほどの勢いでツトムに「社会復帰」の大切さを説く。家族もまたどう扱っていいのか正解が見つけられず、どこか不自然だった。そんな中、妹のミチル(前田敦子)ははつらつとした若さをぶつけるようにツトムに一点の曇りもない青春を見せてくれるが、ツトムの心は晴れない。戦場に真実があるというのではない。多くの失った戦友たちの魂を思う自分と、故郷での日々はあまりにも距離があるからだ。ミチルがチンピラグループの一員のサム(上田竜也)とつきあっていることに気付いたが胸にとどめることにした。
酒場で知り合ったそのグループのリーダー格の青年アライ(竪山隼太)には馬鹿にされたような思いと同時に敗北感さえ感じてしまう。自らの価値のありかを見失い、ふさぎ込むツトムの前に現れたのは、かつて子どものころ自分を心の迷いから救ってくれた「タカシマさん(勝村政信)」だった…。
【コメント】
中村獅童
岩松了さんの作品に出演させていただくのは2008年の『羊と兵隊』以来、7年ぶりです。大好きな岩松さんとまたご一緒できるのでとても嬉しいです。シアターコクーンのステージは歌舞伎以外では初めて立たせていただくのでとてもワクワクしてます。
共演者の皆さんも初めての方ばかりなので、今からどんな舞台になるのか楽しみです。
上田竜也
昨年に引き続き、シアターコクーンの舞台に立てる事、そしてオファーを頂けた事にとてもうれしく思っています。
岩松さんとは、初めてお仕事をさせていただきますが、演技で求められる事を理解し、共演者の方々から芝居を学ばせて頂き、今回の役柄を追及し極めたいと思います。
前田敦子
昨年、初舞台を踏ませていただき、機会があればもう一度チャレンジしたいと思っていたので、まさかこんなに早く次のお話をいただけるなんて、うれしい驚きです。
岩松了さんの舞台は、以前に何度か鑑賞させていただいたことがあり、きれいで不思議な世界観にとても引き込まれました。ご一緒できるのが、今からとても楽しみです。
岩松 了(作・演出・出演)
帰還兵を襲う価値観の揺らぎに人間の本質的な問題を感じていたから、というのが執筆の動機です。その帰還兵を『羊と兵隊』のとき身代わり兵隊を演じてくれた中村獅童くんが演じてくれるのが嬉しいし、楽しみ。7年ぶりです。
また勝村くんにいたっては、20年ぶり!これも楽しみ。伊藤蘭ちゃんは三度目だけど、前田敦子さんは初めて。二人とも素敵な女優さんだと思っているので、戦争の背後にある女を魅力的に演じてくれるでしょう。あと、帰還兵を取り巻く町の若者たちを、上田竜也くんはじめボクのお気に入りの人たちを集めました。
現在の日本から透けて見える戦争、その後遺症とも言える戦争がもたらすものを、その中で光る輝く人間関係とともに探っていきたい!
勝村政信
岩松さんとは、20年ぶりくらいらしいです。その間に、岩松さんの作品を、串田さん、蜷川さんとはやってはいますが・・・なんだか少し、ときめいています。
伊藤 蘭
岩松さんならではの独特で深い世界観の中で、今回はどんな母親像と出会い、美しい言葉や物語を紡いでゆけるのか、とても楽しみです。緊張感溢れる濃密な稽古が待ち受けていると思うと今から胸が高鳴ります。なるべく自由に柔軟に役柄と向き合えるよう心掛けたいと思っています。
シアターコクーン・オンレパートリー2015
『青い瞳』
作・演出 岩松了
出演 中村獅童 上田竜也 前田敦子 竪山隼太 金井勇太 瑛蓮 田代絵麻
藤木 修 篠原悠伸 藤原季節 木原勝利 エミ・エレオノーラ 岩松 了
勝村政信/伊藤 蘭
協力 松竹株式会社
主催/企画・製作 Bunkamura
会場 Bunkamuraシアターコクーン
公演期間 2015年11月1日(日)~11月26日(木)【全30回】
チケット一斉発売 2015年9月12日(土) AM10:00~
チケット料金(全席指定・税込) S席10,000円 A席8,000円 コクーンシート5,000円
※オンラインでの販売はございません。
※コクーンシートは見づらいお席となりますので予めご了承ください。
※未就学児童のご入場はご遠慮いただいております。
【チケットに関するお問合せ】Bunkamuraチケットセンター 03-3477-9999(10:00~17:30)
【公演に関するお問合せ】Bunkamura 03-3477-3244(10:00~19:00) http://www.bunkamura.co.jp/